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22~23/JUL/2015 in Sal Agha Seyed

サルアガセイエッドのミルフィーユみたいに折り重なった家々。
村の子供たちに案内してもらって、村の反対側から眺めてみました。
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きれいな景色をゆっくり眺めていたかったけど、子供たちのかまってかまって攻撃がすごい。
だいごろが写真を撮っている間、子供たちと音楽を聞いて手拍子を打ったりして遊びました。
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山の上でしばらくゆっくりしたら、日が暮れてしまう前に村に戻ります。

家へ帰る道では村人の笑顔に癒されます。
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みんな写真大好き。
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可愛らしい姉妹。
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2人かと思ったら3人でした。みんなお揃いのワンピース。
お母さんに作ってもらったのかなぁ。かわいい。
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案内してくれた子供も、俺の写真を撮ってくれと猛アピール。
もたもたしてると日が暮れてしまうのに、写真攻撃のせいで全然前に進めない。笑
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フレンドリーで笑顔一杯の村人たち。

でも、そんな中で嫌なこともありました。
案内してくれた子供たちのうちの1人が、私のお尻を何度も何度も触ってくる。
10歳ぐらいの男の子で、ちょっかいかけている感じだけどかなり不愉快。
厳しく睨んでも、やめてって言っても、全然やめてくれない。
私の言い方が弱々しいから余計に喜んでるんだと思うけど。

ここはムスリムの国だから、厳しいはず。
私が旅行者だから良いと思われてるんだろう。
 


家に戻った時はもう真っ暗。
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しばらく休んでから村の夜景を見に出かけようとすると、また子供たちが着いてきました。

夜も独特な雰囲気のサルアガセイエッド。
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赤、緑、黄色。
照明もカラフルで面白い。
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この景色に目を奪われる…隙もなく子供たちが絡んできました。
絡んできたのは15歳ぐらいの男の子。

携帯に入れたエロ動画を延々と見せてくる。一体何のつもりなんだろう。
そういう年頃だしイスラム教の厳しい国だし、嬉しいのかなんなのか本当によく分からないけど…
見たくないって言っても、執拗に見せてくるから正直うっとおしかった…。
 

サルアガセイエッドの夜

家に帰ったら家のお母さんが晩ごはんを作っていてくれました。

野菜スープみたいな料理とパン。
ビニールシートの上にパンを並べて食べるのがイラン流です。
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食事のとき家族とお話していたけど、ここの家の子供たちは私たちの持っている物を見てはちょうだいちょうだいってずっと言ってくる。
特に10歳ぐらいの女の子が何でも欲しがり。
時計やら髪留めやら、何か気になることを見つけては半ば無理矢理取ろうとしたり、カバンを何度も開けてきたりして…
きっとこれまでここを訪れた旅人がこの子たちに色々なものを与えてきたんだろうなって感じがしました。
挙げ句の果てにはお母さんまで一緒になってちょうだいちょうだいと言ってきました。
どうなってるの?さすがに嫌気がさしてきます。
 


ごはんのあとは、近所の大人たちが集まってきてティータイム。
チャイと炭酸ジュースで乾杯。ここでアルコールが出てこないのがムスリムらしい。
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軍人さんや警察官などなどたくさん人が来ていました。全員男性です。

小一時間ぐらい話すと、警察の人がだいごろを気に入ったらしくプレゼントをくれました。
何やら怪しげな本です。せっかくもらったのにペルシャ語だから意味が全然分からない…。
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意味が分からないから要らないって伝えてみたけど、どうしてもプレゼントしてくれるって。
なんか変な写真が載ってるけど…。なにか政治的な意味でもあるのかな?
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男たちの宴会が終わったらそろそろお休みの時間。

家族5人は外のテントで寝るみたい。
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そして私たちは家の中に連れて行ってくれて、中で眠れらせてくれるそうです。
私たちが外でいいよ、って言っても、お父さんは絶対に譲りませんでした。お父さんはすごく親切。

家の中には、ホメイニー氏の絵が飾ってあります。
公共の場じゃなくてこういう家の中にも絵が飾ってあるとは、よっぽど信仰されているんだろうな。
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寝る時は、絨毯の上に毛布をかぶるだけ。敷き布団がない。
他の家でもみんなそうやって眠っていたから、イランではそういうスタイルなんだろうな。
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毛布に入る前、明日の朝のバスの時間を確認します。
というのも、テヘランで泊まった宿の情報ノートによると、バスは朝6時しかないと書いてあったから。

”明日の朝のバスは何時にありますか?”

お父さんにそう聞くと、最初「6時だよ。」と答えます。
でもしばらくすると、「やっぱり7時だ。」と言い出しました。

”え、6時でしょ?”

「6時にもあるけど、7時にもバスがある。」

”どういうこと?一日にバスは一本だよね?”

誰かに電話し始めるお父さん。
そして、「やっぱりバスは8時だ」と言い始めました。

”え?ほんとに?”
”バスの時間がそんなに簡単に変わる?”

何度か確認したけど、お父さんは8時だと言い張ります。

何だかはっきりしないお父さんに質問していると、家に男の人がやってきました。
「彼がバスのドライバーだよ。彼が明日の朝8時に出発するって言ってるから大丈夫。」

”本当にバスなんだよね?”
”勝手に発車の時間を変えても大丈夫なの?”

何度も何度も聞き返したけど、お父さんはバスは明日の8時の一点張り。

”何だか不安だから明日の6時のバスに乗って帰るよ。”

私たちがそう言うと、お父さんは「6時にはバスは来ない。このドライバーが明日の朝8時にバスを運転するから。大丈夫!」
と言ってきます。

”そこまで言うのなら。”

だんだん面倒くさくなってきたので、その夜はそのまま寝てしまいました。

でもこの判断が大失敗。
次の日、あんな大変な事になるなんて…。
 

まさかのケンカ別れ。そして…。

次の日。
バスの時間にはちょっと早いけど7時に起床。
お父さんは部屋の外でまだ寝ていました。
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他の家族は外のテントの下で眠っています。
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昨日の夜は南京虫が大量発生して全然眠れなかった。
ずーーーーっと体中を虫が這いつくばってる感覚があった。
何度もつぶそうとしたけど、真っ暗だしもう数が多すぎてどうしようもなかった…。
朝起きたら、今までの旅で一番ひどい虫さされができていました。
つらい…。

家から坂を下った先にある村の共同トイレに行って戻ってくると、お父さんも起きてきました。
「バスに乗る前に、是非朝ご飯を食べて行って。」
そう言って、パンとチーズを出してくれました。
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ご飯を食べ終わったら家族とはお別れ。

”ありがとう。”
そう言ってバスの方へ向かおうとすると、お父さんから思いもしない言葉が出てきました。

「2人で150万リアルだ。」

”え?”

「宿泊費だよ。150万リアル。」

”宿泊費?ここに来た時に何も言わなかったでしょ。お金がかかるならテントを持ってたから野宿してたのに。”

150万リアルって行ったら日本円で約6,000円。一人3000円もする。
そんな高い値段のする宿なんてこの旅で一回か二回しか泊まった事ないのに…。

「ガイドもしたでしょ。」

”ガイドって、あの子供たちのこと?!”

お尻を触られたり、景色を見たいのにエロ動画を見させられたり、物を欲しがられたり…嫌な思い出が甦ってきます。

確かに、ごはんもたくさん用意してくれたし、親切にしようという気は感じないでもなかったけど…
全てはお金を取るためだったのかと思えてきてしまいます。

確かに私たちにも問題はあった。
泊まる前に値段確認をするのは鉄則。
でも今回はそもそも宿でもホテルでもない普通の民家。
子供たちが私たちを連れてくる時に「ホテルホテル」って言ってたけど、こっちの人は英語を話せないし、単に”寝床”ぐらいの意味だと思ってた。

それにテヘランの情報ノートにはこう書かれていた。
「家の人は宿代は要らないと言ってきますが、気持ちのチップを払いましょう。」
今回は偶然だけどまさにその人と同じ家に泊まった。
情報ノートに書かれた名前と、家の人が教えてくれた過去に来たことがある日本人の名前が一致していたから。
だから、いくらかチップを置いて行こうと思ってた。

なのにまさかの150万レアル。

”さすがにそんな大金は払えない。”

お父さんは宿泊費を払う様に言ってきましたが、こっちが当初払おうとしていた金額しか払わないと言い張ると、
「もうお金はいいからバスに乗れ。」
そう言って去って行きました。

結局、元々払おうとしていたお金をチップとして手渡して、お父さんと別れました。
 


後味の悪い別れになってしまったけど、急がないとバスが出発してしまう。
ザックを背負い、街の入り口へ向かって歩き出します。

そしてやって来たバス乗り場。
辺りを見渡してみても、まだバスは来ていないようです。

すると、近くに停まっていた一台の乗用車がクラクションを鳴らしました。
中から出て来た男性を見ると、その男性は昨日の夜に家に訪ねてきたバスのドライバーでした。

”あれ、バスはどこにあるの?8時に出発だよね?”
そう聞くと、彼の口からまたしても思いも寄らない言葉が飛び出してきました。

「バスは6時に行ってしまったよ。俺が運転するのはこの車だ。」

”え?!!バスは8時って言ったでしょ?あなたが運転するって!!”

「これがバスだよ。一人100万レアル、二人で200万レアルでいいよ。」
そう言って4人乗りの乗用車を指差す男性。

200万レアルって言ったら日本円でおよそ8000円。
この値段、ガソリン代が安いイランではめちゃくちゃぼったくり価格。
この距離だったらタクシーをチャーターしてもせいぜい50万リアルが相場。4倍の値段を言ってきている。

”この車のどこがバス?!絶対に乗らないから!”

怒り心頭の私たちを見たドライバーは、電話をかけて昨日泊めてもらった家のお父さんを呼び出しました。

5分ほどすると血相を変えてやってきたお父さん。

「どうした?何が問題なんだ?」

”昨日あなたは6時のバスはなくて、このドライバーがバスを運転するって言ったでしょ?
でもバスは6時に行ってしまってるし、この人が乗って来たのはただの乗用車。どこにバスがあるの?!!”

「俺はバスなんて一言も言ってない。君たちは8時にこのタクシーに乗るんだ。」

”はあ?昨日何回もタクシーじゃなくてバスだよねって確認したでしょ?!!”

「知らない。バスは6時に出て行ってしまった。どうする?このタクシーに乗るのか?乗らないのか?」
 

騙された!!!

このお父さんは始めから私たちをタクシーに乗せてお金儲けをするつもりだったんだ。
その為に嘘をついて、わざとバスを乗り過ごさせた。

つい最近このお父さんの家に泊まった旅人からの話、そしてテヘランの宿の情報ノートに書いてあった情報。
どこを見ても、このお父さんの家族は親切で、お金なんて要求してこないと書いてあった。
それがまさかこんな事になるなんて…。

全ては人の情報を鵜呑みにしていた私たちのミス。
数週間前に同じ場所に滞在した人からの情報だったから、何の疑いも無く信じてしまっていた。
自分の目で見て、頭で考えていたらきっとこんな事にはならなかった。

でも今となっては後の祭り。
ここはイランの山の奥の奥にある秘境。
一日一本しか無いバスを逃してしまった以上、タクシーに乗る以外に選択肢は無い。
もう一泊して明日の朝のバスに乗ることも考えたけど、運の悪いことに私たちは中央アジア諸国のビザの関係で、今日中にイスファハーンまで戻らなければいけない。
なにより、こんな形で人に騙された村にこれ以上いたくない。
 

「おい。聞いてるのか?タクシーに乗るんだろ?」

お父さんからの言葉を聞いて怒りが頂点に達しただいごろはこう言いました。

”人を騙しておいてふざけるな!タクシーには絶対に乗らない。それにもうこの村にもいたくない。”

だいごろはザックを背負って村の外へと歩き始めました。
この先数十キロは集落も何も無い山道だと知っていながら。

私も、急いでだいごろを追いかけます。

「おい!その先には何も無いぞ!」
びっくりして私たちを止めようとするお父さんとドライバー。

でも15分ほど歩いて村を出ると彼らの声はもう聞こえなくなり、私たちの目の前には険しい山々が続いていたのでした。

つづく



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