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17~18/DEC/2014 from Cañuelas to Tres Arroyos

パタゴニアへと続く長い長い道のりのスタート地点に立った私たち。
(前回の記事をまだ読んでいない方はこちらからどうぞ▶︎パタゴニア一周ヒッチハイクの旅、始まる!!

二人で親指を立ててじーっと待ちますが、車はびゅんびゅん走り去っていきます。

それによく見てみると、ほとんどのドライバーが私たちの進行方向を指差すようなジェスチャーをしてきます。

うーん、どういう意味だろう?
もっと前でヒッチハイクしろってことかな?

分からないけど、とりあえず車が止まれそうなところでやるしかない。

初めてのヒッチハイク。

右も左も分からないけど、じっと待つしかありません。
ヒッチハイク
 

ここまで来るのに手こずってしまったので、ヒッチハイクを始めたのはもう午後の3時。

今からだったらすぐに日が暮れて、今日はここで野宿かもしれないな…。

そんな不安が頭をよぎります。
 

しばらくすると、だいごろが何かをひらめいたようで、ザックをごそごそし始めました。

”そういえばワールドカップの時にもらった日の丸がザックの中にあった気がする!”

そして出してきた日の丸を手につけてヒッチハイク。
(左手に握りしめているのはコロンビアで買ったスペイン語の会話集)
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すると30分もしないうちに一台の車が私たちから少し離れたところに止まりました。

まさか!?

止まってくれた!??

驚きながらも車に駆け寄りスペイン語で話しかけます。

”南に行きたいんだけど。”

「いいよ。途中までだけど乗せていってあげるよ。」

”え!ほんとに!やったー!!!”
 


私たちを拾ってくれたのはアレハンドロというおじさん。

この辺りは暑いので上半身はだかです。笑
PC180737
 

乗せてもらって話を聞いてみると、彼の家はトレスアローショス(Tres Arroyos)という街にあって、そこまで乗せていってくれるそう。

彼の持っていた地図を見せてもらうと、なんとここから520kmも南にありました!

初日から500km以上も進めるなんて!

ビギナーズラック!
 


ここからアレハンドロの家のあるトレスアローショスまでは5時間ぐらいのドライブ。

まだまだスペイン語が全然分からない私とだいごろはエクアドルで買った辞書と、コロンビアで買った会話集と、日本から持って来た文法書を手に握りしめながら必死に喋り続けます。

スペイン語が上手く話せないので難しかったけど、せっかく乗せてくれたアレハンドロを退屈させないにように、二人で一生懸命話しました。
 

アレハンドロはそんな私たちのたどたどしいスペイン語でも、丁寧に応えてくれます。

こっちが理解できなくても、ずっと穏やかな表情で何度も繰り返し言ってくれます。

すごく優しいおじさん。
PC180758
 

スペイン語で色々と聞いてみると、アレハンドロは大型トラックの運転手。
携帯に入っている写真を見せてもらいましたが、日本ではお目にかからないぐらい本当に巨大なトラックです。

今日は仕事は休みで、友達をブエノスアイレスまで送っていった帰りだそう。

「今日は行きは友達がいたし、帰りは君たちがいるから嬉しいなぁ」

トラックの運転手は仕事で運転している時はずっと一人で淋しいだろうなぁ。
淋しがりやの私とだいごろにはできない仕事だなぁ、と思ってしまいます。
 

その他にも私たちの家族の事や、日本の事、ご飯の話など、いっぱいいっぱい話しました。
PC180750
 


そして、そろそろトレスアローショスに着こうという頃。

アレハンドロが言いました。

「今日は家でパリーシャ(炭火焼き肉)をするから、ちょっと肉を買って来るよ。」

そう言って車を停めて肉屋へ走っていきました。

それ以外にも何か言っていたようでしたが、うまく聞き取れませんでした。
友達と一緒にパリーシャをするのかな?
 

そして肉を買って再び走り出すと、日も暮れてきました。
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アレハンドロの話では、トレスアローショスには24時間開いているガソリンスタンドがあるそうなので、今日はそこで野宿。

アレハンドロに、”ガソリンスタンドの近くで降ろしてほしい。”と伝えていたのですが、どんどん住宅街に入っていきます。

そして辿り着いたのはこじんまりした可愛らしい家。

「家に着いたよ。」

アレハンドロは何故か私たちを家に招き入れてくれました。
 


家に入るとアレハンドロの家族と親戚の人が集まっていたので、全員とハグ&挨拶。

その横でアレハンドロがスペイン語で私たちに何か言っていますが、よく分かりません。

”あの、ガソリンスタンドはこの近く?”

聞いてみますが、アレハンドロが「こっちへ来て」と私たちを家の奥へ引っ張っていきました。

そこにあったのがこれ。
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”え?これは??”

全然状況が飲み込めていない私たち。

でも彼の身振り手振りと状況から察するに「今からパリーシャ(焼き肉)をするから、私たちと一緒に食べよう!」

そう言ってくれているみたい。
 

え?!

今日たまたま道で出会っただけの、見ず知らずの私たちのために??

信じられない!!!
 

お肉を買っていたのも私たちを招待するため?!

嬉しさよりも戸惑いが勝ってしまって二人ともしばらく呆然としていまいましたが、せっかくの招待を断る訳にもいかず、ありがたくごちそうになる事にしました。
 

家族もみんな「ようこそ!」と笑顔で迎え入れてくれました。
見ず知らずの他人なのにどうしてこんなに優しくしてくれるんだろう?!

びっくりしすぎておどおどする私たち。

「まあまあ座って。自分の家だと思っていいから。」

アレハンドロが挙動不審の私たちをテーブルに座らせてくれました。笑
 


「お肉が焼けるまでこれでも飲んでね。」

そう言ってアレハンドロの奥さんのマルタが出してくれたのはマテ!!

昨日パブロに教えてもらった通りのやり方で、家族みんなとカップをぐるぐるシェアします。
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もしパブロに教えてもらっていなかったら、カップを独り占めしてしまったり、飲み干さずに返してしまったり、グラシアス(ありがとう)が「もう結構です」という意味だと知らずにぎくしゃくしてたかもしれない。

パブロが英語で事細かに教えてくれたおかげですごくいい感じでマテコミュニケーションができた!

こんなにすぐ役に立つなんて、ありがとうパブロ!!
 

マルタと一緒にいるのはアレハンドロとは義理の親子にあたるデルフィーナ。(スペイン語自信無いからたぶんだけど。)
人で血圧測定をしながら旅していると言うと、「すごい!すごい!」と言っていました。
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マルタとデルフィーナと一緒にマテを飲みながら、”私たちはこれからパタゴニアにに行くよ”という話をすると、家族で氷河を見に行ったときの写真を見せてくれました。

写真を見ていると家族は本当に仲良し!!

ハグしてる写真やふざけてる写真、面白い写真が多くて、アレハンドロ一家に愛が溢れているのが見ているだけで感じ取れました。
 


「できたよ!」

しばらくするとアレハンドロとラウル(アレハンドロの親戚)がみんなを呼びに来ました。

さっきのパリーシャ専用の場所に行ってみると、美味しそうに焼けたお肉たち。

アルゼンチン名物のアサド(牛のあばら肉)とチョリソー。
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焼きたてを食べてみるとめちゃくちゃ美味しい!!

お世辞抜きで、この旅行中に食べた肉の中でダントツで一番美味しかった!!

アルゼンチンは牛肉大国でお肉がおいしい事で有名。

たぶん美味しいアルゼンチンの肉の中でも最上級の肉を買ってくれたんだと思います。

マルタとデルフィーナが用意してくれたサラダと一緒にいただきました。

おまけに美味しいアルゼンチンワインまで振る舞ってくれました!最高!!!
 

肉をお腹いっぱい食べた後は、デザート!

ドルセ・デ・レチェ(Dolce de Leche)というこれまたアルゼンチン名産品がたっぷり入ったアイス。
デルフィーナがわざわざ買ってきてくれました。
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ドルセ・デ・レチェはどろっとしたキャラメルみたいな激甘の食べ物で、パンに塗ったりデザートに使ったり。アルゼンチンのソウルフードです。
 

本当にどれも美味しかった!!ごちそうさまでした!
PC180791


”じゃあ私たちはそろそろ帰ります。本当にありがとう。”

そういってザックを背負おうとしたら、アレハンドロがまた家の奥へ私たちを引っ張っていきました。

連れて行かれたのは2段ベッドが置かれた部屋。

”え?!”

”いや、私たちはガソリンスタンドで寝るから大丈夫。”

そう言って部屋を出ようとした私たちをアレハンドロとマルタが止めます。

「ここは君たちの家って言ったでしょ。好きに使っていいからね。」
 

今朝ブエノスアイレスを出発したとき、初めてのヒッチハイクですごく緊張していて、どうなるのか全然分からなくて、不安でいっぱいでした。

優しい人に拾ってもらえて目的地まで一歩前に進めただけですごいことで、それだけで十分。

今晩は寒いガソリンスタンドの横で頑張って野宿して、明日の朝また乗せてくれる人を探す。

はずだったのに。

なんで?

なんでこんな…。
 

あまりに嬉しいことが立て続けに起こって。びっくりして。

よく見たらだいごろの目には涙。
 

”ありがとう”
 

暖かい家のふわふわした布団に包まって今日起こったたくさんのことを思い返します。

ヒッチハイクを始めた時には想像もできなかったことばかり。

これは間違いなく現実の出来事なのに、今起こっている全てのことが素晴らしすぎて、キラキラ輝いていて、夢にしか思えませんでした。
 


そして次の日。

別れの朝。

愛情溢れるおもてなしをしてもらったお礼に、日本からずっと持ってきていた小さな習字セットと和紙をプレゼントしました。

もっとちゃんとお礼をしたかったけど、これぐらいしかあげられるものがなかった。

そして、和紙にアレハンドロとマルタの名前を漢字とひらがなとカタカナで書いてあげたらすごく喜んでくれました。
 

そして今度こそザックを背負って家を出ようとすると、「これを持っていって!」

そう言って、アレハンドロが分厚いアルゼンチンの地図とガイドブックが一緒になった綺麗な本を渡してきました。

こんなにもてなしてもらったのに、これ以上は貰えない!

”No, No, gracias(ありがとう)!!”

”Comer mucho(食べる、たくさん), dormir mucho(眠る、たくさん)!!”

でたらめなスペイン語でもう十二分にもてなしてもらったという気持ちを伝えます。

すごく高そうなしっかりした本だったので何度も返そうとしたのですが、「これがあれば旅がしやすくなるから。」と言って最後まで受け取ってもらえませんでした。

アレハンドロのサインが入ったこの地図は今でも私たちのザックの中に入っている宝物です。
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その後、買い物のついでだからとアレハンドロの車でガソリンスタンドまで連れて行ってもらいました。

アレハンドロとハグをして別れます。

そしたらアレハンドロに出会ってからの出来事が頭の中に浮かんで来ました。
 

”ほんとに、ほんとにありがとう。”

ハグをしながら私とだいごろは号泣。

「またいつでも遊びに来て。君たちは家族だから。」

アレハンドロも涙をこらえながら去っていきました。
 

 

アレハンドロがいなくなったガソリンスタンドで泣き続ける私たち。

まだ始ったばかりだけど、この先どんな辛い目にあってもヒッチハイクをしたことを後悔することは絶対にない。
だって、こんなに素晴らしい人たちに巡り会えたから。

”ヒッチハイクする事にしてほんとに良かったね。”

だいごろと二人で泣きながら頷き合いました。
 

ありがとう。アレハンドロ。
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