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12/JAN/2015 from El Chalten to Perito Moreno

エルチャルテンからペリトモレノへのヒッチハイクを始めてから3日目。

距離的には1日でも十分に移動できるはずなんだけど、車通りが少なすぎてなかなか止まってもらえない…。

気付けば周りにはボリビア人家族が経営するホテル以外に何もなくて、車が1時間に1台しか走ってこない場所で缶詰状態です…。
 


 

今日もビュービュー吹き荒れる暴風。

風の音を聞くと昨日までの過酷だったヒッチハイクを思い出して、なかなか外に出る気になりません。
 

それから一時間ぐらい窓の外を眺め、ようやく覚悟を決めて外に出る。

ホテルのドアを開けた瞬間もの凄い風に襲われてふらつきます。

まだ体は暖かいし上下のダウンと持っている残りの服を全部着込んでいるからしばらくは寒さに耐えられそう。

朝なので車も比較的多くて、1時間に数台は走ってきます。

”まだ元気なうちに勝負を決めないと…”

意を決してヒッチハイク開始です。
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でもヒッチハイクを始めて1時間経っても全然車はやってきません。

”やっぱり今日も無理かも…”

連日の辛いヒッチハイクで心が折れかけている二人。

容赦なく吹き付ける風で、体もどんどん冷たくなっていきます。
 

ヒッチハイク開始から1時間半。

風の強さと寒さで早くも限界を迎え、一旦ホテルに避難。

”今日もここで一泊かな…”

外に1時間座り込んでいるのが精一杯な今の状況が絶望的すぎて、弱音ばかりが出てきます。
 

朝から何も食べていなかったので昨日もらったお弁当の残りを食べながら、レストランの窓からぼーっと外を眺めます。

この広いパタゴニアで、今食べているお弁当と今いるホテルだけが心のよりどころ。

”ああお弁当、美味しいなぁ…”
 

ご飯を食べ終わって再び窓の外へ目をやったその時。

遠くの地平線にこっちへ走って来る車の影が見えました。
 

”車だ!!”
 

急いでホテルを飛び出し、道路へ向かって全力で走っていきます。

そして二人でこっちへ向かって来る車に大きく手を振ってアピール。

車は僕たちの前を通り過ぎましたが、諦めずに追いかけます。

でも猛スピードで走る車は一気に走り去って行きました…。
 

またダメだった…。

意気消沈してホテルへとぼとぼ歩いて帰ろうとすると、後ろからエンジン音が聞こえました。

振り返ってみると、なんとさっきの車がバックしてこっちへ戻ってきてる!!

急いで道路へ戻って車へ駆け寄ると、運転していたおじさんが声を掛けてきました。

「どこへ行きたいんだ?」

”ペリトモレノ!!”
 

 


 

僕たちを拾ってくれたのはホアキン。

60歳だけどすごく元気なおじいさんです。
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ホアキンはチリとアルゼンチンに土地を持っている牧場主で、今からペリトモレノを通ってチリのコヤイケという街までいくそう。

2泊3日の大移動です。

僕たちもこの後コヤイケまでヒッチハイクして向かうつもりだったのですが、途中の街にも寄ってゆっくりしたかったのでペリトモレノで降ろしてもらう事にしました。
 

なんとホアキンの牧場には羊800匹、牛200匹、馬が10匹もいるそう!

大牧場主です!!

彼はチリにも牧場を持っているのでこれから僕たちが旅する街にも凄く詳しくて、色々と面白い情報を教えてもらいました。
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そして暴風と雨と雹が吹き荒れる真夏のパタゴニアでヒッチハイク難民になって3日目の午後。

ようやくペリトモレノの街に到着。

最大の難所を脱出しました。
 

車から降りてホアキンと握手してお礼を言います。

彼はまだ先に進むそうなのでここでお別れ。

”助けてくれて本当にありがとう。”
 

それにしてもあの凄まじい風と冷たい空気。

トラウマになりそうなぐらいキツかった…。

恐ろしやパタゴニア…。
 


 

到着したペリトモレノは暖かくて風のない街。

辺りを見渡せば店も家もたくさんあります。

ああなんという安心感!

なんでもない路地に座るだけで、まるで豪邸のソファーみたいに快適です。笑
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”この道端に寝転がって一晩明かしたって絶対に死なないな!”

暖かい陽の光の下でエンパナーダを食べながら、二人でパタゴニアの厳しい自然から生還した喜びを噛み締めます。
 

 

エンパナーダで腹ごなしが出来たら今日の寝床探し。

ちなみに一ヶ月前のモンテビデオにいた時のブログに乗せたこの写真。

実はこの時ペリトモレノの街で撮った写真です。
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モンテビデオでマテの事を初めて知ってから1ヶ月。

モンテビデオとブエノスアイレスでマテ茶文化を教えてもらい、そこからのヒッチハイクでは毎日のようにマテ茶を飲むようになりました。

ガソリンスタンドには必ずマテ専用のお湯サーバーがあるのでいつでも飲めるし、ヒッチした車でも当然のように振る舞われます。

パタゴニアは寒いからマテを飲んだら暖まるし、ヒッチの間はまともな料理が出来ないので不足している栄養補給にもなる。

そうこうしているうちにマテのボトルを持って歩くのが当たり前になり、気付けば僕らが最初に見て驚いたウルグアイ人やアルゼンチン人と同じになっていました。

写真を見返してみると全部手にマテボトル持ってる!笑
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街を小一時間ほど歩き回って見つけたキャンプサイトは一人200円と格安!

昨日までヒッチしていた所とは比べ物にならないぐらい暖かくて、芝生がふわふわで超快適!

広々としたキッチンとホットシャワーまであります。
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テントを張って、街のツアー会社で明日出発のとあるツアーの予約をしたらスーパーで買出しです。

これまでに何度か書きましたが、アルゼンチンは牛肉がめちゃくちゃ安い!

かなり上質のステーキ肉がグラム80円とか100円とかで買えます。
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それとワイン!

ほとんどのワインが1000円以下という驚きのプライス!

日本ではそう簡単には買えないような美味しいワインが選びたい放題です。
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美味しくて安い食料をしこたま買い込んだら、キャンプサイトに戻ってこの3日間の地獄のヒッチハイクを乗り切ったお祝い!

キッチンで肉を焼いている横では地元の家族連れが大盛り上がり。
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アルゼンチン人は子だくさんなので子供たちが次から次へと絡んで来ます。

子供たちは恥ずかしそうに走ってきて ”名前はなんて言うの?” と聞いてきます。

こっちが答えると ”キャー!!” と言って逃げて、しばらくするとまた戻ってくる。

そして、野原から取ってきた綺麗な花を私たちの机に置いて、また ”キャー!!” と言って逃げて行く。

めちゃくちゃ可愛いな。笑

”Diosは日本語でどう言うの?” とか聞かれた時は辞書を引かないと分からなかったけど…。
(Diosは神様という意味。)
 

そんなやり取りをしながら出来上がったのが、こんがり焼けたアサドとチョリソーと玉ねぎと白ご飯!!

ただ焼いただけなのにめちゃくちゃ美味しい!!

やっぱりアルゼンチンの肉は世界一だ!!笑
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おいしいお肉に夢中の僕たちの横では地元の大家族の誕生日パーティー。

ご機嫌の僕たちも一緒に盛り上がっていると、家族の人がケーキやらチョリソーやらジュースを食べきれないくらい分けてくれました。笑

テーブルに乗せられた花は子供たちが持ってきてくれたやつです。
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キッチンの反対側では若い男の子たちがプレイステーションとモニターを持ち込んで”ウイイレ大会”で大盛り上がり!
(”ウイイレ=ウイニングイレブン” は日本のコナミが作っているサッカーゲーム。)

見ていると我慢できなくなってきたので、無謀にも勝負を挑んでしまいました。笑

”ウイイレ”についてはエチオピアで現地の子供とウイイレ対決したこちらの記事をご覧下さい。
▶︎エチオピアで国際サッカーゲーム対決!!
 

相手はサッカー大国アルゼンチンの若者たち。

毎日のように試合をしてさぞかし腕を磨いている事でしょう。

エチオピアで地元のゲーム屋の少年にコテンパンにやられた苦い記憶がよみがえりますが、こっちも日本で試合を重ねてきたプライドがあります。

”こんばんは。もし良かったら混ぜてくれないかな?”

勇気を出して声を掛けてみると、若者たちは大喜び!

「マジ!」

「どこの国から来たの?」

「俺ら強いけど本気でやるの?!」

「ここ座って!」

みんな順番待ちをしてたのに、さっそく試合をさせてもらえる事になりました!!
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連日のヒッチハイクで今にも寝そうなくらいヘロヘロだったしワインを飲んで酔っぱらってたので負けるかなと思っていたのですが、1試合目、2試合目を連勝。

試合をする前に酔い覚ましのコーラーを一気飲みしたのが良かったのかな?笑
 

そして意外にも勝ちまくる僕を見て、若者たちがざわつき始めます。

「おい、こいつ強いぞ…。」

「次お前がいけよ。」

「いや、お前だろ?」

「あいつを呼んでこい!」

サッカー大国のプライドを傷つけてしまったのか、外で遊んでいた子供や親も集まってきて緊迫したムード。

後ろで様子を見ていたボスが登場し彼と戦う事になりました。
 

出てきたのはめっちゃくちゃゲームをやり込んでそうな大学生。

そして固唾をのんで見守る観衆たち。

かなり緊張するビッグゲームでしたが、4−1の大勝利。

連戦連勝で日本の強さを見せつけてやりました!!笑
 


 

そんな楽しいキャンプサイトで生きている幸せを噛み締めていると(笑)、僕らが死ぬほど苦労したエルチャルテンからここまでのヒッチハイク中に何度か見かけたアメリカ人のカップルに再開。

彼らとはトレスラゴスのガソリンスタンドで一度すれ違ってから姿を見ていませんでしたが、なんと僕たちがあのガソリンスタンドを脱出した後、2日間ずっと車が止まらなかったそうです!!

あんな何もない所で2日間もヒッチハイクをし続けたなんて…。

しかもあんな雨と風の強い極寒の荒野…。

想像しただけでもゾッとするし、泣けて来る…。
 

「ホントにホントにホントにきつかった。」

「あの風!本気で死ぬかと思ったんだ…。」
 

”分かる!!分かるよ!!”

僕たちも死ぬ思いで抜けてきたルートなので、話を聞いていると彼らの辛さが痛いほどよく分かります。

「今はここに来られて本当にハッピーなんだ!」

”うんうん!!暖かくて風もなくて最高だね!!!”
 

 

あの苦境を乗り越えた分かり合える同士に再会して盛り上がる4人。
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その後も過酷だった “Ruta40” でのヒッチハイク話で盛り上がり、楽しい夜は更けて行くのでした。


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