イースター島の夜。満点の星空に包まれて。
27/FEB〜04/MAR/2015 in Isla de Pascua (Easter Island)
ここ最近、夜空を見る機会に恵まれている。
今日も深夜に目を開けて、それからおよそ2時間、月が沈むのをテントの中からうつろうつろしながら眺める。
ここ最近は、月が沈む時間と昇る時間が常に頭の中にあったし、
毎日大きさがどんどん変わっていく月を不思議な気持ちで見つめていた。
夜明けの3時間前。
真っ赤に染まった月が沈み始めた。
月の夕焼けを見るのなんて初めてで、心を奪われた。
月がどんどん赤みを増していき、静かに沈んでいくのを最後まで見届けた。
都会の喧騒にいたら、何も知らずに過ごしてしまう。
月明かりがまるで照明みたいに明るいことも、
道端の石ころさえくっきり見えることも、
月があったら星が見えないことも、逆に雲がはっきり見えることも、
月が今満ちていっているのか欠けていっているのかも、
満月の日は夜通し空に月があることも、
新月の日は太陽と月がほとんど同じ時間に昇って沈むことも、
毎日50分も月の出がずれていくことも、
月にも朝焼けや夕焼けがあることも。
こんなに何日も続けて夜空を眺めてたことってなかったし、これから先もう一生ないかもしれない。
昔の日本人なら誰もが知っていた当たり前のこと。
人々の生活は便利になったはずなのに、
機械化が進んで自由にできる時間が増えたはずなのに、
そんな当たり前の自然の移ろいすら感じることができなくなってしまったのは何でなんだろう。
月明かりは真っ白で冷たい。
でも、人工的な照明のように私の眠りを妨げることはない。
月の存在は私の遺伝子にきっちり組み込まれている。
そして今日も月が沈みました。
明後日は満月です。
月が沈んだら、スクーターに乗って星空と朝日を見に出かけます。
さあ、出発だ。
朝日とモアイが一緒に見れるトンガリキまで。
辺りは真っ暗闇。
波の音だけが聞こえている。
時折、ネズミが目の前を走って逃げる。
スクーターの灯りだけを頼りに進む。
前が少ししか見えないから怖い。
昼間にも同じ道を通ったのに、ずっとずっと遠く感じる。
ようやく目的の場所にたどり着いた。
イースター島の東の端。灯台の明かりが見える。
ここはキャンプサイトから島のほぼ反対側に位置する場所。
スクーターを止めて、ゆっくり海岸に近づくと巨大なモアイの影が見えた。
真っ暗闇の中で見るモアイは今にも動き出しそうで心が怯える。
辿り着いたのは、モアイたちが佇む海岸。
満点の星空には天の川がくっきり見えている。
今ここには私たち以外だれもいない。
満点の星空をふたりでゆっくり眺める。
夜の空気はひんやりして冷たくて、だんだん朝日が待ち遠しくなってくる。
そして、星空を眺め始めてから2時間ぐらいすると、少しずつ空が明るくなって来た。
ゆっくり、本当にゆっくり、空の色が変わっていく。
そして、今日も朝日が昇る。
温かい陽の光を受けた山々がオレンジに染まる。
昇ったばかりの朝日が作る影は長い。モアイに負けないぐらい、私たちの影も長い。
太陽が顔を出したあとも心ゆくまでモアイを眺め、太陽のぬくもりをたっぷり感じてからこの場所を離れた。
トンガリキからキャンプサイトに帰る途中、ラノララクの方を見ると、モアイがたくさん見えた。
ポコポコしていて、モアイが次々と生まれてきているみたい。
スクーターを走らせて、島の中心部の山に登る。
大抵のモアイは海の近くに立っているけど、このモアイは山の中にある。
普段は海を背にしているモアイの背後に近づいてみる。
やっぱりモアイは薄っぺらいな。笑
それからも、毎日お散歩して夕陽を眺め、海を見つめては果てしなく遠い大陸に想いを馳せ、ここに住んでいた人々のことを想像し、刻一刻と表情を変える島の素朴な自然を感じてすごした。
テントに寝転がって、毎日島と大陸とを行き来する飛行機の離着陸を眺めたり。
キャンプサイト遊びにくる猫と遊んだり。
夕方になると毎日海岸に夕陽を眺めにいった。
そして最後の日の朝。
もう十分にこの島を満喫したからゆっくり寝てようと思ってたけど、やっぱり早起き。
波が荒々しく島に打ち寄せる海岸に座って、空が明るくなって星が消えていくのを眺めました。
これでこの島とももうお別れ。
想像以上に楽しかったこの島を離れると思うとすごく淋しいし、名残惜しい。
チケットが高くて一時は諦めようとしてたけど、本当に来て良かったな。
さようなら、イースター島。
kicco
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