砂漠の地雷原を抜けて非自治地域へ。助かった!を連呼した一日。
16/APR/2015 from Nouadhibou to Dakhla
さて、今回の旅の中でもなかなかの冒険だったアイアントレイン。
降りてからのことを書く前に、しつこいようですが私の感想も書いておきます。
モーリタニアを旅するなら、アイアントレインに乗ろう!
冒険好きのだいごろはわくわくしながらそう言いました。
私は不安の方が大きくてなかなか覚悟できなかったけど、過去に乗った人のブログを読んだ限りでは何とかなりそうだったし、前日の宿で出会った人がアイアントレインを逆向きに乗っていた人で、全然大丈夫って言ってたから乗ることにしました。
不安半分、期待半分で乗り込んだアイアントレイン。
乗り込んだ後は私には景色を楽しむ余裕なんてほとんどなくて、目にゴミが入りすぎて何も分からなかった。
あとで夕陽と朝日の写真を見て、え、こんな綺麗だったっけ?!ってびっくりしたぐらい。笑
夜中に目が覚めてからは最悪。
とにかく寒い。
それにボコボコの石が車両の揺れに合わせて身体中に当たって痛かった。
ただでさえ動いてる電車の上に乗ってるから吹きさらしなのに、その日はめちゃくちゃ風が強い一日だった。前日や乗る直前も風がビュンビュン吹き荒れてた。
たぶん風さえ強くなければそれほど辛くなかったと思う。
他の人のブログを見ても風が強かったって書いてないし、防寒さえしてればなんとかなってたみたいだし。
私たちが乗った日が特別風の強い日だったんだと思う…。
砂鉄よけ&防寒になるだろうと思って用意したゴミ袋は、強風の元では何の意味も成さなかった。
だいごろは私よりも薄着だったからしきりに「寒い寒い」って言っていて、何度か生きてるか確認してしまった。
バックパックの中にはダウン上下と寝袋、テントがあったけど、乗り込む前はこんなに寒くなるなんて予想だにしてなくて、汚れるのも嫌だったし着込んでなかった。
すぐ近くにあることは分かってても、風が強すぎて、真っ暗闇で、バックパックを開けたら何もかも飛んで行ってしまう。
昼間は死ぬほど暑いのに夜ここまで冷えるなんて。
昨日も一昨日も外で寝たけど、そんなに寒くなかったのに。
足もお腹も冷えて大変だった。
腹痛と寒さに耐える時間。。
一度乗ってしまったら降りることができないのがアイアントレインの恐いところ…
無事に辿り着いたときの安堵と言ったら!
大冒険だったし旅らしい移動だったけど、もう2度と乗らない!笑
【これからアイアントレインに乗る旅人へ】
ヌアディブ行きに乗り込むときは暑すぎるほど着込んでおきましょう。
鉄鉱石の上は吹きさらしです。
寒さ対策さえちゃんとしておけばそれほど怖いものじゃないです。たぶん。
話は戻って昨日の続き。
アイアントレインから再び地上に降り立った。
助かった…。
ふと周りを見てみると一台だけ車が見えました。
おーーい!!
大きく手を振って来てもらいました。
近くを通りかかったお小遣い目当ての白タクです。
へろへろだったので何ウギア支払ったか忘れてしまったけど、距離の割に高かったです。
でも、周りに何もないあの場所では他の選択肢はなかった…。
バイバイ、アイアントレイン。
私たちがモーリタニアのヌアディブから次に目指すのは、西サハラにあるダフラという街。
白タクに乗り合いタクシー乗り場で降ろしてもらい、ダフラ行きの車の値段を確認します。
運転手に聞いたら一人12,000ウギア(約4,200円)。
現金が足りなかったので、運転手にお願いして車でいくつかATMを回ってもらって何とかウギアを手に入れました。
ダフラ行きに乗るまでの待ち時間。
まともな売店は一個もなくて、唯一あった露店でバナナを2本買いました。
一晩アイアントレインで何も食べずに耐えてお腹もぺこぺこ。
でも食べられるのはバナナ一本ずつ…。
ええっと…最後に食べたのは何だったっけな。
昨日の昼に食べたパンと野菜の缶詰だけ。
それから夜ご飯もなしで、朝はバナナ一本。
ああ、お腹減ったな…。
とにもかくにも車に乗り込んで、ようやく一息つくことができました。
陽も高くなってきてようやく身体も温まってきた。
自分たちがあまりに真っ黒なので、南米で買ってずっと持っていたウェットティッシュで一拭き。
そしたら、まっっっくろ!!
拭き終わったウエットティッシュもまっっっくろ!!
白いトイレットペーパーと比べると違いがよく分かります。笑
顔も拭いてちょっとだけさっぱり。
しばらくはまっっくろの目やにが延々と出続けました。
だってこの目だもんなぁ。
アイアントレインの悪夢からだんだんと現実に戻ってきた私たちは、車の中で口々に”助かったー”という台詞を連呼していました。
でも、アイアントレインから生還を果たしたものの、実はこの先の移動も油断ならないのです。
外務省の危険情報によると、この道は地雷原。
でも、このルートも何人も旅人が通ってきているし、自転車で旅した人ですら安全だと言っていた。
何百人も通ってきている道で今さら地雷を踏む事もないだろうと信じます。
どきどきしながら周りを伺うと、確かに壊れた車がたっっくさん!!
地雷のせいなのかな…
でも古い車ばかりに見えました。
自分たちが乗った車が、ちゃんと車のタイヤの跡の上を通るのを確認しながら、1時間ほど走ったら国境に辿り着きました。
私たちが辿り着いたここは西サハラという地域。
サハラ・アラブ民主共和国とモロッコが領有権を主張しているところです。
本当はモロッコとは言えない場所だけど、モロッコが実行支配しています。
だからこの国境でもらうスタンプもモロッコの入国スタンプ。
国境周辺にはモロッコの国旗がいたるところにあって、「ここはモロッコだ!」って主張してきます。
この国境でスタンプをもらってから、かなり厳しい荷物チェックを受けました。
それにしてもおなか減ったなぁ…。
国境を越えたところには食堂みたいなのが見えます。
“車のチェックしてる間にあの食堂に行っていい?”
ドライバーに聞いてみると、
「この国境を越えた後でその食堂に行くから。」という感じのジェスチャーを返されました。
こんな所に置いていかれても困るし、おとなしく待とう…。
それから1時間。
車のチェックに行ったドライバーは待てど暮らせど帰ってきません。ひまだー。
結局1時間半ぐらい待って、ようやくドライバーが手続きを終えて帰ってきました。
お腹減ったー!
車が走り出すとすぐに食堂が見えました、
あー、これでようやくごはんにありつける。
と思ったのもつかの間、車は食堂を通りすぎてしまいました…。
さっきのジェスチャーは「しばらく時間がかかるから、あっちで食べてもいいよ」っていう意味だったのかな…。
あー、おなか減ったよぅ。
もう何も考えないようにしよう。
無の境地。諦めるしかない…。
国境を越えるともう道は全部舗装されていて、地雷なんて踏みっこない感じです。
そして、モロッコの旗はやっぱりいたる所にあります。
砂漠だなぁ。
おなか減ったことを考えないように、無になって目を瞑って耐えていたとき。
車が止まりました。
お昼2時ぐらい。
そしてドライバーが手を口元に持ってきてごはんのジェスチャー。
やっっったぁぁーーー!!
ごはんだ!!
二人で車から飛び出しす!
あ、でもよく考えたらモロッコのお金まだ持ってない…。
ご飯食べれない…。
と思ったら、となりにATM発見!
でもATMってよくお金降ろせないことがあるからまだ安心できない。
降ろせますように!
祈りながら操作し、無事にモロッコディルハムを入手!
ここは西サハラだけど使われている通貨はモロッコと同じ。
旅行している分にはモロッコと何ら変わりない。
降ろしたキャッシュを握りしめて入ったレストランは開放的な感じ。
なんか高そうだけど大丈夫かな…。
お値段が気になりますが、ここは思いっきり食べるべし!
そしてありついたごはん!!!
モロッコ名物のタジン!!
お値段は二つ合わせて90ディルハム(約1,200円)で、高いけど許容範囲。ほっと一安心です。
一口頬張ると…
お、おいしい!!!
味付けが今までいた西アフリカと全然違う!
まともなごはん食べたのなんていつぶりだろう。
助かったー!!
食事の後は、レストランに併設されていたモスクの手洗い場で顔や手足を洗って砂鉄を洗い流します。
すっっっきり!!!
そのまま1時間弱、レストランでゆっくり休憩。
テレビではサッカースペインリーグの中継をやっていました。
それにフリーWi-Fiまで。なんかインフラも整ってるなぁ。
おなかも満たされ、あとはまた車に乗ってダフラへの到着を待つだけ。
エアコンは聞いてないけど、モーリタニアみたいに蒸し風呂じゃない。快適だなぁ。
道々には相変わらずモロッコの旗をよく見かけます。
検問も何度もあって、パスポートの確認をされました。
ダフラに着く直前には、カイトサーフィンをしている人がたくさんいました。
ここは長い遠浅の湾になっていて、波が低いから格好の練習場所。
だいごろが”めっちゃ楽しそう!!やってみたい!!”って言ってテンション上がってました。
気持ち良さそう。
街の周辺にはこんな感じでたくさんの電柱がありました。
これからどんどん建物ができていくのかな。
街には信号の代わりに交通整備のおじさん。
そして夕方頃、無事ダフラに到着!
助かった。
西サハラに入ると雰囲気が一気にアラブになりました。
これでブラックアフリカも終わって、北アフリカに突入です。
街にはシーシャ(水タバコ)の甘い香りが立ち込める。
海沿いの落ち着いた街。
道路がちゃんと舗装されてるし、歩道もある。
建物もしっかりしてる。
トゥクトゥクも走ってる。
まだここは西サハラだから街の人の装いとかは少し違うけど、アラブの国々で見慣れたものが多くて安心感があります。
街中を歩いて見つけた宿も清潔感があって快適。
宿代は二人で80ディルハム(約980円)。安い!!
西アフリカとは比べものにならないコストパフォーマンスの高さ!
夕食にハリラ(モロッコ風のスープ)とパンと串料理を何本か食べて25ディルハム(300円)。
やすくて美味しい屋台もあります。
これはお好み焼きみたいなのの中に具が入った料理。
あー、何もかもほんと癒される。助かった!!
街の快適さや雰囲気はアラブの国だけど、町の人はモーリタニアっぽい服を着ている人もいます。
仕立て屋さん。
レストランにはスペイン語のメニューも。
いよいよヨーロッパも近づいてきました!
それにしても、西サハラのダフラがこんなに発展したところだとは思ってもみなかったなぁ。
そんな快適なダフラの街でアイアントレインの疲れを癒した私たち。
ここからの旅は安心のモロッコ滞在(ほんとはまだ西サハラだけど)。
楽しみです♪
kicco
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