砂に呑み込まれつつある世界遺産。モーリタニアの象徴シンゲッティ。
13/APR/2015 from Nouakchott to Chinguetti
砂の国モーリタニア。
今日は首都のヌアクショットからさらに砂漠の奥地にある街、シンゲッティを目指します。
シンゲッティまでのバスが朝8時に出ると聞いたので、6時ぐらいに起きてガレージ(バスステーション)へ。
砂の中から顔を出した太陽を横目に街を歩きます。
車窓から見える景色に驚き!
ガレージで乗り込んだのは15人乗りぐらいのワゴン。
きれいだし、なんとエアコン付き!!
運賃は5000ウギア(約2000円)。荷物代不要。良い車だけあってちょっと高めです。
走り出した車は街の外へ。
ラクダの群れ。
人がいるからラクダ市場かな?
そしてだんだんと砂丘が姿を見せ始めます。
砂丘の中には家々が点在していて、砂に埋もれるようにして人々が生活しているのがモーリタニアならでは。
エジプト、モロッコ、スーダンなどでは見た事のない景観です。
風に運ばれて移動を続ける砂丘。
そんな砂丘に家を建てれば、当然時間とともに砂に呑まれていきます。
道々には、砂に埋もれてしまって打ち捨てられた家がたくさんありました。
しかも日中は50度近くにもなる過酷な環境。
何故こんなところで暮らしているんだろう。
そんな疑問に頭を悩ませながら、車窓からの景色を楽しみました。
ヌアクショットから走る事5時間。
ヌアクショットとシンゲッティの中継地点となる街アタールに到着しました。
ここでタクシーに乗り換えます。
乗合タクシーだから満員になるまで待つのかと思いきや、二人だけでも出発してくれました。
一人2000ウギア(約750円)。
さらに砂漠の奥深くへと、オフロードをびゅんびゅん走ります。
ナミビアで事故って以来、オフロードを走る時は緊張するなぁ…。
(ナミビアの記事はこちら▶︎初めての自損事故。レンタカーでやらかしてしまいました。。。)
このオンボロ車にはもちろんエアコンなんてなくて、熱風がびゅんびゅん入ってきて喉がカラッカラになる。
さっきの街で買った冷たいジュースを飲んで何とかしのぎます。
写真のメロンミルクはメロン果汁と牛乳を混ぜた飲み物でメロン好きの僕のお気に入り。
モーリタニアにいる間は毎日のように飲んでいました。
窓から吹き込む熱風を浴びながらボコボコのオフロードを走っていると、突然ドライバーが車を止めました。
窓の外を見てみると、なんと砂漠のど真ん中に男の人がぽつんと立っています!
”きっと歩けなくなったからこの車に乗せてもらうつもりなんだ。”
そう思っていると、男の人はなにやらタンクのようなものを持って車へと近づいてきました。
そして車の裏でドライバーと一緒にごそごそ作業を始めました。
”あれ?一緒に乗って行くんじゃないのかな?”
不思議に思って車の外へ出てみると、男の人が持っていたのは水が入ったタンクで、ドライバーの持っているタンクへと水を注いでいます。
そう、なんとこの男の人はここで水を売っていたのです!
信じられない!
周りに家が一軒もないこんな灼熱の砂漠のど真ん中で、しかも車通りなんてほとんどない場所で水が入ったタンクを持って一人で売っているなんて!!
周りにラクダや車がないから、住んでいる場所からここまでは歩いて来たという事?!
もし水がなくなったら死んでしまう命がけの仕事です。
すごい世界だなぁ…。
再び走り出したタクシー。
ここも車窓からの景色がすごかった。
砂丘を超えた砂漠の中に現れた集落。
黒い砂丘なんて初めて見た!
ここにも家々が。すごいなぁ。
そしてアタールから2時間半ぐらいでシンゲッティの街に到着しました。
砂の街シンゲッティ。
タクシーのドライバーにお願いして宿の前で降ろしてもらいます。
この街には宿は2、3軒しかないそう。
そして今日泊まるのはこんな宿。
泥で作られた伝統的な家屋。
その一室を貸し切りです。
日中は暑いけど広くて快適です。
しばらく部屋で横になっていると日が傾いて涼しくなって来たので、街に出てみました。
宿から出て少し歩くとそこはもう砂の世界。
井戸がある所に街ができる。
ここシンゲッティはこの辺りでは一番大きなオアシスです。
ここシンゲッティは家から1キロも歩けば一面に砂丘が広がる街。
みんな砂漠の方へと出かけて行き、砂漠から帰って来ます。
一体あの砂漠の先になにがあるんだろう?
その秘密はこの街に滞在している間に明らかになるのですが、この時は不思議で仕方ありませんでした。
そんなシンゲッティの街は実はユネスコの世界遺産に登録されている場所。
ここは中世にキャラバンが立ち寄った交易地で、当時の古い街並みがよく保存されている事が登録の理由。
イスラームの第七の聖地としても知られています。
そんな当時の様子を伺い知る事ができる場所の一つが街にあるこんな図書館。
中には、中世のキャラバンが運んで来たイスラムの貴重な書籍が保管されています。
係の人が一つ一つの書籍について片言の英語で詳しく説明してくれました。
メッカ巡礼の拠点となっていたシンゲッティには世界各地から人々が集まります。
だからここのライブラリーの質はかなり高く、ここにある書籍を求めて各地から砂漠を超えてやってくる学者がいたんだとか。
丁寧に描かれた絵。何百年も経っているにも関わらず鮮やかな色。
イスラムの教典コーランはもちろん、天文学書や数学書まで。すごい!
でも書籍の保存状態はあまり良いとはいえず、燃えてしまったものやネズミに食べられてしまったものもありました。
砂漠の街シンゲッティ。
四方を砂丘に囲まれたこの街は、今日の移動中に見て来た家々と同じく、だんだんと砂漠に呑まれつつあります。
もちろん砂丘の移動に合わせて集落も移動して行きますが、中世の趣を残す貴重な街並は近い将来に失われてしまう事でしょう。
そんな街を歩き、そこで暮らす人々と触れ合いながら過ごした夕暮れ時。
穏やかで楽しいひとときを過ごす事ができました◎
明日はそんなシンゲッティの街から十数キロ離れたオアシスに、ラクダに乗って出かけてみます!!
daigoro
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