534日の世界旅行の果てに手に入れた罪悪感。
534日の世界旅行の果てに私が手に入れたもの。
それは、「自然に対する敬意」。
と言うより、「自然に対する罪悪感」といった方が正確だと思う。
世界旅行に出て、初めて知った。
地球は小さかった。
旅に出る前。
地球って、途方も無いほど大きいものだと思っていた。
どれだけ進んでも進んでも、端っこなんてたどり着かないと思ってた。
でも、実際は地球はびっくりするほど小さかった。
例えば南米大陸。3日間車を走らせ続けたら余裕で縦断できちゃうぐらい小さい。
こんな感覚、旅に出るまでは持ってなかった。
ずっと陸路で移動してきたからこそ分かる。
地球って、有限なんだ。
当たり前のことが、理屈じゃなくて感覚で分かった。
そして、その有限な地球の大部分が「人のため」に使われていた。
バスや電車や車に乗って、車窓から見える景色をずっと見てきた。
大都市や工業地帯や採掘場はもちろんだけど、農作地も牧草地も、全部人のためのもの。
アフリカの ”広大な” って言われる自然保護区だって、人のために利用されている場所と比べたらずっとずっと小さい。
かわいそうな動物たちはいつも追いやられている。
動物は言葉を発することはない。
ただ静かに数を減らしている。
草だって森だって、自然のものは何でもそう。
人に利用されるだけ利用されて、人のためにならないものは伐採されて、都合のいいものだけが生き残る。
いたるところに散らばったゴミ。
削られていく山々。
開発される資源。
どうしてこんなにも人はわがままで身勝手なんだろう。
自分のことしか考えられないんだろう。
もっと、地球のためになることをしようと、思えないんだろう。
そして、この小さい地球にあまりにたくさんの人がひしめき合っている。
どこを旅しても、人、人、人。
緑が広がっているようでいて、そこは畑、田んぼ、牧草地。
すべて人のためのもの。
国立公園という限られた空間にだけ、制御されて生かされる動植物たち。
人はあまりに多すぎて、パンク寸前。
地球のために、人は減らないといけないと思った。
ごめんね、と心の中で呟く。
壊されてしまった地球と、追いやられてしまった生き物たちと、汚れたこの星にこれから産まれてくる命に。
人はなんて罪深い。
どうしてこんなに人間本位な世の中なんだろう。
最近になって、悪いのは資本主義というシステムなんじゃないかと考えるようになった。
お金を増やすことばかり考えるから、今みたいなことになってるんだ。
だから、自然から搾取すること、人から搾取することばかりの世界になってる。
資本主義じゃなくて、もっと別のシステム、例えば自然主義、地球主義のシステムだったらいいのに。
そしたら、生産性が悪くても農薬を使わずにがんばっている農家が残って、輸入をせずに地産地消を進めるようになって、必要な食べ物を必要な分だけ食べて、都会の真新しいマンションを建てずに田舎の実家に住むようになって、原子力発電だってなくなって、プラスチックじゃなくて身近な物で作った伝統工芸品が復活して、もっとみんなで共存していける社会になるかもしれない。
そんなの後退だって言う人もいるかもしれない。
そういう人に、パタゴニアの創始者の言葉をそのまま使って問いたい。
“人は皆、後戻りできないと言うが、目の前が崖なら―― そのまま突き進むか、まわれ右をして前に進むか、どっちがいいと思う?”
そんな妄想をしたところで、そんな世界にするためにどうすればいいのか私には分からないけど。
ただ、この想いだけは伝えたい。
あなたの生活の何かを変えてほしい。
例えば、
新しい服や家電を買うときに、
農薬や添加物にまみれた食料品を買うときに、
合成洗剤を下水に流すときに、
車に乗るときに、
ゴミを捨てるときに、
冷房や暖房を入れるときに、
ちょっとだけでも、地球のことを考えてほしい。
そして、心を痛めてほしい。
えらそうなこと言ってるけど、私だって車に乗るし、電気も使うしガスも使う、化粧品だって買う。
ずっとずっとずっと、自己矛盾と戦ってる。
分かってる。100%実現するなんて、不可能なんだ。
不可能だけど、1%でもやろうと思っています。
ほんの少しでも、地球が良くなるかもしれない。
生き物たちが死なずにすむかもしれない。
最後に、2つの動画を紹介したいと思います。
一つ目は、だいぶ前にも一度紹介したことがありますが、セヴァン・スズキのスピーチ。
当時12歳ぐらいの女の子の勇気ある訴えには、何度見ても考えさせられます。
”I’m only a child yet I know if all the money spent on war was spent on ending poverty and finding environmental answers, what a wonderful place this earth would be.”
「私はまだ子供だけど知ってる。もし戦争に使われている全てのお金が貧困と環境問題の解決のために使われたら、この地球がどれだけ素晴らしい世界になるかということを。」
もうひとつは、「テンダーの思い」というドキュメンタリー番組。
電気なし、ガスなし、水道なしで、極限まで自然と共存しようとしている人です。
日本でも、こんな暮らしをしてる人がいるんだ!って、ものすごく衝撃を受けた。
ドキュメンタリーなので長いですが、ぜひ見てみてください。
kicco
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