旅に出て一年。旅立ちを決断するまでのことを今更書いてみる。その2
そして、仕事を始めて4年弱、世界旅行を悩め始めて2年半の、2013年11月末。
その日仕事から帰ると、だいごろが買った一冊の本が目に飛び込んできた。
「あした死ぬかもよ?」
という、胡散臭いタイトルと変なイラストが書かれた本。
(気になる方はこちら。▶︎あした死ぬかもよ?)
何気なく手に取ってみて、それから一気に読んだ。
死をイメージして、今の生き方を考えましょう、という内容の本。
その本のイメージトレーニングに書かれていた。
「あなたは、今よぼよぼのおばあちゃんです。
そして、まさに今あなたは死のうとしている。
周りには家族が見守っている。
これまでの人生を振り返ってみよう。
あっという間だったでしょう。
どんな人生だった?」
そんなことが書かれていたと思う。
そのとき、私ははっきりとイメージした。
自分が死ぬときのことを。
世界旅行に行った人生と、行かなかった人生の二つの人生を振り返った。
そして思った。
どうせ死ぬなら、思いっきり色鮮やかな世界を見てから死にたい。
そして一人でわんわん泣いた。
しばらくしてだいごろが仕事から帰ってきた。
布団に包まって、真っ赤っかの目だけを布団から出して、私は泣きながらこう言った。
「だいごろ、ヒック、、わたし、せかい、りょこう、ヒック、、、いぐ…!」
そして、私は、私たちは、旅に出ることを決断した。
今までの人生で間違いなく一番悩んだ時期だった。
期間も長かったし、テーマも重かった。
年末年始に帰省したときに、家族や仲のいい友達にも話した。
これまでにも散々相談してきたから、みんなよく理解してくれた。
ひとしきり相談して、年を明けてからもう一度よく考えた。
あの本を読んだときのイメージをもう一度してみて、自分の気持ちを確認しようとしたけど死ぬイメージができたのは最初に本を読んだ一回っきり。その後は何度やっても出来なくて不安になった。
でも、そのときの気持ちを信じることにした。
世界旅行に行くことは決めた。
あとは、休職できるかどうか。
そう。私は仕事が好きだったから、できれば今の仕事を辞めたくなかった。
でも、思い返してみれば休職したいという思いは中途半端だったな。
いくら今仕事が好きだと言っても、旅から帰ってきて同じように働きたいと思っているかどうかなんて自分自身でも分からないもの。
でもとにかく、部長に相談することにした。
相談したら後戻りは難しくなることは分かっていたから、相談しようと決めてから実際に声をかけるまでに丸々一週間もかかってしまったのだけれど。
その日の日記をそのまま引用してみる。
“2014年1月18日。
今日は私の人生で歴史に残る一日。
○○さん(部長)に、やっと言えた。たった一言。
「ご相談したいことがあるので、お時間いただけませんか?」
今週丸々一週間、何度も言おうとして言えなかった一言。
ついに言えた。
偉大な一歩。
ようやく長い足踏みを終えた。
踏み出した一歩は震えていた。”
あの一言を言った後、自分の足が産まれたての子鹿みたいにがくがく震えていたのを今でも覚えている。
それから何度か面接して、会社側としては休職は難しいという話になった。
そりゃあそうだろう。
散々遊びに行って帰ってきて、何の技術も身につけてないのにそのまま働きたいなんて、そんな虫のいい話がある訳もない。
「ちょっと考え直してみて、結論が出たらまた教えて。」
部長はそう言ってくれた。
このときの私は世界旅行に行くためのエレベーターに乗ったばかり。
まだドアは閉まってない。
「ちょっと待って!」と言って、ダッシュすればエレベーターから飛び降りれる。
まだ間に合う。
もう一度、最後に考えて、でもやっぱり世界旅行行きのエレベーターの中に踏みとどまることにした。
果たして、このエレベーターは上に行くのか、それとも下に行くのか…。
分からないけどとにかく、ドアを閉めることに決めた。
つづく