オアシスの人々の暮らし。静寂に包まれる砂漠の夜。
13~14/APR/2015 in Chinguetti
長い長い道のりを歩いて、ようやく辿り着いた砂漠のオアシス。
昼寝から目を覚ましたら、オアシスに住む子供たちが集まってきていました。
ゴレ島で買ったアサラトを持ってきていたので一緒に遊びます。
私が右手に持っているのがアサラト。
2つ球状の固い木の実がロープで結ばれていて、木の実同士をぶつけて音を出します。
調子良く音が鳴らせるようになるにはまだまだ練習が必要。おもしろい。
しばらくすると、オアシスに住む女性がアクセサリー売りにきました。
残念だけど全く興味が出るものがなかったので、一言断るとあっさり諦めてくれました。
ここでちょうど周りに大人がたくさん集まっていたので、せかぽろ恒例の血圧測定サービスをしてみることに。
でも言葉が通じないからか、みんなの反応は薄くて、何のことかあんまり分かってないみたいでした。
興味津々で集まってはくるんだけど…。
ずっと砂漠の中で生活してるから血圧のことなんてほとんど知らないんだろうなぁ。
数時間休んでだいぶ元気になってきたのでオアシスの中を歩いてみます。
オアシスに生い茂るヤシの木。
ちゃんと水を供給できるように砂で水路が作られています。
乾燥に強いヤシの木とは言え、ちゃんと水をやらないとすぐ枯れてしまうんだろうな。
そして水路の先には井戸。
厳しい大地ではかけがえのない宝物です。
ヤシの森の中でなにやら作業をするおじさんを発見。
豆を拾っていたのでお手伝い。
痛っ!!
見てみたらこんな刺の木が足に刺さっていました。
砂漠には刺のある植物が多い。
おじさんが拾っていた豆。
これを食べるみたいです。皮も豆もカリッカリに乾燥していて、振るとカラカラと音をたてます。
茹でたら美味しい豆になるのかな?
井戸とヤシの木が生い茂るオアシスの周りには人々が生活する住居があります。
自然のものを使った質素な佇まい。
こんな家に住んでいます。
砂嵐とか来ても大丈夫なのかな…。
中を見せてもらいました。
すごく失礼だけど、全部ガラクタみたいに見えてしまう。
でも、どれも生活に必要なものたちなんだろうな。
そこに住む子供たち。
子供たちの遊び道具はぜんぶ手作り。
この4輪車、バランスが悪いので真っすぐ転がすのがすごく難しい。
でもそれがかえって遊び心をくすぐる。よくできたおもちゃです。
家畜もいます。
今は放牧から帰ってきたところ。子供たちが一匹ずつロープで足を括って逃げないようにしています。
学校から帰ってきた上級生の子供たち。
こんな砂漠の一体どこに学校があるんだろう?一体どれくらいの距離を歩いて学校に行ってるんだろう?
帰り道で水を汲んでいる子供たち。
ちゃんと家族の手伝いをしてえらい!
家に荷物を置いた子供たちは、日が暮れるまでずーっとサッカーをしていました。
砂漠の夜。
夕暮れ時。
砂丘に立って辺りをキョロキョロ見渡すシディ。
「こっちにおいで」とジェスチャーされたので行ってみると、砂漠の上にマットが敷かれていました。
今日はここで寝るみたい。
もう陽もかなり低いし外でも十分涼しくなっています。
マットに寝転がってみると、地面から数十センチのところにだけ冷たい空気の層ができていて心地よい風が吹いていました。
上に手を伸ばすと、温度の差がはっきり分かるぐらい。不思議。
寝転がったまま空を眺める。
ここは本当に何もない。
ただっぴろい砂漠。
表面をなでる風に冷やされてひんやりしてきた砂。
昼間は焼けるほど暑かったのに。
足を突っ込んでみると、中の方はまだ昼間の熱が残っていて温かい。
砂漠のことって知らないことだらけだ。
砂漠の靄の中に沈む太陽。
冷たくて柔らかい砂の上に寝そべると、いろんなことが頭の中を巡ります。
何もないとき、私はよく死について考えてしまう。
死ぬのが怖くなって、それからこれからの人生をどう生きようかなって考える。
どんな人生を送りたいかな。
今選んでいる人生は合ってるのかな。
これからのこととか、自分にとって大事なこととか、取り留めもなく考える。
こうやって自分と向き合う時間ってすごく大事。
大事って分かってるけど、そういう時間を作るのって何故か本当に難しい。
こんな砂漠じゃなくても、例えばそこらへんの河原に寝転がったってできるはずのことなのにね。
おかしいなぁ。
でも、今はこうやって自分だけの時間をじっくり噛み締める。
空の色がじんわりと夜になっていく。
自分の心も、じんわりと内面に向かっていく。
本当に贅沢な時間。
日が暮れて真っ暗になると、シディが夕食の支度を始めました。
木や草の枝を燃やして照明にしています。
その火をじっと見ていると、虫がどんどん飛び込んでいく。
なんで死んでしまうって分からずに飛び込んじゃうんだろう。
1時間ぐらいすると夜ごはんが完成しました。昼と同じくパスタ。
こんな砂漠に住んでたら、食事のレパートリーはどうやっても少なくなっちゃうんだろうな。
でもこんなところでまともなごはんが食べられるだけでも幸せなこと。
食後はシディの入れてくれたアツアツで砂糖たっぷりのシャイを飲みながら砂漠の夜を楽しみます。
今日の寝床は砂漠の上にマットを一枚敷いただけ。
でも昼寝したときとは違って、もう暑さにもハエにも悩まされることはありません。
火が消えると辺りは真っ暗。
聞こえるのは風に乗って砂が運ばれる音と、ヤシの木のざわめきだけ。
今日はたくさん歩いて疲れたし、心地いい空気に包まれてぐっすり眠れそうです。
おやすみなさい。
kicco
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