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18〜19/JUN/2015 in Lira

リラの僧院で目覚めた朝。

起きたら8時過ぎ。
8時10分のバスで帰ろうと思ってたのになぁ。

まあいいや。
朝ごはん食べてコーヒー飲んで、9時のバスに乗り込みます。

バスに乗る前に今日もブルガリアの学生たちにからまれるだいごろ。
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帰りのバスで一緒になったのは昨日宿にチェックインする時に出会った日本人旅人のみちよちゃん。

麓の村までの車内でお話しします。

「リラの僧院、良かったですねー。」
みちよちゃんはリラの僧院がかなりお気に入りのようです。

“私もすごい好き!めっちゃよかった!”

「良かったですよねー、特にミサが!」

“え?!ミサ?!”

「そうですよー。夕方と早朝にミサがあって、すごく荘厳な雰囲気でした。」

“えっ、ミサなんてあったんや。知らんかった…。”
 

なんと、夕方の最終バスが出た後と、早朝に始発バスが来る前、教会でミサが執り行われていた。しかも宿泊者しか参加できない特権なんだそう。
せっかく僧院に泊まってたのに、そんな貴重な機会を逃してしまった。

夕方…何してたかな…?
ちょうど疲れて昼寝してたころだ。

早朝も爆睡してた。

ブルガリア正教の総本山で行われるミサってどんなんだったんだろう?

戻って見てみたくなる。

でも、もうハリウッド映画の撮影日が迫ってるから戻る時間なんてない…。(ハリウッド映画の撮影についてはこちら▶︎【奇跡!】ヒッチハイクしてたらハリウッド映画に出演する事になりました。
 

「修道士の方が木を叩いてまわって、教会の中に歌が響いて、いい匂いがして。すごく神聖な気持ちになりました。」
と、みちよちゃん。

残念…。残念すぎる。。
ちゃんと調べておけば良かった…。激しい後悔が襲う。

こんなに残念な気持ちになったのは久しぶりだ。
 

みちよちゃんの話を聞いてミサの様子を想像してみる。
でも、全然想像できない。
想像できないからこそ、悔しくなる。
 

バスの中で考える。

リラの僧院のこと。
美しい場所だった。

ミサは見られなかったけど、落ち着いた佇まいに感銘を受けた。

縁がなかったってことか。

残念な気持ちと悔しさをなんとか納得させようとしているうちにバスはどんどん進みます。
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そして麓のリラ村に到着。
降りたらすぐにリラ村からブラゴエフグラッドに行くバスが来たので、考える間もなくそのままブラゴエフグラッドの街まで帰ってきてしまいました。

ここから首都のソフィアまでは一本道。
ソフィアに数日滞在したら、いよいよハリウッド映画の撮影が始まる…はず。行ってみるまでどうなるかはまだ分からないけど、もうリラの僧院に戻ることは2度とない。
 


バスを降りたら、いつものように適当なガソリンスタンドでソフィアへと向かうヒッチハイクの準備。

しかし、だいごろがメールチェックをしていると、映画の撮影日がまたしても変更になったと連絡が来ていました。

これで撮影日の変更は3回目。
本当に撮影あるのかなぁ?
そもそも本当にハリウッド映画なのかな?
もっと言えば、撮影じゃなくて誘拐されたりしないかな?
不安は募るばかりです…。

でも、たとえ映画の撮影がどうなろうと、撮影日が数日先に伸びた事には変わりない。
それはつまり、私たちに数日の猶予が与えられた事を意味する。
これで障害ははなくなった!
戻ろう!リラの僧院へ!
 

ブルガリア語で「ソフィア」と書いたダンボールを折りたたんでバックパックにはさみ、リラの村へと向かうバスに駆け込みました。
 

大好きな場所に帰ってきた!

それから3時間後。
再びリラの僧院に戻ってきました!

正面の門をくぐると、見慣れたしましま模様がお出迎え。

つい数時間前までは完全に諦めてたけど、またここに戻ってこれた。
嬉しいなぁ。
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元気だった?
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僧院の空気を胸いっぱいに吸い込んでから、宿泊の受付をしているオフィスへ。
そこにはいつもの修道士さんがいて、「えっ、また来たの?」と少し驚いた表情をされました。
そうだよね。一回チェックアウトしてまた来る人なんていないよね。笑
 

嬉しいことに、今日の部屋は前とは違う部屋。
内装やレイアウトが違って楽しい!
天井に鳥とか星の絵が描いてあってかわいい。
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この部屋には暖房がありました。
修道士たちはこれで冬を過ごすんだなぁ。
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そして夕方5時前。
観光客が帰って静まり返った教会でミサが始まりました。
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5時になると、教会の鐘が荘厳なメロディーを奏でます。
ミサの時間以外は1時間おきにその時間の数だけ鐘が鳴るけど、ミサの時間は特別。

中には修道士7人と司祭1人。
これっぽっちの人数でこの僧院を守ってるんだ。

修道士がろうそくに火をともし、教典を取り出しました。
軽く数キロはありそうな分厚い教典は、右下だけが手垢で真っ黒になっています。

そして修道士の一人がおもむろに教典を読み上げると、呼応するように他の修道士たちが歌います。

教会に響き渡る歌声。
 

司祭が鈴のついた香炉を振り回して歩くと、教会の中は聖なる香りで満たされます。

イコノスタス(聖人の絵が並べられてできた壁)の向こう側で教典を読み上げる司祭。
司祭と修道士たちを隔てるカーテンが開き、しばらくするとまた閉じ、そしてまた開き。

すべての動作がゆっくりゆっくり進んでいきます。

ミサの最後に修道士が棺みたいな箱を開け、信者たちが順番に並んで接吻をしました。
興味本位で異教徒が覗くことは許されない雰囲気だったので、遠巻きに見つめました。

永遠に続くかに思われた祈りが終わったのは6時前。

始まってから1時間と少し。
もっともっと時間が経ってると思ってたのに。時計を見てびっくりしました。
 

ミサが終わって日が沈むと、今日も僧院に明かりが灯りました。
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猫たちも活発になって、僧院の中をドタバタと走り回っています。
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修道士たちが各々の部屋に帰り、猫の足音以外は何も聞こえなくなった静かな僧院。
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リラの夜はいつもと同じように更けていきました。
 

厳かな僧院の朝。

次の日の朝。
部屋の外で明るくなってくる空を眺めます。

そんな私を怪訝そうに眺めていた猫。おはよう。
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朝6時ごろ。
修道士たちが僧院から出てきました。
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私たちは教会のドアが開いた6時すぎから中に入って待ちます。

そして6時20分ごろに朝のミサが始まりました。
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修道士がろうそくに火を灯し、教典を取り出し、教典を歌うように読み上げ、鈴のついた香炉を振り回し、祭壇を開けて、祭壇を閉める。

ミサはすべてがゆっくり進んで、時間の流れも5倍も6倍も長く感じる。

教会の椅子に座って天井画を眺めながら、歌うように読み上げられる教典の響きに耳を傾けていました。
 

そしてミサが終わったのはなんと午前8時半すぎ。
始まってから2時間以上も経っていました!!!

ミサが終わってすぐに時計を確認したから良かったものの、あやうく1日に数本しかないバスを乗り過ごす所でした!
 


ミサが終わると僧院から上る煙。
お祈りの後は、いつものように朝ごはんの支度が始まります。
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宗教って何なんだろう。

毎日毎日休むことなく、1日に3時間以上もお祈りに捧げるってすごい労力。

私たちはブルガリア正教徒じゃないけれど、この落ち着いた神聖な佇まいはすごく心惹かれるものがあった。
きっと、みんなは心が安らぐ場所を求めてここにやってくるんだろうな。

信者たちにとってはきっと俗世から離れ、神様を通じて自分と向き合える場所なんだ。
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ブルガリア正教総本山、リラの僧院。
ここにもう一度戻ってくることができて本当に良かった。

静かな山間の落ち着いた空間。
雨音に混じって立ち込める古い木の香り。
毎日同じ祈りを何度も捧げる修行者たち。
お経のようにも聞こえる長く太い歌声。

なんだかお寺と似てる。

もしかしたら人々が求めているものはどの世界でもそれほど変わらないのかもしれない。



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