ぽろり旅史上最も過酷な移動が始まる…。世界で一番長い列車に乗車せよ!!
15/APR/2015 from Atar to Shum
朝8時。
今日はお世話になったアタールの”Camping inimi”を出発してアタールの街を目指します。
宿の親切なお父さんが「仕事のついでだから」と、乗合タクシーの乗り場までわざわざ送ってくれました。
車はぼろぼろだけど相変わらずやさしいなぁ。
アタールの街中でお父さんに降ろしてもらって、乗合いの4WBに乗り換えます。
ここからシュムまでは砂漠の中を走らなければならないので、普通のタクシーは入れないのです。
そしてやっぱりこの車にも乗れるだけ人を詰め込みます。
アタールからシュムまでは一人3000ウギア(約1200円)。
今日は前に3人、後ろに4人。
キツいですが、これならまだ許容範囲です。
そしてさらに、しばらく走った頃にふと後ろを見てみると…
荷台に人が!!
ドライバーに聞いたら荷台に乗った方が値段は安いそう。確か2000ウギア(約800円)だったかな。
でも横滑りしまくりの砂漠のオフロードを荷台にしがみついて数時間耐えるのは大変。命がけです。
そんな乗客たちを乗せた車は砂漠道を走り、
砂漠の中にポツポツと現れる小さい街を抜け、
午後2時頃にシュムの街に到着しました。
シュムの街でアイアントレインを待つ。
みなさんはアイアントレインという列車をご存知でしょうか?
この列車はモーリタニアの中ほどにあるシュムという街と、海沿いにあるヌアディブという港町を結ぶ列車。
内陸部で採れた鉄鉱石を港へと運ぶための列車で、めちゃくちゃ長い事で有名です。
どれくらい長いか?
なんと全長が2.3kmもあります!
世界で一番長い列車と言われるアイアントレイン。
その2.3kmの大半は鉄鉱石を乗せた貨物車。
そしてこの貨物車には無料で乗る事ができるらしいのです。
そこで色々と先人たちのブログを見て情報収集した所によると、僕たちが乗るシュムから港町のヌアディブへは貨物車に満載された鉄鉱石の上に乗らないとけません。
足元は石だらけで全身真っ黒になるし、吹きさらしになるしで大変みたい。
逆にヌアディブからシュムへ行くときは貨物車は空っぽでそれほどでもないらしい。
それと、アイアントレインには1両だけだけど客車もあって、日本円で1000円ぐらい払えば乗れるみたい。
客車に乗るか貨物車の鉄鉱石の上に乗るかでちょっと迷ったけど、せっかくなので楽しそうな貨物車に乗る事に決めました。
しかし、この選択がまさか地獄への入口だったとは…。
まだこの時は知る由もありません。
話は戻ってシュムの街に着いたところ。
無事到着できたのはいいものの、周りにはちっちゃい建物が数軒あるだけ。
そこら辺を歩いていた人に聞いてみたら列車が来るのは夕方の6時だそう。
あと4時間もある。一体どうしたものか。
そしたら近くにあった建物の中で地元の人が休憩しているのを見つけたので、僕たちもそこで待たせてもらう事に。
強烈な太陽の日差しを避ける事ができるし、横になって寝たりもできるのでなかなか快適です。
ちなみにこの休憩所は有料だったらしく、あとで料金を請求されました。
一人500ウギア(約200円)とかなり高めに取られたけど、4時間近くいさせてもらったからよしとします。
アイアントレインに備えて。
調べた所によると、シュムからヌアディブへ向かうアイアントレインの貨物車は鉄鉱石で満杯。
その上に乗るという事は、もちろん砂鉄まみれになって荷物も体も真っ黒に。
しかも細かい粒が多いらしく、走り始めたら目も開けられないほどなんだとか…。
しかーし、あらかじめ分かっているのなら対策をするのが賢い旅人!
まずは全身が真っ黒になるという砂鉄対策をします。
スーパーで買ったゴミ袋に穴をあけて、服みたいにして着てみます。
見た目はかなりみすぼらしいけど、これで砂まみれになる事はないはず!ついでに防寒にもなりそう。
後ろにいる地元の人たちの腫れ物を見るような視線が痛いですが…。
さらに、僕は水泳用のゴーグルを持っているのでそれも装着。
”きっこ!どうかな?”
”う、うん。いいと思う…。”
”よし!”
これで目に砂が入る事もありません。
ターバンも巻いたし、これでさっきのゴミ袋と組み合わせれば完璧だ!
砂対策が出来たら次は食料調達。
アイアントレインが終点のヌアディブに到着するのは翌日の昼前。
という事は乗ってから最低でも12時間以上は降りる事ができないので、今日の夜ご飯と明日の朝ご飯用の食料が必要です。
ちょうど休憩していた建物の2軒となりに売店があったので、そこで缶詰とパンと水を多めに買いました。
それて忘れちゃいけないメロンミルク!
メロン&乳飲料好きの僕を虜にしたモーリタニアではどこでも売ってるドリンク。
これを景気付けにゴクッと飲んでから、再び横になって列車の時間まで休みます。
嵐の前の静けさ。地元の人々との触れ合い。
午後5時すぎ。
日が傾いて大分涼しくなってきたし、電車がくる(はずの)時刻まであと1時間を切ったので、線路の所まで出て待つ事にしました。
アイアントレインがここシュムに止まると行っても、駅なんてありません。
しかも全長が2.3kmもある列車。
自分の前にどの車両が止まるのかは運次第です。
どこに先頭車両が来るんだろう?なんて考えても仕方がないので、線路沿いの適当な場所にザックを置いてその上に座りました。
周りでは砂まみれになりながら裸足でサッカーをする子供たち。
アイアントレインが来るまでは暇なのでアサラトの練習でもして待とう。
ゴレ島で買って以来、暇な時はずっとこれで遊んでいます。
外は涼しくていいんだけど、風が以外と強くて砂がかなり飛んでくる。
頻繁に目に砂が入って涙が出てきます。
そんな時はアイアントレイン用のゴーグル&ターバン!! with アサラト。
改めて写真で見るとかなり怪しいですね。笑
この恰好でアサラトをシャカシャカと鳴らしてたらポリスに見つかって職務質問されましたが、パスポートを見せたらなんとかなりました。笑
そんな怪しい僕たちに興味を持ったのか、ただ座ってるだけなのにやたらと地元の人に声をかけられます。
アイアントレインに乗る旅行者なんてそんなにいないからきっと珍しいのでしょう。
この男の人は「ハロー」と言ってやってきて、無言のままひたすら僕たちの事を観察し始めました。
ジェスチャーと英語だけで頑張ってコミュニケーションを取ろうとしたのですが全く通じず、彼は30分ぐらい僕たちの顔を眺めてから去っていきました。笑
こっちは「写真を撮ってー!」と言って駆け寄ってきたお母さんと娘さん。
僕も一緒に入ろうとしたら「あたなはいらない」って言われました。ショック…。
ていうかゴーグル付けてるの忘れてた!これが原因か!笑
外しとけば良かった…。
そんな街の人たちとの楽しい時間を過ごしながら待つ事2時間。
ついにその時がやってきたのでした。
つづく
daigoro
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