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30/DEC/2014 from Punta Arenas to Puerto Natares

ペンギン島を満喫して帰って来た夜。

プンタアレナスの宿で荷物をまとめて出発の準備。

今日は宿がいっぱいなので、港の近くでテント泊して明日の朝からヒッチハイク再開です。

もう22時を回っていて外はすごく寒いけど、もう宿もないし頑張ってテントを張れる場所を探そう。

防寒着を全部着ても震える身体を奮い立たせ、宿を出ようとします。
 

すると宿のおじさんに声をかけられました。

「こんな時間からどこに行くんだい?」

”テントを持ってるから港の近くで野宿するんだ。”

「こんなに寒いのに?やめた方がいいよ。」

”でも、どうせ明日の朝からヒッチハイクするし、今晩だけ頑張るよ。”

そう言って宿を出ようとすると、おじさんに止められました。
 

「こっちへおいで。」

連れて行かれたのは宿の奥にあるスタッフルーム。
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「ここは俺の部屋なんだけど、今日だけ二人で泊まって行っていいよ。」

”え?!!”

”でもおじさんはどこで寝るの?”

「俺は別の部屋で友達と寝るから大丈夫。朝8時までにこっそり出て行ってくれたらいいから。」

”え…。でもホントにいいの?”

「いいんだよ。今日の君は明日の僕だからね。」

「暖房はここのガス栓をひねればいいから。じゃあ、おやすみ。」

”ありがとう。”
 

 

…。

冷たい風がびゅんびゅん吹き荒れるプンタアレナスの夜。

今から30分歩いて港に行って、テントを張って、寒い寒い夜を過ごす。

きっと辛い夜になるだろうな。

そう思っていた僕たちが今いるのは暖かいガスストーブのある明るい部屋。
 

前の日に同じ部屋に泊まっていた女の子に後で話を聞いたんだけど、おじさんはこの宿のオーナーから一時的に宿を任されていて、元々は私たちと同じ旅人。

南米をこの街まで旅して来たけどお金がなくなって、この宿のオーナーに助けてもらったそう。

それからは住み込みで宿で働きながら次の旅の資金を溜めてるんだって。

昨日の夜に宿のリビングルームでおじさんと少し話した時に、僕たちがヒッチハイクで南米を旅しているのを知って、助けてくれたみたい。

オーナーに見つかったら絶対に起こられるのに、わざわざ引き止めてまで僕たちを泊めてくれた。

優しい…。
 

二人だけになった静かな部屋の中で、またぽろぽろと泣いてしまいました。
 

ほんとうにありがとう。
 

 

ちなみにこの話を教えてくれたジャスミンというチリ人の女の子には、この後の旅で再開し色々と助けられる事になるのですが、それはまた別のお話。
 


 

そして次の日の朝。

寝床を提供してくれた優しいおじさんに迷惑をかけないように、7時過ぎにこっそり外へ。

街の外れまで歩いて行って、ヒッチハイク開始です。
 

 

ここは車通りが多くて、初めてから30分ぐらいで車に乗せてもらえました。

乗せてくれたのはジャミカとアルテアの姉妹。

プンタアレナスの親戚の家に訪ねていて、今は実家に帰るところだそうです。

「この先にアルゼンチンとチリの国境があって、私たちはアルゼンチンまで行くから途中の分岐まで乗せて行ってあげるわ。」
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二人は僕たちのヒッチハイク至上初の年下!

ジャミカはシェフ。アルテアは獣医学科の学生。二人とも23歳前後という若さ。
 

きっこが年をきかれて ”私は29歳だよ” と言うと、「チキチート!(ちっちゃいね!)」と言われていました。

きっこは身長が高いから、見た目が子供みたいだったのかな?

年下にちっちゃいと言われるのが変な感じです。笑

二人とも若いのにすごくしっかりしていました。

乗せてくれてありがとう!

 


 

二人と別れたのはアルゼンチンとチリの分岐点。

この辺りは車通りが少なくて、1時間に数台しか来ないけど頑張ってヒッチハイクです。
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だんだんヒッチハイクにも慣れてきて、この車通りだったら少なくともあと2時間は待つだろうと暇つぶし開始。

今日は風がそんなになくて本が読めるのでスペイン語の文法を勉強したり、石ころを蹴ったり、二人で手押し相撲をしたり、新しいダンスを開発したり。

ふと気付いて、自分たちは一体何をしてるんだろうと笑ってしまいます…。笑
 


 

ヒッチハイクを始めて1時間ぐらいすると、一台のバスが止まりました。

こっちからは何もアクションをしていないので、空席に僕たちを乗せたいみたい。

向こうが言ってきた値段は結構安くて、今日の目的地のプエルトナタレスまで値段交渉無しで7500ペソ(約1500円)。

値切ったら5000ペソ(1000円)ぐらいにはなりそうだったから迷ったけど、昨日宿に泊めてもらったおかげでまだ疲れてないし、この前リオガシェゴスからウシュアイアまでバスに乗った時にちょっと味気なかったので今回は断る事に。

新たな出会いを求めてもうちょっとがんばります!
 


 

それからさらに待つ事1時間。

フランシスコ(あだ名はパンチョ)が止まってくれました。

目的地のプエルトナタレスまで仕事で行くので、最後まで乗せて行ってくれるそうです。ラッキー!!
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パンチョも僕たちより若くて26歳。

携帯電話関連のお店の店長をしています。

彼はプンタアレナスに住んでいて、お店がプエルトナタレスにあるそう。

「自分でお店を持ってるから、好きなときに出勤できるんだ。」

若いのに柔軟な働き方をしていてすごい。

そう言えば、きっこがマテ茶をぶちまけた例のラウルとカロリーナの夫婦も同じことを言っていたなぁ。
 

 

プエルトナタレスまでは真っすぐな道がずっーと続きます。
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この辺りからチャリダーがちらほら。

ここからチリをさらに北上した所にあるチャリダーの聖地を目指しているのかな?
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アルゼンチンにもたくさんいたけど、チリにもガウチョがいました。

馬に乗ってたくさんの犬を引き連れて、放牧している牛を追いかけていました。
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パンチョの運転する車は速くて快適で、2時間ぐらいでプエルトナタレスのセントロへ到着。

この街はパイネ国立公園の玄関口になっている街で、そこらじゅうにバックパックを背負った観光客がたくさん。

パンチョはこの近くにあるオフィスに行くそうなので、彼とはここで別れました。
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「今日はこの店で働いてるからまた遊びにきてね。」と言ってくれました。

パンチョ。ありがとう。
 


 

パンチョと別れた後はザックをかついで宿探し。

近くにあった宿にいくつか値段を聞いて回って、一番安かったこの宿に泊まる事にしました。
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おばあちゃんとおじいちゃんが経営する”Casa de Bertila”という名前のこの宿。

一見すると空き家にしか見えなかったので何回かスルーしていましたが、中におばあちゃんがいるのを発見して話しかけてみました。

値段交渉をした所、ダブルルームで一人7000ペソ(1400円)。

お願いしたらキッチンも使わせてもらえたし、Wi-Fiもある。

ぱっと見が空き家だし看板も出ていないのでお客さんは僕たちだけ。

広々とした宿ですごく快適でした。
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今日は2014年12月30日。

この暖かくてのんびりした宿でおじいちゃんおばあちゃんと年を越そうか?

それともパイネに行ってアウトドアな年末年始を過ごそうか?

今年も残す所あと一日です!


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