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20/AUG/2015 in Karakol

朝6時前。
ベッドから起きあがって、テントの外に出るとドアの前で犬が寝ていました。

昨日の夜にガサガサいってたのはこいつか。
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テントの横にはキノコみたいな謎の物体が干されていました。
昨日の夕方はなかったから、夜の間に作業したのかな。
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ベースキャンプのメインテントに行くと、若い方のスタッフがお湯を沸かしてくれました。
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朝ごはんは街で買ってきておいた乾燥タイプのラーメンとチャイ。
外はかなり寒いけど、テントの中で燃やしている薪と食べ物の熱で体はポカポカです。
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食べ終わった食器は川から引いた水で洗います。この水がめちゃくちゃ冷たかった!
二匹の犬も朝から元気。ずっと僕たちのまわりを走り回っています。
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目指せアラコル湖!早朝トレッキング開始!

ご飯を食べ終わったら荷物をまとめてトレッキングに出発!

時刻はまだ朝7時。太陽が山陰に隠れているから、辺りはまだ薄暗い。
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今日の行程は、今いる標高2500mのベースキャンプから富士山よりも高い3900mぐらいまで登って、標高2500mぐらいにあるアルティンアラシャンという村まで歩くというなかなかハードな一日。
距離でいうと多分25kmぐらい。何時間かかるか全然分からないけど、日が暮れるまでには村にたどり着きたいところです。
 

ベースキャンプを出て、昨日渡った丸太を渡ります。
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それにしても、さっきからベースキャンプの2匹の犬がずっと着いてきています。朝の散歩かな?
大きい成犬とまだ小さい子犬。
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どこまでついてくるかなぁ?と思ってたら、大きい方の犬は10分ぐらいで帰っていきました。

でも、小さい方はまだ帰らない。

きっとこの辺りはまだ縄張りの中なんだろうと、気にせず子犬と一緒に山に入ります。
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しばらく歩くと太陽が出てきて、日陰だった山合いもだんだんと明るくなってきました。
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見たことのない不思議な植物を見て楽しみながら歩きます。
子犬はまだ着いてきます。
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そういえば、昔ネパールの山奥でトレッキングをした時も犬がずっと着いて来たんだった。
その時は1時間ぐらい歩いたら帰って行ったし、きっとこいつもそのうち帰るだろう。

と考えていたら、突然子犬が山道の脇にある茂みに飛び込みました。

ガサガサガサ

しばらくすると何かをくわえて茂みから戻って来た子犬。

よく見たらネズミを捕まえていました!そしてムシャムシャと食べ始めた!

ワイルドだ…。笑
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それからしばらく歩くとまた

ガサガサガサ

またしてもネズミを捕まえてきました!

よく食べるなぁ。笑
 


 

ベースキャンプから歩くこと2時間。

そろそろ休憩しようと、道端に座って買ってきていたパンやビスケットを食べます。

僕たちが座るとどこかへ走り去っていく子犬。

やっと飽きてベースキャンプに帰ったか。

と、思っていたら…
 

ガサガサガサ
 

まさか…

 

そう。子犬は僕たちの予想通り、本日三匹目の獲物をくわえて嬉しそうに戻ってきました。笑
 

 

帰ってきた子犬は僕たちが休憩している横にちょこんと座ってネズミをムシャムシャ。

3人一緒につかの間のおやつタイムを楽しみました。
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休憩が終わったら再び出発!

すると、歩き始めてすぐにキャンプサイトが見えてきました。
トレッキング客がたくさんいて、みんな朝ごはんを食べています。
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着いてきてる子犬は誰かに餌でもおねだりするかな?

他に気に入った人でも見つけて着いていくかな?

と思ったけど、たくさんいるトレッキング客やご飯には全く見向きもせず、僕たちに着いてきました。
 

”この子犬はどうして着いてくるんだろう?”
もちろん餌なんてあげてないし、撫でるどころかまだ触れてもいない。

その後も何人かの登山客とすれ違って、撫でようとした人もいたけど、この犬は素っ気ない。
なぜか僕たちの後をぴったりと着いてくる。

なんだか僕もきっこも、この子犬にだんだん愛着が湧いてきました。
 

“この犬に名前つけよっか。”

“そうやな。”

“メスやんなぁ。アラコル湖に行くときに着いてきたから…”

“じゃあ、あっこにする?”

“それやったらお母さんの名前と一緒やん。あら子でいいやん。”

”あら子。じゃあそうしよう。”

ということで、安直すぎるネーミングセンスはさておき(笑)、僕たちはこの子犬を「あら子」と呼ぶことにしました。
 


 

キャンプサイトを出ると、そこから先は険しい岩山が続いています。
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さすがに子犬のあら子には厳しいかな?と思ったけど意外にもしっかり着いて来る。
標高も3000mに近づいてきたし、むしろ僕たちの方がへばりそうだな。。
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僕ときっこの間を歩き、きっこが遅れたら後ろを振り返って待ってくれるあら子。
可愛いやつだ。
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そして、そこからさらに岩の上を進むと、僕たちでも登るのが厳しそうな岩場にぶち当たりました。(実はこのトレッキングルートにそこまで酷い岩場はなくて、僕たちがルートを間違えていただけ。)

僕ときっこは手を取り合って、なんとか段差を超えて登ります。

でも、さすがに子犬のあら子には登れなくて、岩の隙間から顔を覗かせながら淋し気にキュンキュンと鳴いています。
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“もう帰りー。帰り道分からんくなるで。”

“ここでお別れやな。バイバイ。”

さすがにこれ以上着いてくるのは無理だろうと、あら子にお別れを行って先に進みます。
 

そこから先も岩場の苦手なきっこは進むのに大苦戦。

道もよく分からないしなかなか前へ進めません。
 

と、突然どこからともなく物音が
 

ガサガサガサ
 

なんと、僕たちの横の岩と岩の間から、枯れ木と雑草まみれになったあら子が顔を出しました!
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”え?!どうやって登ったん?!!”

”さっきの岩場はあら子の背丈よりもよっぽど高い岩やったのに!!”

驚く僕たちの横で嬉しそうにしっぽを振るあら子。
どうしても着いて来たいみたいです。笑

きっこがそんなあら子に向かって、”どこまで着いてくるん?帰れる??” と、聞くけどもちろん答えはなし。

困ったな…。

でもまあ一緒に歩けるのは楽しいしいっか。
 


 

1時間ほど歩いて険しい岩場を抜けると、綺麗な花が咲く谷に出ました。
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難所を乗り越えたあら子は軽快にきっこの後ろを着いて行きます。
あら子は黒いから、写真で見ると分かりにくいな。笑
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あら子は岩場も滑りやすい砂地も川に架けられた丸太の橋も難なく走り抜けます。

”私も4足歩行だったらもっとうまく歩けるかな?”

岩場や砂地が苦手なきっこが呟きます。笑
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僕たちが必死で山を登っている横で、あら子はあっちにこっちに大忙し。

どこかへ行ったと思ったら、ちょうちょを捕まえて食べる!

今度はバッタも食べた!

振り返って笑ったと思ったら、口からバッタの上半身が出てきた!
 

あら子は子犬だからエネルギーが有り余っていて、たまに道を外れて飛び跳ねたり、狩をしたり。
無邪気でかわいい。それに毛にツヤがあってきれい。
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だんだん標高も上がってきたけど、あら子の軽やかな足取りを見ながら一緒に歩いているだけでトレッキングの励みになります。
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あら子は2番手を歩くのが好き。

僕が先頭を歩くと僕の後ろに着いてきて、きっこが先頭に行くときっこの後に着いてくる。

それにきっこが歩くのが遅いとちゃんと後ろを振り返って待ってくれます。
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僕ときっことあら子。3人のパーティー。

先頭を歩いていると、たまにあら子の鼻とか前足が僕の足に当たって、ぴったり後ろに着いてきているのが分かる。

そんなに近くを歩かなくてもいいのに。笑
 


 

そんなあら子の愛らしい姿を見ながら歩いていると、いつの間にか岩場を登りきり、目の前にアラコル湖が見えてきました!

このアラコル湖は、カザフスタン、キルギス、中国にまたがる天山山脈の秘宝と呼ばれています。
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もちろんあら子も一緒。
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そして目の前に広がる湖は ”秘宝”の名にふさわしく、太陽の光を浴びてエメラルドグリーンに輝く湖面がうっとりするほど美しい。

ここまで辿り着いた達成感を噛みしめる二人と一匹。
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しかしこのアラコル湖への到達は、僕たちとあら子の大冒険の始まりにすぎなかったのでした。
 

つづく



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