ふたりがずっと大好きだった、憧れのあの人に会いに。
28/JUN/2015 from Belgrade to Bucharest
映画の撮影が一日前倒しで終了する事になった夜。
撮影が予定よりも早く終わったのは残念だ。
と思っていたら、だいごろが突然騒ぎだしました。
”これはマクトゥーブや!”
”…また出た。”
だいごろはイタリアのクレモナでマエストロと出会った例の一件以来、マクトゥーブにハマっている模様。笑
(マクトゥーブについてはこちらの記事をご覧下さい。▶︎前兆に導かれて。きっこに訪れた大きな出会い。-前編-)
”これは次の出会いへの前兆や!今すぐブカレストに行こう!”
撮影が終わって今からようやく眠れるというのに、完全にやる気満々のだいごろ。
実は明後日の夜に、ルーマニアのブカレストに私たちの大好きなある人がやって来る事になっていたのです。
でも、ここセルビアのウジツェからルーマニアのブカレストまでは、休みなく移動しても日付をまたいで丸1日はかかります。だから、明日の撮影があると決まっていた時点でふたりとも諦めていました。
だけど、たった今、その撮影がなくなった。
今すぐ移動を開始すれば、明後日に間に合います。
だいごろがダメ元でネマニャにお願いしてみると、急遽ベオグラードまでの送迎車を手配してもらえる事になりました。
そしてホテルへ戻ると急いでシャワーだけ浴びさせてもらって、他のエキストラのみんなと一緒にベオグラードへと向かうバンに乗り込みました。
楽しかったハリウッド映画の撮影を終え、ほぼ徹夜のみんなはバンの中で爆睡。
気付いたら車はベオグラードの街に入っていました。
ベオグラードの街を駆け回る。
ベオグラードに着いたら、映画撮影でお世話になったみんなとお別れしました。
今回の撮影では面白い友達がたくさんできた。
フリーランスで働いている人が多くてみんな自分の能力ひとつで生きているから、強く逞しくそれでいて個性的。ほんとうに良い出会いだった。
みんなありがとう。
そして、街中にあった安宿にチェックインして荷物を置くと、すぐに向かったのは鉄道駅。
ブカレスト行きの電車があるかどうか確認します。
すると、今日の夕方に夜行電車があることが判明。
徹夜の撮影で疲れていたから今日はベオグラードの宿で一泊するつもりだったけど、予定を変更してこの電車に乗ることにしました。
時刻表はこんな感じです。
2015年6月28日時点のものなので変更になるかもしれませんが、ベオグラードからブカレストへ電車で行かれる際は参考にしてみて下さい。
時刻表はちょっと分かりにくいけど、私たちは3本の電車を乗り継いでいきました。
16:20 ベオグラード発、18:09 ヴルシャック着
18:40 ヴルシャック発、21:34 ティミショアラ着
22:21 ティミショアラ発、7:30 ブカレスト着
一人3,687ディナール(約4,300円)でした。
宿はすでにチェックイン済みだったけど、良心的なスタッフが無料でキャンセルさせてくれました。
助かった。
宿の中にはこんな写真が。
これは旧ユーゴスラビアの初代首相で2台目大統領のティトー氏です。
ウジツェの街でもそうでしたが彼のセルビアでの人気は根強いようです。
この宿は親切にも荷物まで預かってくれたので、列車の時間までベオグラードの街を少し歩いてみました。
街にはコソボ紛争の爪痕がまだたくさん残っていました。
ここは1999年にNATOに空爆された建物。
こんなにボロボロの廃墟も取り壊されずに残っている。
いつ崩れてもおかしくないし、崩れたら大惨事。
でも取り壊されないのは忘れないためなんだろうな。
よく見ると、街中の建物にも銃弾の跡が残っていました。
そして再び駅へ。
さっきチケットオフィスの人と筆談して聞いた時はユーロで買えるって言ってると思ったけど、ここでいざチケットを買おうとすると、セルビアディナールしか使えない事が判明。
私たちはユーロしか持っていないし、今日は休日だから両替屋があいてない。
しかも列車の出発まであと30分しかない。ピンチ…。
”ちょっと待ってて。”
と言ってだいごろが駅の外に飛び出し、止まっていたタクシードライバーに声をかけまくって、なんとかまともなレートで両替に成功。
両替屋が閉まってるから足元を見られて大損するかと思ったけど、運良く優しいドライバーを見つけられたみたい。危なかった…。
ベオグラードからブカレストへ
さて、なんとかチケットが買えたので、急いで電車に乗り込みます。
セルビアの首都ベオグラードからルーマニアの首都ブカレストまでは12時間の道のり。
電車に乗ってすぐに見えてきたのはドナウ川。
オーストリアの首都ウィーン、スロバキアの首都ブラチスラバ、ハンガリーの首都ブダペストを流れ、クロアチアとセルビアの国境となり、セルビアのベオグラードを通ってさらにルーマニアとブルガリアの国境になって黒海へと流れ込みます。
旅をしていると何度も目にする事になったドナウ川。その長さに驚かされます。
ベオグラードから数時間走ると、ヴルシャックという駅で乗り換え。
乗り換えるとすぐにセルビアとルーマニアの国境を越えました。
国境では列車の中に警察が入ってきてパスポートを回収され、しばらくするとスタンプを押されたパスポートが返ってきました。待ってるだけでいいから楽ちんです。
そう言えば、この国境の前後にはひまわり畑が数10キロに渡ってどこまでも続いていました。
そして、今度はルーマニアのティミショアラという街でまた乗り換え。
発車までに時間があったので、街に出てみます。
私たちにとってのルーマニア最初の街です。
これはスーパーに売っていたファンタ「マッドネス味」
こんなの初めて見た。日本でも売ってるのかな?
だいごろが買いたそうだったけど、ルーマニアのキャッシュを持っていなかったので一旦店の外へ。
街の人に道を聞きながら両替屋に行きましたが、レートが悪かったのでやめました。
映画撮影の給料をユーロのキャッシュでもらったから出来るだけ消費しておきたいんだけどなぁ。
仕方ないので余っていたセルビア・ディナールを両替。
150円分のディナールが130円分のルーマニア・レウになりました。
そのお金でパン一個とトマト二個を買おうとしたらお金が足りなかったので、トマト一個に減らしてと店の人に言うと、もういいよと言っておじさんがトマト一個をおまけしてくれました。
隣には果物屋があったのでオレンジ二個を残りのお金全部渡して買おうとしたら、全然足りなかった…。笑
じゃあ一個でいいやというと、おばちゃんが持ってっていいよと笑顔で言ってくれました。優しい。
ルーマニアに入っていきなり街の人の優しさに触れてほんわか。
なんだか良い予感がしてきます。
駅に戻ってブカレスト行の夜行列車に乗り込みます。
横になって眠れるコンパートメントもあったけど、節約の為に普通の座席。
乗客が少なかったので一人二席使って眠りました。
ついに来たぞ!ブカレスト!
そして次の日の朝。
列車は時刻表通りの時間にルーマニアの首都ブカレストに到着しました。
ブカレストに着いたらすぐに予約していた宿へと向かいます。
宿までは2キロ以上あったけど、頑張って歩きます。
そして、宿に向かって歩いている途中で通り過ぎたこの「Radio Romania」というラジオ局の建物。
ここが今回のルーマニア旅の目的地です。
そして、そこから徒歩3分の所にある宿へとチェックイン。
この宿を選んだ理由は「Radio Romania」へのアクセスが抜群だから。全ては明日の夜のために。
そして、その日の午後は宿でたまっていた洗濯をしたり、自炊をしたりしながらゆっくりして、撮影と長時間の移動の疲れを癒しました。
いよいよ明日は運命の時。
ふたりがずっと大好きだった、憧れのあの人に会いにいきます!!
つづく
kicco
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