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13/OCT/2014 in Nairobi

今日は、ナイロビにあるスラムへ。

ここナイロビには”キベラ(Kibera)”と呼ばれるアフリカ最大級の巨大なスラムがあります。
ここにナイロビの全人口の4分の1にあたる100万人もの人々が暮らしているそうです。
 

そんなキベラに自分たちが行くなんて考えもしなかったけど、なんとツアーがあるらしいのです。
今回はちょうどイクエさん、ケンゾーさんが行く予定だったので、私たちも一緒する事に。

ちなみに私たちがお願いしたツアー会社はこちら。
Explore Kibera Tours
ツアー料金は、4人以上のグループで一人US$20です。
 

それにしてもスラム街に自ら乗り込むなんて、かなり緊張します。
ナイロビに住み慣れている人でさえ拳銃強盗に遭うような危ない場所。

「パスポートや大量の現金、iPhoneや大きなカメラは絶対に持ってこないように!」とWEBページの事前確認事項に書かれていました。
私はマネーベルト(腹巻き)に小銭を入れ、だいごろはコンパクトデジカメだけポケットに入れて、一見手ぶらに見えるようにしていきます。

約束の場所に行くと、ガイドの男性が一人とツアー客のアメリカ人女性が一人待っていました。
護衛の人が一緒にいたりするのかと思いきや、それらしい人は誰もいない。
ガイド自身も手ぶらで護衛できそうなものは何も持っていない。

もし襲われたらどうしようと心配になってしまうけど、ガイド自身がキベラ出身者なのでみんな友達みたいなものだから大丈夫だろうと信じるしかない。
 

いざ、キベラへ

一歩そのエリアに入った途端、鼻を突く強烈な匂いが立ちこめていた。
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下水の匂い。
トイレの匂い。
生ゴミの匂い。
そこら中であらゆるものを燃やした煙の匂い。
とにかく臭くて頭痛がしてくるほど。
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キベラ内のどこを歩いても、様々な匂いが代わる代わる鼻を突く。

中でも、トイレの匂いは強烈すぎて目眩がしました。
キベラの中にある共同トイレ。
何年もずーっと放置しているんだろうな。数十メートル先にあるだけでも悪臭が漂ってきます。

ここで生活しているだけで病気になりそうだし、子供たちの健康も心配。

私自身も、ここに来てから咳が止まらなくなってしまいました。
 


キベラには100万人近い人が住んでいると言われています。
ただしこの人口ははっきりとは把握できていなくて、実際はもっと多いだろうと思われます。

ナイロビ全体の人口が約400万人なので、少なくともナイロビの人口の4分の1もの人がキベラに住んでいることになります。

なので、ここは既に人口が飽和している状態で、子供が生まれて増えることはあっても、外からの移民は受け入れていないそうです。
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どこの国のスラム街もそうですが家々が密集しているため、いつも危険と隣り合わせ。
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今年の12月頭にはここキベラで大火災があり、一旦上がった火の手はあっという間に広範囲を燃やし尽くしたそう。
詳しくはキベラの学校を支援している早川千晶さんのfacebook投稿をご覧ください。
 


下水が至る所に流れているので、ぬかるみにはまらないように気をつけて歩きます。
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NGOが作った水路も一部ありますが、全然間に合っていないみたいです。
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川というより限りなく下水に近い場所を掃除している人がいる。
政府の政策により1ヶ月限定でキベラ内の人を雇って清掃しているんだとか。
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野良犬がたくさんいました。
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孤児院

キベラの中は迷路みたい。まっすぐな道なんて一つもなくて、ぐちゃぐちゃに曲がりくねった道を進む。
ガイドとはぐれないようにしっかり着いて行きます。
はぐれたら絶対に自力でキベラから出る事はできないような道。

そんなキベラを練り歩き、ガイドに連れられた先にあったのはキベラの中にある孤児院。
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ここにいる子供は60人。そのうち5人がHIV感染者なんだって。

孤児院とは言っても、寝泊まりは親族の家でしているんだそう。
公立の学校は授業料は無料でも、給食や制服代がかかってしまうので孤児院に通わせる。

“帰る家がない子供はいないの?”と聞くと「そんな子供はいない」と即答していたけど、本当に身寄りのない子供はこの孤児院に入ることができないっていうことなんだろう。

孤児院は昔は6人のスタッフがいたけど、今は経済的な事情から4人に削減。
スタッフは事務処理などをこなしながら、教師としても働いている。
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子供たちは、授業時間になると教室に入ります。
でも、先生が足りていないので自分たちで教科書を広げて自習していました。
私たちが来ると嬉しそうに手を振ってくれたり、たどたどしい英語で話しかけてくれたりします。
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教科書だけ与えられても、それを読むだけで理解できる子供が一体どれほどいるんだろう。
まともな教育を受けられていないことは明らかで、もどかしい気持ちになる。

この子は引き算の勉強中。8割ぐらいは正解です。よく勉強してえらい!
(斜めの線は“正解”の意味。日本とは逆の感覚ですね。)
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休み時間は元気いっぱいに走り回る子供たちであふれていました。
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大学の支援で建てたられたもので、建てたはいいけどその後の支援がないので運営が難しいそうです。

少ない先生たちが頭を悩ませながら働いている姿が印象的でした。
 

ビーズ家業を営む女性

さらにキベラを歩き、次に辿り着いたのはとある女性の住まい。

彼女を筆頭に、HIVに感染したの15人の女性が集まってビーズのアクセサリーや手作りの鞄などを売ってお金にしています。
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キベラに住む彼女たちはお金がないから病院にも行けないんだろうな、と勝手に思っていましたが、ケニア政府の政策によりHIVの薬は無料で手に入るそう。
 

彼女の家は5人家族。
このたった8畳ほどのスペースで、家族全員が生活している。

”トイレはどこ?”、”シャワーは?”、”キッチンは?”と聞いてみると、「全てここにあるわ。」と言っていました。

シャワーもバケツの水を被るだけだし、キッチンという名のただのガスボンベで不便そう。
家賃は1500シリング(約1800円)。電気代込み。
家主が別にいるそうですが、キベラの中にも賃貸があるなんて不思議です。
 

照明みたいに見えるのは水が入ったペットボトル。
昼間はこれで外の明かりを取り込んでいます。
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敷地内には建物がいつくかあって、数世帯が協力して生活を営んでいました。
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骨から作るアクセサリー

次に向かったのはアクセサリーを作っている工房。

この骨は1本30シリング(約35円)。
牛、ヤギ、ラクダなどの骨を、解体する場所から買ってくるそうです。
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こんな骨、無料で手に入ると思ったけど、そうじゃないみたい。

こういったアクセサリーは競合が多いから、お金を払わないと手に入らないんだって。
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キリンやゾウなど、いろんな動物の形に削られた骨。
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色づけする職人さん。
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出来上がったアクセサリーは、言い値でピアス200シリング(約240円)ちょっと大きなブレスレットで250シリング(約300円)とお手頃。交渉すればもっと値下がりしそうな感じでした。

デザインも可愛いし、売れるだろうな。
アメリカ人の女の子はピアスを何個か買っていました。
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ナイロビに戻った後に、小洒落たお土産屋さんでも同じものが売られているのを見かけました。
 

キベラでの生活

なんとキベラの中には電車が走っています。
一日に3往復ぐらいは来るらしく、カンパラ行きの旅客電車も走るそう。
ずらりと並ぶ露店の軒先すれすれを走り抜けて行きます。
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汽笛がなると、みんな大慌てで線路から離れます。
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こんなゴミの合間を縫って電車は走ります。
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それにしてもキベラの中はどこを歩いていてもゴミと下水が目につきます。
雨が降ったら大変なことになるんだろうな。
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この貯水タンクはケニアの水道会社が作ったもの。
各家庭には水道がないので、このタンクから水を汲んで帰って使います。
20リットル当たり5シリング(7円ぐらい)で販売しているそうです。
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キベラの中にもいろんな仕事があって、キベラの中だけで生活が成り立っているようでした。

靴修理・磨き屋さんもあって、ケンゾーさんもサンダルを修理してもらっていました。
丁寧に接着して縫い合わせて、お値段100シリング(約120円)。
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ナイロビの人たちにとって靴の綺麗さはかなり大切みたいで、毎日数回は磨いてもらっているという常連さんもいました。
 

キベラの中を歩いているとホテルの看板が沢山あったので、”こんなとこに誰が泊まるの??”と聞いてみたら、ここでホテルと言ったら食堂の意味なんだ。と言っていました。
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キベラの中にはマーケットもあります。
置いているのは野菜や古着が多い。
古着だとジーンズが50シリング(約55円)、靴300シリング(約360円)とかなり安かったです。
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ガソリンの給油所。
キベラの中ではバイクで移動して人が多く、彼らが給油するためのものです。
家屋に引火したりしそうで心配。
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生活必需品の炭を売る店もたくさんありました。
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エチオピアでもよく見かけた、ビールの王冠を使ったボードゲームで遊ぶ人も。
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キベラの出口付近にはシャワーを浴びる小綺麗な施設がありました。
1回シャワーを浴びるのに、20~30シリング(26円〜40円くらい)はするとのこと。
かなり高いけど需要はあるのかな。
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2時間ほど歩き回り、キベラから一歩外へ出ると、そこには閑静な住宅街が広がっていました。

広い敷地を有する豪邸。どの家も高い塀に囲まれています。
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キベラの中にいたときのような異臭を感じる事もなく、息苦しさもなくなりました。

さっきまでキベラにいたのが嘘みたい。
 

膨大な数の貧困層が暮らすスラムとこんな高級住宅街が隣り合わせに存在している不思議な空間。

世界各国のいろんな団体がキベラの劣悪な環境を改善しようと努めていますが、まだまだ遠い道のりのようでした。



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