何かが違うキルギスの有名日本人宿 × だいごろが伝説になった日
22/AUG/2015 in Bishkek
あら子と別れた後は、カラコルから首都のビシュケクに向かうマルシュルートカに乗り込む。
この日のビシュケクは久々の大雨。
ちょうど私たちがカラコルに帰って来たあたりから雲行きが怪しくなった。その後は数週間先までずっと雨の予報。
それに、私たちより少し先にアラコルに行った人たちは雨でトレッキングを断念したと言っていた。
つまり、私たちここ最近で唯一晴れていた3日間をトレッキングしたという事になる。
この一年半の旅で、天気に左右される景色を見たりイベントに参加したりするときは必ず晴れてくれた。ほんとラッキー!!
ああ、それにしてもあら子と一緒のトレッキング本当に楽しかったなぁ。
車は行きと同じイシククル湖に沿った道や、山々の間を走り抜けます。
途中のレストランでお昼ご飯休憩。
焼き飯みたいなプロフ、ミンチの入った卵焼きとパン。
美味しかったけど、休憩が短いので急いで掻き込みました。
そして5時間ほどの移動の末に、再び南旅館別館へと帰還したのでした。
なんだかしっくりこない南旅館。
別館に荷物を置いた後は、南旅館の本館へ。
別館からはちょっと距離があるけど、明日はカザフスタンへ移動する予定なので情報収集をしに行きます。
南旅館はキルギスを代表する有名日本人宿。
中には相変わらず日本人旅行者がたくさんいます。
宿のスタッフに聞くと、今日もベッドは一つも空いていないそう。
そういえば数日前にビシュケクに到着した時も満室だった…。
あの時、南旅館に来たのは夜の10時すぎ。
オシュから14時間かけて、やっとの思いで辿り着いたときにはおなかぺこぺこ。
その時に宿泊者の人たちがシェア飯をして大量に残っていたご飯があって、私たちがお腹ペコペコなのを知っているのに分けてもらえなかった。
(と言っても、私たちがはっきりお願いしなかったのが悪かったのかもしれないけど。)
だから第一印象ははっきり言って良くない。
とにかくすごく排他的な感じがした。
今日はそんな南旅館に再びやってきて、共用スペースでティータイム。
ビシュケクの街にはたくさんのスイーツ屋さんがあって、特にフルーツタルトが絶品だそう。
でも私たちがおめあての店に行ったときは品切れで、渋々スーパーの量り売りのやつを買ったら数百円してしまった…。ともあれ、だいごろは甘いもの好きなので、嬉しそうに食べています。
共用スペースでみんなと話していると、色々と気づくことがあった。
まず、南旅館はとにかく長期滞在者が多い。
数ヶ月単位は当たり前、たぶん数年単位の人までいる。
キルギスから西に行く場合はビザを取るのが大変だからみんな苦労しているみたい。
詳しくは知らないけど、中央アジアのビザ取りは西回りよりも東回りの方がはるかに難しいそう。
聞いてみると、特に大変なのはイランビザだと言っていました。
イランビザは私たちも苦労したから分かります。
まずインビテーションレター(紹介状)を代理店から取り寄せないといけない。
それから大使館に行くのだけれど…
そのインビテーションレターを取るのに、みんな何ヶ月も待っているという。
中にはお金を払って2ヶ月待ってもインビテーションレターがもらえない人もいるって。
…それって完全にダメな代理店やん。
インビテーションレターの発行は最大で10営業日って普通の代理店の案内には書いてある。
代理店が何社もあることを、ここの人は知らないんだ…。
「○○さんが、この代理店で申請して…って言ったから」っていう理由で、自分では何も調べずにその悪い代理店で申請する。
それで何ヶ月も待つ。先払いした数十ドルもする手数料はもう戻ってこない。
ちょっと調べたら代理店なんて何社もあることなんて明らかなのに。
私はイランビザを取ろうとしたとき、信頼できそうな代理店を探して何社か連絡を取った。
英語でちょっと検索してたら代理店は山ほど出て来る。みんな日本人のブログだけ見て前例がある代理店に申し込んでいるのかもしれない。運が悪ければ数ヶ月かかってしまう事を知りながら。
私たちは旅行日程に影響が出ないように実際に受け取りたい日よりもかなり前にインビテーションレターの申請を終わらせた。
後払いOKの代理店だったのでお金だけ取られる心配もなく、レターは2日ほどで発行され、あとは大使館に行って受け取るだけなので沈没する必要なんてない。
なんか…変だ。
何ヶ月も沈没してる人に、聞きたかった。
「一体ここで何をして過ごしているの?」
でも、ここにはそういうことを聞けない雰囲気がなんとなく漂っていた。
「何もしていない」っていう答えが返ってくるのが怖かったのかもしれない。
ここに沈没している人たちが一体何をしているのかは不思議だ。
宿泊客の人たちを観察していると、パソコンで作業したり、漫画を読んだり、買ってきたタルトを買ったり、昼寝したり、みんなで一緒に夜の街に繰り出したり。
ここの宿泊費は一泊300ソム(約550円)。
食事は一日400円もあれば十分。
ネットも水道も電気もガスも込み込みで、一日1000円でやっていける。
月3万円。一年で36万円。
日本でここの人たちみたいな生活をしていたら周りからの目が気になったりするけど、ここなら誰からも非難されることはない。
南旅館には料理上手なシェフがいるから数百円出せば毎晩美味しいシェア飯が食べられる。
すごく居心地がいいんだろうな。
もう一つ気付いたのは、この宿にある情報ノートのこと。
南旅館みたいに日本人旅行者がわんさか集まる宿には必ずと言っていいほど情報ノートが置いてあって、そこには旅をする上でタメになる情報がたくさん書き込まれている。
普通なら。
私たちも今日はここの情報ノートを頼りにやってきた。
なのに、ほんの10ページぐらいめくったらすぐに2年以上前のイクエさんが書いた情報になった。(皆さんご存知のイクエさんケンゾーさんのブログはこちら▶︎ふたりでふらり ゆるりとぐるり)
なんで?
2年もあったら情報ノート1冊分ぐらいの新しい情報が書き込まれていてもいいぐらいなのに…。
情報は鮮度が命。
結局ここの情報ノートから有用な情報は得られなかった。
仕方なく、私たちがイランビザのインビテーションを取った代理店の情報を書き込む。
そして、宿泊者のみんなに声をかけると、「そんな代理店があるんだ!」とみんな驚いていました。
(イランビザの取り方について詳しくはこちら
イランビザをジョージアのトビリシで取得したという情報は聞かないので役に立つと思います。オススメの優良代理店の情報も。)
私たちはこの本館には泊まれなかったから、勘違いしてることがたくさんあるかもしれない。
でも、南旅館については、正直あまりポジティブな印象を抱くことはなかった。
だいごろが伝説になった日。
情報収集に失敗し、再び別館の方へと戻ってきた私たち。
やっぱり別館の方が広々していて人も少ないし落ち着くなぁ。
今日、別館に泊まるのは私たち以外にカップルが1組と男性が一人。
そして、ここに泊まれるのは3人まで。
今日は連日のトレッキングで疲れていたから、夜ごはんを自炊して早めに寝ようと思いましたがまさかの満室!
でも3人ともとってもいい人で、場所はあるし一緒に泊まっていいよって言ってくれました。
なんとかして私たちの寝床を確保しようと試行錯誤。
だいごろは他の三人が寝ている寝室のソファに目をつけました。
”このソファって誰も使わないんですか?”
「あ、あかん!そこは絶対やめたほうがいい!!」
Kさんが驚いたように、だいごろを止めに入りました。
”え?どうしてですか?”
「そこは南京虫の巣窟なんや。これまでそこで寝た人全員が被害にあってるから。」
さらにそこへカップルもやってきて、こう言いました。
「私そこでうたた寝しただけで顔とか上半身を刺されましたよ!もうそのソファには近寄るのも嫌です。」
「その証拠にほら、僕たちは長袖長ズボンに、敷布団にビニールシート敷いた上から、日本で手作りした目の超細かいネットに包まって寝てますから。」
寝ているところを見せてもらうと、こんな感じの完全防備!ここまでやってる人は初めて見た。
このネット、まるまる一人が入れるようにできてる!すごい!!
”でも、僕はこれまでにどんなにたくさん南京虫がいるベッドでも、ほとんど刺されたことないんです。よく分からないけど、南京虫の嫌いな匂いを出しているのか、もしくは体に耐性があるんだと思います。”
「いや、そう言ってる人もこれまでに何人かいたけど、みんな刺されてるから!絶対にやめたほうがいいよ!」
それを聞いただいごろは、
”うーん。そこまで言われると…。どうしようかなぁ。”
と言いながらも、
トラベルシーツ一枚だけかぶって、ソファの上で寝てしまいました。笑
まあ、今まで散々大丈夫だったからきっと大丈夫なんだろう。
南京虫にこれまで何度も苦しめられてきた私は、キッチンにロールマットを敷いて寝袋で寝ることに。
次の日の朝。
だいごろは全くの無傷。
どこも刺されていませんでした。さすが!
Kさんに「おまえ南旅館の伝説になったな!」と言われました。笑
ということで、キルギスのお話はここまで。
次回はカザフスタン編です。お楽しみに!
kicco
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