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17/AUG/2014 in Aswan

今日はいよいよスーダンへ向かうフェリーへの飛び入り乗船に挑戦する日。

これを逃せばもう5日も過ごしてやる事のなさそうなこのアスワンに、さらに4日間閉じ込められる事になってしまう。

なのにフェリーは満席で私たちはチケットを持っていないという絶望的な状況ですが、わずかな可能性にかけてフェリー乗り場のあるアスワンハイダム駅へ向かいます。
 

まずは宿からアスワン駅へ。
ここから電車で決戦の地、アスワン港へ向かうのですが、ここでもひとつ問題が。

アスワンハイダム行きの電車の時間が分からないのです。もちろん前日に駅へ確認しに行ったのですが、人によって言うことが全然違う!!

ホームの荷物検査員 7:00と11:00。
長距離列車チケット売り場の人 8:00,と9:30,と12:00。
ホーム中のオフィスの人 6:00と6:45と9:00。
ツーリストオフィスが開いてたら正確な情報を入手できたと思うんだけど休みだったので聞けず。。
もっと前に聞いておけば良かったな。失敗。
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結局どれが正解なのか分からず、他の人のブログを見てみても電車に乗れた時間はバラバラ。仕方ないので、誰の答えが正しくても間に合う6時40分に駅に行きました。
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でも電車が発車したのは8時すぎ。
やっぱりか。。8時が一番確度が高いと思ってた…。
 


車内の窓ガラスのほとんどがヒビだらけ。
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しばらく走り数駅に停車した後はもうスーダン人らしき人たちで車内は一杯に。
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8時半。
アスワンハイダム駅に到着。

駅から出ると既にこの人だかり。
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港までの道々にスーダン人の人の荷物や、洗濯機・冷蔵庫・テレビを始めとする大型の電化製品が山積み!
もはや野外商店のよう。
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そして何故だか分からないけど戦車を積んだ車も行き来して、もはや何が何だか分からなくなる程のカオスっぷりです。
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いきなり飛び込んで来た光景にかなり戸惑いながら港の方へ向かって歩き始めると、サングラスをかけた怪しげな両替商のおじさんが絡んできた。

「エジプト100ポンド=スーダン100ポンドでどう?」
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フェリーのチケット買うから後でね、と焦らしていると、すぐに「エジプト100ポンド=スーダン110ポンドにしてやる。」とレートを上げてきた。

チケット買えてから両替頼むよ、と言うと「分かった」と言って、チケットオフィスが開くのを待つ間にシャイをご馳走してくれた。
どうせ後で見返りを求めて来るのだろうけど、暑い中で飲む熱々&激甘のシャイは最高に美味しかった。

ところで、チケットオフィスはまだ開かないの?

シャイを飲むついでに彼に聞いてみた。

「9時に開くから待ってろ」
 


9時から遅れること30分。
やっとチケット売り場に係りの人が出勤してきた!

にわかにざわつき始めるチケットオフィス周辺。
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でも、両替商曰く「彼らはエジプト人とスーダン人専用の担当者だ。旅行者はMr.サハが対応するから、まだ待って。Mr.サハが来たらすぐチケットがもらえるよ。」

Mr.サハは、このフェリーチケット購入に関する有名人物で、旅行者の窓口になってくれると先人たちのブログにも書いてあった。なので私たちは「旅行者にこっそりチケットを売ってくれるやさしいおじさん」と勝手に思い込んでいた。
 


そして10時、Mr.サハ登場!
ああ、これでチケットが手に入る!

ほっとして話しかけると、彼の口から思いがけない第一声が

「君たちの分のチケットはない。」

!!

ない??
どういう事??

「無いものはない。売り切れだ!」

なんと冷たい対応…!

「今販売してるのは、予約がある人の分。2時頃からキャンセル待ちのチケットを売り出すから、それまで待て。」何度聞いてもその一点張り。

それ以上粘って心象を悪くするとこの後のキャンセル待ちチケットの購入に影響が出そうだったので、しぶしぶ2時まで待つ事に。

まだ午前10時前。
何もない駅の前で、しかも買えるかも分からないチケットの為に4時間も待つのか。
チケットを持っている人たちはもう乗船を始めているというのに。。

電化製品の山に埋もれて途方に暮れる私たち。
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でも仕方ない。
元々私たちはこの日曜の便は予約できなかったんだ。
それで、だめもとで来てるんだ。
旅行者だけ特別に売るなんて不平等だから、当然の対応をしたまで。

今から4時間待つ覚悟はできたものの、4時間。

…ひまだ。

朝早く起きて眠かったし疲れたので、二人ともそれからしばらく放心状態。

でもボーッとしているうちにふと気付いた。

そういえば近くにダムがあるんじゃなかったっけ?
アスワンと言えばアスワンハイダム。
地理の教科書にも載ってたやつだ!
 

という事で、暇つぶしに急遽アスワンハイダムを見に行くことにしました。

地図を見ると駅から近そうだったので歩いてダムまで向かうと、軍隊の検問が。
ここはエジプトの重要拠点のひとつだから軍隊に守られている。今思い返してみれば、駅前を行き来していた戦車もここを守る為だったんだ。

銃を持った人に近づくのは恐くて嫌だけど、仕方なく軍人に話しかける。
「アスワンハイダムを見にきたんだけど。」
するとすぐ近くのプレハブに連れて行かれ、ダムのチケットを売ってくれた。

それから、通りすがりの車を軍人が止めて、そこに私たちを押し込んだ。
来るまで5分ほど走った先には何かよく分からないモニュメントがあって、エジプト人がわんさか集まっていた。
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これがアスワンハイダム。
このダムのおかげでエジプトは安定した電力と水を得る事が出来ている。
そして、アスワンハイダムによって出来たダム湖の底には、移築されたアブシンベル神殿を除く遺跡群が沈んでいる。
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ちなみにダム沿いを歩いていると人に注意された。
徒歩禁止、車限定だったみたい。
このダムが爆破されたら、エジプトは水没するから当然といえば当然か。
でもそれならもっと分かりやすい表示をしてくれたらいいのに。
 


12時、走って来た職員の車をヒッチハイクしてチケット売り場に戻る。
思い返してみればこれが私たちの海外初ヒッチハイクでした。

そしてチケットオフィスにいるMr.サハにもう一度確認すると、彼はこう言った。

「キャンセル待ちの販売は14時からで変更はない。チケット販売は女性が先、その後から男性。だから、お前(だいごろ)のパスポートは彼女(きっこ)に預けて、彼女が並んでおくこと。」

13時半、徐々にチケットオフィス前に人だかりが出来てきたので列に並ぶ。前にはすでに三人。ずっと一番前で立って待っていたおばさん達だ。
 

それから10分後。
窓口ががたがたっと音を出したと思うと、わっと人が押し寄せた。
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周りの人が興奮して、話し声が荒くなる。でも、そのままの状態で14時になってもオフィスはまだ開かない。
エジプトでは遅れるのが当たり前。
近くにいた女性の一人が、水を汲んできて、全員に配ってあげていた。なんだか穏やかな雰囲気。
 

 

14時半、チケット売り場が開く。すると、さっきまでの雰囲気が一変!
待っていた全員がどっと窓口に詰め寄り混乱状態に!
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小さな窓口に顔を近づけ、パスポートを持った手をみんな一斉に伸ばす。手が一番長く伸ばせた者から順にチケットが購入できるのが、この国のセオリー。元々の順序なんて全く関係なし!この便を逃すと4日後になるから、みんな押し合いへし合いの真剣勝負。その様相は餌が欲しいサルそのものです。

手長日本ザル代表のきっこも必死で手を伸ばしますが、やはり現地人は強い。頭で窓口を塞ぎ、身体で私が伸ばす手をブロック。
でも何とか、10人いた中の6人目ぐらいでパスポートを受け取ってもらえ、チケット購入!一人335ポンドに値上がりしていました。

あー、良かった、チケット取れた!!
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結局女性は全員チケット買えていました。
男性がどこまで買えたかは見るに絶えなかったので未確認。

もし、チケット予約なしでフェリーに乗る場合は、女性と一緒に行くことを強くおすすめします。男性の列の方が圧倒的に長かったし、チケット争奪戦も当然激しいです。

それと後で分かった事だけど、先週も先々週も木曜の便はなかったので、今週木曜のは臨時便だった模様。つまり、今回私たちの飛び入り乗船が成功したのは、たまたま週2便あるタイミングだったからなのかも知れません。通常は日曜日の週一便のみの運行なので、その点も考慮に入れる必要がありそうです。
 


という事で、無事チケットが買えたので、水などを買い込んで少しだけ両替。もちろん、世話を焼いてくれた両替商に頼む。
でもスーダンの方がレートが良いという噂なので、今回は少しだけで残りはスーダンで両替するつもり。

二人で360ポンド(約4500円)両替する。
両替の金額が少ないのでさぞかしがっかりするだろうと思っていると、がっかりを通り越してこう言われた。

「お前らそんだけしか金持ってないの?…グッドラック。」

ありがとう、やさしい両替商のおじさん!!

つづく
 

▶次回:ついに乗船!!世界一過酷な奴隷船でスーダンへ。



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