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きっこです。

今日で私たちが旅に出てちょうど一年。

キリがいいので、今更ですが旅に出ることを決断するまでの話を長々と書きます。

ほんとに長いので三部作です。笑
 


 

最初に旅に出ると言い始めたのはだいごろ。

きっかけは仕事を始めて2年目のゴールデンウイークに行ったインドだった。
 

インドはとにかく強烈な印象を私たちに植え付けた。
貧富の差、お金に関する考え方、食べ物、服装、音楽、建物、景色…全てがあまりに日本と違っていた。
 

私はインドに行く前も色んな国に行ったことがあった。
ヨーロッパの国々、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アジアの国ではカンボジア、中国など。
 

でも、インドは特別だった。全然違った。

今までで一番、「外国に来た」と思わさせられる国だった。
 

このインド旅行の後、もともと旅行が好きで国内をたくさん旅行してきただいごろは、
世界に目を向けるようになった。

世界旅行に行きたいという夢を描くようになった。

それからかれこれ2年以上、だいごろは私を説得し続けた。
 

その間、会社の長期休みを利用して年に3回も一緒に海外旅行に行った。

イスラエル、ヨルダン、マダガスカル、ケニア、ロシア、ネパール、キューバ、メキシコ
…変わった国ばっかり。笑

その旅行でだいごろは満足するどころかますます旅に出たいという思いを募らせていった。
 

だいごろが行きたい国はたくさんあった。

会社の休みを利用しても行ける国は高々知れてる。
 

例えば南米やアフリカなんかに行こうとすると、
大金を叩いても滞在日数は少ないから何度も行かないといけない。

割に合わないし、行ききれない。

そんな話を何度も聞かされた。
 

仕事から帰ると、毎日のように本が増えていた。

まだ行くとも決まっていない国の地球の歩き方やロンリープラネット、バックパッカーのための本、旅行記。

あとは、自己啓発本。
時間に捉われない人生とか、決断を後押しするとか、死ぬとき後悔することとか、人生の短さについてとか。

本棚はすぐにいっぱいになって、狭い部屋の寝床をどんどん侵食していった。
 

 

最初は全く乗り気じゃなかった。
 

だって仕事が楽しかったから。

私はメーカーで設計の仕事をしていた。

この仕事で気に入っていたところはたくさんあった。
 

私は物を作るのが昔から好きだった。
だから、商品設計できること自体が嬉しかったし、自分が設計したもの、実験したもの、関わってきたものが日本や世界に売られていくのは夢のようだった。

それから、中国やベトナムの工場には頻繁に出張に行っていて、現地の人と一緒に働くのもおもしろかった。
私の海外を知りたい欲はそれで満たされていた。

そして一緒に仕事しているメンバーにも恵まれた。
人間関係のストレスとは無縁の素晴らしいメンバーだった。
納期が迫って厳しい状況になっても、みんなで笑い飛ばしながら乗り切るような明るい職場だった。
仕事のプレッシャーは全て上司が温かく受け止めてくれていた。

給料も申し分なかったし、福利厚生もしっかりしていた。
短時間勤務で働くママさん社員もいたし、子供を産んだとしても続けられると感じられる職場だった。
 

本当に楽に仕事させてもらって、給料だけ詐欺師のようにがっつりともらってきたものだと思う。
 

唯一不満だったのは残業が長くて休日出勤も多かったこと。
そうは言っても日本の一般的なメーカーよりは少ないだろうけど。
 

そんな恵まれた仕事を手放すのは簡単なことではなかった。

私は女性だし、もう二十代後半だから再就職は難しいだろう。

 

 

だいごろは一人で旅に出る気はさらさらなくて、「旅に出るならきっこと一緒に行く」とずっと言われていた。

そんなこと言わずに一人で行ってくれたらいいのにって言う気持ちがたくさん、
そりゃあ一緒に行けたらいいだろうなっていう気持ちがちょっぴり。
 

説得され続けて2年半。
旅に出たらどうする、どこに行く、とか、こんなすごいところがこの国にある、とか、だいごろは毎日のように語った。

徐々に気持ちは揺れ動いていたけど、一歩踏み出すには決め手にかける日々。

「足踏みしてても、靴の底は減るぜ。」

だいごろが買ってきたとある本に書かれていたこの言葉がずっと頭に残っていた。
でも踏み出せない日々は続いた。
 

早く旅に出たくて仕方がないだいごろと、仕事を辞めたくない私。

二人で何度もこれからの人生について相談し、妥協点を見出そうともした。
でも結論はなかなか出なかった。時間だけが過ぎて行った。

辛かったし、何度も喧嘩した。
何度も泣いた。

つづく



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