悪名高いロッソ国境越えに大苦戦。もう嫌だ…。【2015年モーリタニアビザ情報】
11/APR/2015 from Saint-Louis to Nouakchott
話は遡ってダカールにいたある日。
僕たちが朝から向かったのはモーリタニア大使館。
モーリタニアはセネガルの次に向かう予定の国です。
数ヶ月前に同じルートを通った旅人たちのブログに、ここダカールで取得したという情報があったのでやってきました。
守衛さんにお願いして英語を話せる職員の人を呼んでもらって聞いてみます。
”モーリタニアのビザを取りたいのですが。”
すると職員の口から思ってもみなかった衝撃の台詞が…、
「もうここではビザは取れないよ。ロッソ国境でビザが取れるから、そこで取って。」
”え?!”
ロッソはモーリタニアとセネガルの国境で、旅人の間ではかなり評判の悪い場所。
賄賂を請求されたとか、一時身柄を拘束されたとか、悪い噂しか聞きません。
そんな悪名高いロッソ国境でビザを取るなんて、嫌な予感しかしない…。
昨日はサンルイ行のガレージ(乗り合いタクシーの乗り場)の場所も変わってたし、苦労して着いたサンルイの宿は潰れてたし、そして今回のモーリタニアのビザのルールも変わってるし。
それらは全部、僕たちが行く数週間前には何も問題なかったはずの場所。
なんでこのタイミングで…。
でも、これが西アフリカって事か。
もともと一年前まではセネガルのビザもいらなかったわけだし…。
目指せロッソ国境!!
という事で話はサンルイに戻り、今日はセネガルからモーリタニアへのロッソ国境越えに挑戦する日。
宿からタクシーに乗ってガレージ(乗り合いタクシー乗り場)へ行き、そこからロッソ国境へ向かうセットプラス(乗り合いタクシー)に乗り込みます。
車は1時間半ぐらいでロッソセネガルのガレージに到着。
車を降りたら「俺が道案内する」とか「荷物を持つ」とか言う人がたくさん群がってきますが、無視して国境へ向かって歩き始めます。
冷たいようですが、国境付近のこういう人たちを相手にすると大抵ろくな事にならないのです。
一キロぐらい歩くとセネガルのイミグレーションオフィスが見えてきたので、そこへ行ってパスポートを渡すとセネガル出国スタンプはすんなりもらえました。
もうちょっと面倒くさい事になるかと思ってたけど、まずは無難に第一関門突破です。
その先は船に乗ってセネガルとモーリタニアの国境の川を渡ります。
ザックを背負いながら平均台みたいな木の板を渡って船へ。
きっこが川に落ちてしまいそうで見ていてヒヤヒヤします…。
ここのフェリーは数十分おきにしか動いてないらしいのですが、僕たちがいったタイミングでちょうどフェリーが来てたので乗り込むとすぐに出発しました。対岸まで10分ぐらい。
フェリーがいない時はお金を払って渡し船に乗らないといけないみたいなのでラッキーでした。
乗船率は余裕の100%越え。
ものすごい人です。
モーリタニア側の岸に近づくと、海にはモーリタニア海軍の船。
そして対岸に到着。
人ごみをかき分けて船を降りると目の前にモーリタニアのイミグレーションオフィスがあったので、職員の人にビザが欲しいと言うと建物の中に案内されました。
ロッソ国境の悪夢。まさかのルール改正。。
中に入るとビザの発行待ちの行列。
僕たちの前の人の所でシールを印刷する機械が故障したらしく、オフィスの外で20分ぐらい待ちます。
そして、インクを交換したら機械が直ったらしく、中に入って”ビザが欲しい”と言うと、なんと衝撃の言葉が返って来ました。
「ビザ代は一人120ユーロだ。」
え!高っ!!
ちょっと前までは100ユーロ以下だったはずなのに!!
”なんで?先月まではもっと安かったでしょ?”と聞くと、
「先月にルールが変わってビザはここでしか取れなくなった。それと一緒に料金も変わったんだ。」
”…”
あまりの高さに一瞬目眩がしましたが、気を持ち直して値下げ交渉。
というか、賄賂とかぼったくりじゃないかどうかの確認です。
でも外国人のビザ代は120ユーロで決まっているらしく、印刷済みの領収書までありました。
あとで名前入りで貰えるそうです。
ちなみに、モロッコでモーリタニアのビザを取ると4000円程度。
セネガルから入国するだけで4倍もするなんてショック…!!大出費です…。
値下げできないことがわかったので、120ユーロは諦めて支払う事にしました。
でも、問題はまだあります。
僕たちはユーロのキャッシュをほとんど持っていなかったのです。
まさかビザの手数料が120ユーロもするなんて夢にも思ってなかったし、USドルもある程度通用すると思っていたのです。
”ユーロはないからウギア(モーリタニアの通貨)かUSドルで払いたい。”とお願いしましたが、「ユーロだけだ」と言われて門前払い。東アフリカでは無敵の強さを誇っていたUSドル払いまで拒否される始末。
流石に自国通貨のウギアなら受け取ってくれるだろうとたかを括ってたのですが、まさかこんなことになるとは…。
この国境でユーロを入手するには、ATMでウギアを降ろしてから、道端にいる両替屋にユーロへ両替してもらうしかありません。
でも、ATMはイミグレの横のゲートを抜けた先。出国のスタンプが無ければ通してもらえません。
試しに”ちょっとお金下ろすだけだから”、と言ってみましたが、レジストレーションがどうこうでややこしくなりそうな感じ。
一人の警察に何とか身振り手振りで話が通じても、その次の警察に止められてまた同じ説明を最初からさせられる…。
なかなか前に進めない。
もう一回セネガル側に戻ってセーファーフランを降ろしてユーロに両替する事も考えましたが、また船に乗って国境を越えて、悪名高いイミグレを出たり入ったりするのはかなり気が引ける。。
どうしよう、、、。
お餞別にもらったユーロがこんな所で役立った!
ユーロか…
でもいくらかは持ってたはず。
試しに荷物の中に隠していたユーロをかき集めてみると、二人分の240ユーロにはほど遠いけど、全部で95ユーロありました。
僕が会社を退職する時に同期が餞別にくれた50ユーロをずっと持ってたのが役立った!
まさかこんな所で役立つとは思ってもみなかった、マッキーありがとう!
残りはエチオピアのジンカで出会ったスペイン人と両替した40ユーロと、イクエさんケンゾーさんと両替した5ユーロ。
ここで使ったよ。二人ともありがとう!
二人で240ユーロ必要なので、足りないのはあと145ユーロ。
どうしようか悩んでいたら、一人のお爺さんが「ユーロが欲しいなら両替してやるよ」と言って来ました。
”でも肝心のウギアがないんだよ…。”
”あ、でももしかしてドルとユーロを替えてもらうことってできる?”
するとお爺さんが電卓で色々と計算をして金額を見せてきました。
お、これは行けそう。でもレートがめちゃくちゃ悪い…。
でも他に手段が思い当たらなかったので、このお爺さんと30分以上かけて交渉を続け、180USドルと145ユーロを交換してもらえることになりました。
1ユーロ=1.24ドル、正規なら1ユーロ=1.1ドルぐらいのところなので大損です…。(2015年4月時点)
そもそもこんな所で両替したらレートはめちゃくちゃ悪いに決まってるんだけど、他に良さそうな方法もない。
それにこのロッソ国境は昼になると閉まってしまう事でも有名。早くしないとロッソ国境に閉じ込められてしまいます。
泣く泣く180ドル払って145ユーロを入手しました。
イミグレーションオフィスに戻って職員の人にお金を渡すと、ブラックライトを当てて偽札かどうかの確認。
幸いどれも偽札ではなかったっぽいけど、ちょっと端が折れてて汚いから受け取れないと言われてしまいました。
そ、そんな…。
大急ぎでイミグレの周りを探し回るも時すでに遅し。
両替をしてくれたお爺さんの姿はもうありませんでした。
大損して手に入れたなけなしのユーロが…。。
がっかりしてイミグレに戻ると、なんか変な男が後ろからついて来ました。
そしてその男は、「さっきの爺さん連れてきてやるよ。」
そう言って何処かへ行ってしまいました。
そして五分ぐらいすると、その男がお爺さんを連れて戻ってきました。
”本当に連れて帰ってきた!”
何だかよく分からないけど、お爺さんが見つかった!
イミグレの職員がお爺さんに「綺麗な紙幣に替えてくれ」、と言うと、意外にもお爺さんはすんなり別の紙幣を出してくれて無事支払い完了。
ビザのシールをパスポートに貼り付けて、ついにモーリタニアビザゲットです!!
(ちなみにさっきの怪しいその男はタクシードライバーで、後で僕たちをお客にするつもりだった模様。)
ビザがゲットできたので後は出国のスタンプを、もらうだけ。
後ろの机に座っていた警察にパスポートを渡しスタンプゲット!
そして、きっこも同じようにパスポートを渡したその時、
突然建物が真っ暗に。
まさかの停電。。
「ごめん、電気がないから停電が戻るまで待って。いつ戻るか分からないけど。」
と言って警察は何処かへ行ってしまいました。
…。
ちくしょー!!
あとちょっとだったのに!!
もう嫌だ…。。。
歓喜!!ついに手にしたモーリタニアビザ!!
イミグレの周りには店も何もない。
でも僕たちが朝起きてから食べたものと言えば、バナナ一本ずつとロッソ国境で買ったマズいビスケットだけ。
もうお腹が減ってしにそうだったので、イミグレの近くをうろついていた物売りからオレンジを買って日陰に座って食べて待ちます。
太陽が空高く上がりもの凄い暑さ。
それに砂埃がひどくて目も口も開けられない。
なんかスーダンにいた頃を思い出すなぁ。
よく考えたらスーダンとモーリタニアってどっちも緯度が同じぐらい。だから雰囲気が似ているのかも。
あと一時間は待つんだろうなぁ。と半分諦めながら待っていると、意外にも30分ぐらいで電力が回復!
すぐにパソコンで処理をして、きっこのパスポートにスタンプを押してくれました。
賄賂請求もなし!!
そしてイミグレの横のゲートで関税のチェックと入国税40ウギアを払って、ついにモーリタニア入国!!
よっしゃー!!!
僕たちが必死の思いでゲットしたビザがこれ。
イミグレで撮った顔写真が印刷されているのですが、そこには死んだ魚の目をした僕と髪の毛ぼっさぼさのきっこ。
この写真からこの日の僕たちの苦労がお分かり頂けるかと思います。笑
そんなこんなで、なんとかモーリタニア入国を果たした僕たち。
120ユーロ(実際両替でも損してるからもっとだけど…)も払ってモーリタニアに入る物好きもなかなかいないだろうな…。
どこの国のガイドブックを見てもめぼしい情報はないし、地図を見ても何もなさそうなモーリタニア。
一体どんな国なのか想像もつかないけど、すごくワクワクしています。楽しみだなぁ♪♪
daigoro
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