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23/DEC/2014 from Rio Gallegos to Ushuaia

僕たちの前に止まった大きな大きな車。

それはアルゼンチンの大型バス。
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えっ?なんで??
 

バスはもちろん有料なのでヒッチハイカーには目もくれないのが当たり前。

これまでのヒッチハイクでも僕たちに目も合わせる事なく素通りして行っていました。

一体どういう事だろう?
 

僕たちがポカーンとしていると、バスから陽気なスタッフが降りてきました。

「君たちはウシュアイアに行きたいのかな?」

ニコニコしながら話しかけて来た妙にテンションの高いおじさん。

「このバスにちょうど二人分の空きがあるから乗って行くか?」

”え?”

「バスはウシュアイアまで直行だし、途中で乗る船の料金も含まれているよ。」

”でも無料ではないよね?”

「もちろん違う。このバスはリオガシェゴス発で一人680ペソ(6800円)もするんだ。ここはリオガシェゴスからは少し離れているから、特別に一人500ペソ(5000円)にしてあげるよ。どうする?」

”高いからやめておきます。”

そう言って僕たちが立ち去ろうとすると、

「おいおいちょっとまて!このバスには食事もジュースもついてるんだぞ。」

”え!!”

食料が底をついてお腹を減らしていた僕たちに甘い誘惑をしてくるおじさん。

久々に食事にありつけると思うと心が揺れます。笑
 

”いや、でも500ペソはさすがに出せないな。”

「じゃあいくらまでなら出せるんだ?」

”300ペソ”

「ははは!冗談だろ?? みんな680ペソも払ってるんだぞ。無理だ無理。400ペソでどうだ?」
 


多分ヒッチハイク旅を始める前の僕たちだったら喜んで乗っていたと思う。

だって今はパタゴニアのハイシーズン。

ウシュアイアまで行くバスはどれも満席で、予約をする事すら難しい状況。

なのにバスが勝手に向こうからやってきて、しかも定価の半額近い値段を言って来ている。

乗らない理由はない。
 

でも僕たちはもうヒッチハイクの楽しさを知ってしまった。

もちろん、このままここで数日テント生活になってしまうリスクはあったけど、それよりもヒッチハイクの楽しさを求めていました。
 

定価が680ペソ(6800円)なんだったら、その半額以下の300ペソ(3000円)が僕たちのボーダーライン。

もし300ペソで船も食事も込みで、しかも半日でウシュアイアまで行けるなら十分にペイするし、逆にそれ以上のお金を出してまでバスには乗りたくない。

それが僕たちの間での結論でした。


 

”300ペソで乗れないならここでヒッチハイクを続けるよ。じゃあ。”
 

きっぱり断って帰ろうとすると、彼は諦めたように「ちょっと待ってろ。ドライバーに確認して来る。」そう言ってバスへ。

そしてしばらくすると、「乗れ!」というジェスチャー。

”よし、乗ろう”

一人300ペソをおじさんに払うと、「お前ら俺を殺すつもりだろ?」と笑いながら言われました。
 


バスに乗り込むと、地元の人と観光客が半々ぐらい。

僕ときっこは空いていた座席に別々に座らされました。
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僕の座席は一番後ろ。

ちょうど後ろ半分に外国人観光客が固められていて、話してみるとオーストラリア、シンガポール、スペイン、イスラエルなど、色んな国から来ていました。

そしてそこへさっきの陽気なスタッフのおじさんがやってきてくだらないジョークを連発、アルゼンチンのバスなのに後ろ半分だけ英語で大盛り上がりです。

(↓陽気でジョークが大好きなスタッフのおじさん)
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他の乗客たちと話してみるとバスのスタッフが言った通りこのバスの料金は680ペソ。

座席は元々満席だったのですが、当日に2人来なかった人がいて偶然空席になっていたそうです。

彼らはこのバスに乗る為にリオガシェゴスで数日間キャンセル待ちをしていたらしいので、このバスに乗れたのはかなりラッキーだったみたい。

みんなに「300ペソで乗れるなんて羨ましすぎるよ。」と言われました。
 


バスが走り出すと、そこは荒涼とした広い大地。

ガスステーションどころか家すら見当たりません。

風が強すぎて木も枯れてしまっています。
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もしこんな所で降ろされてたら大変な事になっていただろうなぁ…。

ヒッチハイクで移動できないのはつまらないけど、スタッフの言った通り食事も出たし、バスは快適だし、何も考えずにウシュアイアまで連れて行ってくれるし、これで300ペソなら悪くない。
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そんな快適なバスにうとうとして来た頃。
 

バコッッッッ!!!
 

突然もの凄い音がしたかと思うと、バスの中にびゅんびゅん吹き荒れる冷たい風。

”えっ!!何??!”

混乱する乗客たち。

よくみると天井が吹き飛び、ぽっかり穴が空いていました…!!
 

穴が空いたのはちょうど僕の座っていた外国人エリア。

その様子を見たスタッフのおじさんがすかさず、「ご覧下さい。これがパタゴニアの風です。」と言うと

大変な出来事のはずなのにみんな大笑い。
 

おじさんはジョークが受けたのを見て満足したあと、ごそごそと天井の様子を確認し始めました。
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「よし、そこの君!確かジョンだったね。段ボールを渡すからウシュアイアまで3時間、君が天井の代わりになってくれ。」

そう言ってオーストラリア人のジョンを無理矢理立たせようとします。

必死で抵抗するジョン。

「嫌なのか?1時間10ドルでどうだ? ほら、ジョン! You can do it!」

”あははは!!”

またしても車内の後ろ半分だけ大爆笑。
 

その後ジョンとおじさんがはがれた部品がかろうじてバスに引っかかっていたのを発見し、ドライバーと一緒に応急処置。

何とか走れる状態になりました。
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そんなパタゴニアならではのトラブルがあったりしましたが、バスは予定通りの2時間で海へ。

ここから船に乗ってウシュアイアがある島 ”Isla Tierra del Fuego” へ向かいます。

まずは乗客だけバスから降りて歩いて船へ。
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そしてその後ろからバスが船に乗りました。
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パタゴニアの海を走る船からはイルカが見えたりして、あっという間に島へ到着しました。
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島へ上陸して1時間ぐらいで再びチリとアルゼンチンの国境越え。

今度はチリからアルゼンチンへと戻ります。
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パタゴニアの南部はアルゼンチンとチリの領土が入り乱れていてややこしいなぁ。
 


 

アルゼンチンに入ると途中にあるリオグランデという街で乗り換えが一度あり、その後は時速100キロでウシュアイアまで一直線。

やっぱりバスは速い!!

ぎゅんぎゅん過ぎ去っていく景色を眺めながら、”ルベンのトレーラーで時速50キロで走っていたのが嘘みたいだね?”、と二人で笑ってしまいました。
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そして2時間後。

ついに世界最南端の街ウシュアイアに到着しました!!

ブエノスアイレスからの3200キロの旅。

その終点です。
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僕たちのヒッチハイク旅はまだまだ続きますが、ひとまず最初の目的地に到着できて一安心。
 

ここまでのヒッチハイク旅では素晴らしい経験がたくさん出来ました。

こんな旅になるなんて想像もしていなかったなぁ。

笑いあり涙ありで本当に最高だった!!

今日からしばらくは、世界最南端のこの街でアルゼンチンのクリスマスをゆっくり過ごそうと思います◎
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