アスワンで取るスーダンビザ & 奴隷船チケット。
12/AUG/2014 in Aswan
夜行電車でアスワンに着いて3時間だけ仮眠を取った私たちが、眠い目をこすりながらまず向かったのはフェリーのチケットオフィス。
私たちの次なる目的地であるスーダンへは道路が繋がっていない為、飛行機で飛ぶ以外はここアスワンから出るフェリーに乗るしかありません。
しかし、そのフェリーでの移動は「世界一過酷な船旅」と呼ばれていて、定員300人乗りのフェリーに700人近くのスーダン人たちがエジプトで買い込んだ大量の荷物と共に乗り込み、まともに寝るスペースも与えられないまま17時間も移動しなければならないらしいのです。
そしてこのフェリーは乗船率の異常さから”奴隷船”とも呼ばれていて、エジプトのアスワンからスーダンのワディハルファの間を運行しています。
ただし、この船は週にたったの1便しかなく、しかも運行される曜日は頻繁に変わるらしく、はっきりした曜日は直接チケットオフィスに行って確認するしかありません。
週一便ということは、タイミングが悪ければ余り見所の多くないこのアスワンで一週間も過ごすことになる。
ロストバゲッジなど諸々の理由によりカイロで時間を使いすぎてしまった私たちは、一刻も早くスーダン入りをしたいのでそれは絶対に避けたい所です。
スーダン行きのフェリーチケット
チケットオフィスに着くと、すでに人が10人ほど集まっていました。
窓口はまだ開いていませんでしたが、スタッフらしき人が順番待ちの名簿に私たちの名前を記入してくれました。
チケット販売は9時開始と聞いていて、順番待ちをしている人たちもみんな9時に開くと言っているのでしばし待つ。
しかし結局オフィスが開いたのは9時半。
まあよくあること。
と思っている間もなく、我先にと窓口に人が殺到。
早いもの順でチケット購入の手続きが進められて行く。
しかし数人が手続きを済ませた後に、名簿に名前を書いた順に並ぼうと誰かが言い出した。
…それだったら最初から名簿順に並べてくれればいいのに。
でもだいごろの順番は七番目だったしまあいいか。
10分ほど待つといよいよだいごろの順番が回って来た。
これで無事チケット購入!
と思ったのに、窓口の人から放たれた言葉はなんと「日曜のチケットは売り切れたよ。」
えー、ショック!
「その次のチケットは来週の木曜日。9日後。」
9日後って…
カイロでゆっくりし過ぎて行程が遅れ気味の私たちにとっては、5日後にスーダンに行くか9日後に行くかはえらい違い。
それにアスワンでする事ってそんなになさそう。
アブシンベル神殿を見たら終わり。
嫌だ!絶対嫌だ!!
でも売り切れたものはもうどうしようもない。
仕方なく9日後の木曜日のチケットを予約だけして帰る事にしました。
チケット代金はスーダンビザが取れてから、乗船の前日までに払いに行けば良いそうです。
しかし、さすが大人気チケット。。
どんなに残念な素振りを見せても、こっちの事情を訴えても買えないものは買えなかった。
何とかならないかと調べていると、過去の旅人情報で当日チケットを買えた人もいるみたいなので、駄目元で売り切れと言われた日曜日の船への飛び入り乗船にチャレンジすることに決めました。
アスワンで取得するスーダンビザ
チケットが買えなくて落ち込むのもそこそこに、次に私たちが向かったのはスーダン大使館。
スーダン大使館はカイロにもあるけど、カイロでビザを取ると100ドル、ここアスワンで取ると50ドル。
全然違う!
二人で100ドルって超大金!!
しかも、カイロで取ったら一週間近く待つけど、アスワンなら即日発行もあるらしい。
なので、私たちはアスワンでの取得を試みることにしました。
でもアスワンのスーダン大使館はビザの発行日数が気まぐれな事でも有名。
即日のときもあれば一週間以上かかるときもあるらしい。
酷いケースだと何故かビザの発行はしていないと言われてカイロまで戻った人までいる。
しかもそれはわずか半年前の話。
果たして私たちはどうなる事やら。。
まずは駅前のインフォメーションセンターで、大使館の場所をアラビア語でメモしてもらい、タクシーで向かいました。
ちなみにアスワンのインフォメーションセンターは二回行ったけど、英語ペラペラだし丁寧だし親切だし素晴らしかったです◎
普段ならタクシーは使わないけど、今は一刻を争う。
この手の手続きは午前中に行くのが基本。
今はすでに11時近い。
急いでいかないと門前払いを食らう。
アスワンのスーダン大使館は最近移転したらしく、アスワン駅からタクシーで15分ほど走った所にあるモスクの近くにありました。
タクシーを降りてモスクの脇を歩いて行くと見えて来た。
これがアスワンのスーダン大使館。
中に入るとフレンドリーな受付スタッフが出迎えてくれましたが、ビザの発行担当のスタッフはイマイチ愛想が良くない女性。
相手の機嫌を損ねないようにニコニコしながら必要書類を提出し、空腹に耐えながら待つ。
これだけ時間がかかるということは、まさか即日発行か?!
二人ともかなり期待しながら待つ。
しばらくすると、女性がパスポートを持ってやってきた。
やった!これでビザゲットだ!!
と思い色めき立つ私たちに向かって彼女はこう言った。
「日曜日にビザができるから、また取りにきて。」
え!!?
日曜日はチケットが完売したフェリーへの飛び入り乗船に挑戦する日。
もちろんビザはそれまでに受け取っていないと話にならない。
「私たちは日曜のフェリーに乗るので、どうしてもそれまでに必要なんです、お願いします。」
精一杯の困った顔でお願いしてみるも、
「そうは言っても、ビザにサインできる上司が日曜日にならないと来ないから、私にはどうすることもできません。」
と、表情を変えずに答える女性。
アスワンでのビザの発行日数にばらつきがあるのはそういうことか。
要は、ボスがいるかいないか、なんだ。
「そこを何とか…!」と粘る私たち。
「じゃあ、木曜(イスラム圏は金土休みなので、日曜の前の勤務日は木曜)にここへ電話して。ビザが取れる保証はできないけど。」
女性は相変わらずニコリともせずに応えた。
茫然自失でスーダン大使館から出た私たち。
船のチケットは無いし、ビザも取れるか分からない。絶望的な状況だけど待つしか無い。
こうして私たちは日曜日の飛び入り乗船へのわずかな可能性を繋いだのでした。
そして、木曜日。
大使館が開く9時丁度にだいごろが電話をかける。
音声が途切れ途切れではっきりとは分からないけど「とりあえず来い」と言っているらしい。
前回タクシーに乗って高かったので、今度はバスで大使館へ向かう。
一人1ポンド(約15円)
大使館に着くと、先日の女性に笑顔でパスポートを差し出す。
女性は黙って受け取ると「しばらく待つように」と言った。
祈るような気持ちで待つ。
15分ぐらい待つと、「上の階でビザ代を払ってきて」と告げられた。
ビザの申請料は前情報通りの50ドル。
「お金払ったってことは、今日もらえるってことかな??」
「いやー、まだ分からんやろ。」
そんな話を2人でしながら待つ。
しかし待てども待てども女性は部屋から出て来ない。
状況を確認したいところだけど、相手の機嫌を損ねるような事だけは避けなくてはならない。
がまんがまん。
そんな私たちを察したのか、受付のスタッフがシャイをいれてくれた。
なんて親切。
砂糖が白く見えるほど沈殿したいつもの味は、焦る私たちを落ち着かせてくれました。
どれくらい待っただろうか。
ついに女性がパスポートを持ってきた。
おそるおそる中身を確認すると、、、
スーダンビザがしっかりと貼り付けられていました!!
やったー!!
部屋に戻っていこうとする女性に、満面の笑顔で「シュクラン(ありがとう)!!」と言うと、彼女の口角が少しだけ上がった。
二重に嬉しかった。
kicco
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