世界初の負の遺産。平穏な島に残されたもの。
08/APR/2015 in Île de Gorée, Senegal
今日はダカールの港からフェリーに乗ってゴレ島いう島へ向かいます。
ゴレ島はかつて最大の奴隷貿易の拠点となっていたという悲しい歴史を持つ場所。
宿からバスに乗って街の中心まで行き、そこから歩いてフェリーターミナルへ向かいます。
またしてもお釣りないない攻撃。もう嫌だ…。
フェリーのチケットオフィスに行ってみると、ゴレ島への往復チケットは一人5,200フラン(約1,000円)、二人で10,400フラン。
私たちは例の「お釣りないない攻撃」により小銭を全く持ってなくて、1,000札が1枚と、10,000札がたくさんある状態でした。
チケット代は10,400フランだから1,000札を1枚と、10,000札を1枚だせば良いんだけど、使い勝手の良い1,000札は残しておきたい所。それに観光客が頻繁に利用するフェリーのチケットオフィスなら、絶対お釣りをくれるはず。
10,000札を2枚出して支払います。
すると冷たい目をしたお姉さんが、「もっと小さいお札はないの?」というジェスチャー。
“ないです。”
「じゃあ次の人。」
え?!
まさかチケットを売ってくれない?!
そしてその言葉通り次の人に順番が回ってしまいました…。
なぜかその人にはちゃんとお釣りのお札が支払われてたし、レジを観察すると明らかに小札がいっぱいあるのに!!
でも、船の出航が迫ってる。
しぶしぶなけなしの1,000札を使ってチケットを購入。
ニコリともせずにチケットを手渡されました。
ちくしょう。。
負の世界遺産。ゴレ島を歩く。
またしてもお釣りないない攻撃にやられて気分が優れませんが、なにはともあれ出航です。
フェリーに乗り込むとセネガル人観光客と外国人観光客が半々ぐらい。
20分ほど船に乗ると、青い海に浮かぶ素朴な島が見えてきました。
いよいよゴレ島に上陸です。
ゴレ島はかつて奴隷貿易の拠点として栄え、負の世界遺産としては世界で初めて登録された場所です。
フェリーから降りておそろそる街を歩いてみます。
すると、びっくりするほど穏やかでのんびりした雰囲気。
ムスリムの帽子を被ったおじさんが井戸端会議。
男の人も女の人も独特のカラフルな衣装を着て歩いています。
通り抜けたら二度と戻れない扉。
ゴレ島をしばらく歩き回った後に向かったのは「奴隷の家」と呼ばれる建物。
しかし、ここでまたしてもお釣りないない攻撃が…。
一人500フラン(約250円)の入場料。
フェリーの一件で手持ちが10,000札しかなくなっていたので、それを出してみると、
「ごめん、今はお釣りがない。出る時に払って。」
またか…。
そして見学が終わって出る時に払おうとすると、「お釣りが用意できなかったから、もうお金払わなくていいよ。」と言われました。
どんだけお釣り用意するのが難しい国なんだ…。
おかげで運良く(?)500円ほど儲けました。笑
この奴隷の家は1776年にオランダ人によって建てられたもので、正面の扉から光が差し込んでいます。
この扉は「戻らずの門」と呼ばれていて、その先に広がるのは広い広い大西洋。
奴隷たちはここから船に乗せられ、主にアメリカ大陸へと長く過酷な航海へ向かうことになるのです。
最後の抵抗として、船に乗る前に海に飛び込んで脱出を試みる奴隷もいたそうですが、ほとんどが殺されたりサメの餌食となってしまったそうです。
奴隷の家の1階には薄暗い部屋がいくつかありました。
ここは奴隷たちを収容していた場所。
小さな空気穴一つだけが開いたこの部屋に、男、女、子供、少女などに分けられて鎖で繋がれていました。
扉が固く閉ざされていたら、この部屋も真っ暗なんだろうな…。
この奴隷の家からは、なんと総計2000万人が世界各地に送られたと言われています。
航行期間は3〜9ヶ月。
効率よく運ぶため、手錠をかけられぎゅうぎゅうに詰め込まれた奴隷たち。
ろくに食事も水も与えられず身動きがとれない劣悪環境で、死亡率は30%を超えることもありました。
遺体は航海の途中で海に投げ出されサメに食べられたそう。
病気になった人を海に投げ捨てることもあったそうです。
当時の白人たちは、黒人のことを同じ人間だとは思ってなかったんだっていうことがよく分かります…。
奴隷の家を出ると、そんな暗い過去はなかったかのような平穏な空気に包まれていました。
そんなゴレ島で半日ほどのんびり過ごし港で帰りのフェリーを待っていると、アサラトと呼ばれる西アフリカ発祥の楽器(マラカスみたいな楽器)を持った人が私たちの所にやって来ました。
私たちは旅に出てからほとんど自分たち用のお土産を買ったことがなかったけど、このアサラトは気に入ったので珍しく買ってみました。
自分たち用とこの先の旅でお世話になった人へのプレゼント用に2組購入。
(とは言いつつも、帰国までに自分たちの分も誰かにプレゼントしてしまうと思うけど。笑)
1組1,000フラン(200円)で買ったけど、ぼられてるかなぁ。
でもお値段以上に楽しいから気にしない◎
上手く音がならなかったら、近くにいる人がすぐに話しかけて教えてくれます。
暗い歴史を秘めた島。
そこで営まれる人々の穏やかな暮らし。
今のゴレ島があまりにも素朴で平穏で、過去の負の遺産の暗さがより際立っていました。
おわり
kicco
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