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11/JAN/2015 from El Chalten to Perito Moreno

名峰フィツロイを堪能した後は、今いるエル・チャルテンの北にあるペリトモレノという街を目指します。(この前出てきたペリトモレノ氷河とは別。)

でもフィッツロイから帰ってきた次の日は、めちゃくちゃ寒い上に雨と雪とあられが降りまくっていたのでヒッチハイクを断念。

一日明けた今日に再チャレンジする事にしました。
 

 

今日は雨は降ってるけど昨日よりはまだ暖かい。

って言っても雪が降りそうなぐらいには寒かったんだけど、宿も食べ物も高すぎるので頑張って今日出発することにしました。
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エルチャルテンの町の出口まで歩いて行ってヒッチ開始。

雨が冷たくてめちゃくちゃ寒い。

傘をさしてヒッチしますが、風が強くて前が見えない…。
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しかもまわりにはヒッチハイカーのライバルがたくさん。

まだ朝早いのにカップルが二組、単独女子が二人、単独男子が一人で場所の取り合い状態です。

しばらくすると早朝からヒッチしていた人が諦めて帰ったり、場所を変える人がいたり、ヒッチハイカーどうしの小競り合いもちょっとあったりしましたが、なんやかんやで街から出てすぐの場所を確保できました。
 

 

そしてずっと降り続ける雨の中で待つ事一時間半。

一台のキャンピングカーが止まってくれました。
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”ペリトモレノに行きたいのですが…。氷河じゃない方の。”

「途中のトレスラゴスっていう小さい街までなら乗せてあげられるよ。」

”ほんとに?!ありがとう!!”

車が大きかったので近くでヒッチハイクしていたイスラエル人のトーメルも一緒に乗りました。
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乗せてくれたのはスイス人のマイケルとドイツ人のニースのカップルです。

二人は去年の3月から中南米を旅していて、パタゴニアはサンティアゴで買ったこのキャンピングカーで旅しているそう。
 

中にはキッチンや暖炉があって家みたい!
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「サンティアゴで改造済みの車を一万USドルで買ったんだ。」

「パタゴニアを抜けたら売るつもりだよ。宿代と移動費を考えたら十分に元が取れるからね。」

南米をキャンピングカーで旅するアイデアはなかったなぁ。
そもそも、こんな大きいマニュアル車を運転することなんてできないけど。

「これならいつでも好きな所で寝られるし、お金もかからないから最高だよ!」
 

一緒に乗せてもらっているイスラエル人のトーメルは23歳の女の子。

彼女は兵役を終えてから就職するまでの間、しばらく南米を旅するそう。

「軍隊で働くのはすごく楽しかった。私はグループのリーダーをしていたのよ。」

同じく徴兵制のある韓国人は”軍隊は最低だった!”っていう人ばかりだったのですごく意外。

イスラエルは男女共に徴兵がある国。女性が最前線に行くことは少ないから楽しいって思えるのかな。

それでも、パレスチナと緊迫した状況の中で兵役を勤め、人を殺すための訓練をして、「楽しい」っていう感覚を持てることに違和感を覚えてしまう。
 

「南米を女の子一人でヒッチハイクなんてクレイジーだよね。親には絶対言えない。笑」

確かに女子ひとりっていうのはリスキーだけど、ヒッチハイク的には乗せてもらいやすくて羨ましい。

ただ、この後チリでヒッチハイクをしていた時に知る事になるのですが、イスラエル人のヒッチハイカーはドライバーから敬遠されているみたい。

イスラエル人と分かった途端に乗せてもらえなくなる事も多いんだとか。

その話はまた先の記事で詳しく書こうと思います。
 


 

乗せてもらってから走る事1時間半ぐらい。

トレスラゴスの町に到着しました。

トレスラゴスはエル・チャルテンから数十キロ離れたところにある小さな町。

町と言っても家が数キロおきに数件あるだけで、見渡す限り何もありません。

そんなトレスラゴスのガソリンスタンドでキャンピングカーを降ります。
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ここまで乗せてくれた二人に感謝。

売店にエンパナーダ(パンに具が入った食べ物)が売られていたので二人にごちそうしました。

そういえば、以前ヒッチハイクで乗せてもらったルベンから別れ際にエンパナーダをもらったことがあったなぁ。何だか懐かしくなります。

マイケル、ニース。どうもありがとう。
 


 

エンパナーダを食べ終わったらヒッチハイク再開。

ガソリンスタンドの近くは車通りが少なかったので、30分ぐらいかけて車が通る所まで歩きます。

そしてアルゼンチン東部からの道と合流する場所でヒッチハイク開始。
 

道といっても完全にオフロードだし数キロ先のガソリンスタンド以外、周りには建物が全くない場所。

車が走って来る気配なんて全然ありません…。

しかも相変わらず雨が降っていて、ときどき雹がまじったりしてめちゃくちゃ寒い。
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そして極めつけは風。

風速50メートルが当たり前のパタゴニア。

これまでもずっとパタゴニアにはいたんだけど、この場所はこれまでとは比べ物にならないくらい風が強い。

立っていられないぐらい風が強いから座り込むんだけど、それでも息をするのが苦しいぐらい…。

30分もしたら寒さと風の強さで限界が来て、たまらず近くの物陰に逃げ込みました。

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ヒッチハイク開始から2時間経過。

その後も何度も雨に振られ天気は最悪。

だいごろはレインコートを持っていないのでずぶ濡れになっては乾いての繰り返しでどんどん弱っていく‥ハズなのに、何故かどんどんハイテンションになって行きました。
 

”ほら!上に投げただけでめっちゃ遠くまで飛んでいくで!!”

バナナの皮を投げて遊ぶだいごろを半分無視しながら、じっと車を待ちます。
 


 

ヒッチハイク開始から4時間が経過。

車は1時間に5台ぐらいは走ってくるんだけど全然止まってくれない。

お腹が減ったので昨日宿で炊いた白米とゆで卵にケチャップをかけて食べます。

ああ、貧相。笑
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風が強い。

もう座ってるのもきつい…。

 

 

トレスラゴスでのヒッチハイク開始から7時間。

朝エル・チャルテンでヒッチハイクしてた時から数えたらもう12時間。

午後8時を回って体力も限界になったので、また30分歩いて最初にいたガソリンスタンドに戻りました。
 


 

もうヒッチハイクをする気力は完全に無くなっていたので今日はここで野宿するしかありません。

でもこんな強風の中テントを広げたらその瞬間に吹き飛ばされるか壊れてしまう。

そしたら風が吹き荒れる極寒のパタゴニアでテント無しの野宿。

ガソリンスタンドはもうすぐ閉まってしまうし、建物の影でも風はビュンビュン。

本気で死んでしまうかも…。
 

そんな事を考えながら途方に暮れていると、給油する車が何台かガソリンスタンドに入ってきました。

ここで野宿するのだけは何としても避けないと…。

疲れ果てた身体にムチを売って、給油に来ていた車に順番に話しかけて行きます。

その中の一台がこの先の大きな町まで行くそうなので、なんとか乗せてもらえないかと頼み込んでみると、まさかのOKの返事!!

”ほんとにいいんですか?!!”

「ああ。水を買ってくるから荷物を積んでてくれ。」

”やったー!!助かった!!ありがとう!!!”

もう午後10時を回ろうとしていたタイミング。

最後の最後で今回も助けてもらいました。
 


 

乗せてくれたのはイラリオ。

イラリオはアルゼンチン各地で水道工事をしていて、明日からの仕事の為にここまで移動してきたそうです。
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イラリオはスペイン語を話すスピードが速くて、私たちのレベルでは聞き取るだけでもかなり大変。

私は12時間のヒッチハイクで疲れ果ててあまり喋れなかったけど、だいごろが頑張って2時間半喋り倒しました。

”助けてくれたイラリオに、喋ることでちょっとでも恩返しがしたい。” と思っていたそうです。
 

ちなみに、やっぱりイラリオもマテを振る舞ってくれました。

これまで乗せてもらったアルゼンチン人は全員もれなく車にマテ茶セットを持っています。
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日付が変わる頃に見たパタゴニアの夕暮れ。

草原を走り抜けるグアナコと夕焼けの組み合わせがすごく綺麗だったなぁ。
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そして深夜1時頃。

街のガソリンスタンドに到着。
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「着いたよ。俺は宿に泊まるけど君たちはここでいいの?」

”うん。ここまで乗せてくれて本当にありがとう。” とイラリオに言うと、

「君たちに会えて良かったよ。」と言ってくれました。

それを聞いただいごろは嬉しすぎて泣いていました。笑

ありがとう。イラリオ。
 


 

到着した街はエル・チャルテンから200キロ先にあるゴベルナドール・グレゴレス(Gobernador Gregores)という町。

24時前だったけど宿やレストランが数件あって、まだ開いていました。
 

寒くて疲れていたので宿に値段を聞いてみたけど、どこも高かったので今日もガソリンスタンドの横にテントを張る事にします。

建物の横だから風は避けられるけどめちゃくちゃ寒い…。

今日も辛い夜になりそうだなぁ…。
 

ちなみにスペイン語でガソリンスタンドは「エスタシオン・デ・セルビシオ」って言うんだけど、なんか自分たちのパタゴニア旅はエスタシオンにたくさんの思い出があるなぁと改めて思う。

パタゴニアに入ってからの1ヶ月間、毎日のようにエスタシオンに行ってるし、自分たちの家みたいな存在。

どこに辿り着くか分からないヒッチハイク旅で、唯一自分たちが帰れる場所。

普通に旅していたら記憶にすら残らないであろうエスタシオンが、思いでのたくさん詰まった場所になっている。

そんな事を考えているとなんだか面白くて笑えてくる。
 

今日もそんなエスタシオンの物陰のテントからはクスクスという不気味な笑い声が聞こえてくるのでした。
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今日は雨と風の中で12時間耐えしのいだヒッチハイク。

息も出来ない暴風があまりにキツすぎて、まるで地獄を見ているみたいだった…。

そんな中で最後にまた人の優しさに助けられ、本当に心が癒された。

でも、今日の辛かったヒッチハイクはまだ地獄の始まりに過ぎなかったのでした…。

つづく


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