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20/AUG/2014 in Karima

スーダン北部。

カリマの街の外れにある小さな村。

古代の遺跡が今もひっそりと残り、優しい村の人たちが穏やかに暮らしている。
 

そんな村の近くにある小高い丘。
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そこに登ってどこまでも広がる砂の大地を眺める。
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この場所と人がすごく気に入った私たちは、ここにある物を置いて帰る事にしました。
 

 

「旅をする石」
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それは日本を出る前に知人から託された小石。

この小石は、その知人がむかし渓流で足を滑らせて転び、危うく大事になりそうだった時に、起き上がろうとしたら目の前に転がっていた石。

この石は木の化石で、知人はこの石に運命的な出会いを感じ、それ以来大切に持っていたのだそうです。
 

僕と知人がこの石を「旅をする石」と呼ぶきっかけになったのは星野道夫さん。

2人とも彼の著作、中でも「旅をする木」という作品が大好きで、それがきっかけでよく話すようになりました。
 

そして、僕ときっこが旅に出ると伝えた時に彼はこう言いました。

「この石を、旅をしている中でここだと思った場所に置いて来て欲しいんです。

どんな所でも構いません。

世界のどこかにこの石があるんだと想像するだけで幸せな気持ちになれるんです。」
 

そんな大事な大事な小石を、僕は山の頂上の真ん中にあった、大きな石の上に置きました。
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風が吹けば飛んでしまいそうな小さな黒い小石。

明日ここに来たらもうないかもしれないし、まだあるかもしれない。

もしかしたら風に吹かれてナイル川に落ちて、海まで流れて行くかもしれない。

もしかしたら鳥がくわえて雛の待つ巣へ持って帰ってしまうかもしれない。
 

そんな想像を膨らませながら僕たちは丘を下り、カリマの街へと戻りました。
 

 

「僕たちが毎日を生きている瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。
日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど大きい。」

星野道夫

 



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