あら子の大冒険3〜こっちへ来るな!!あら子との悲しい別れ。〜
20/AUG/2015 in Karakol
子犬のあら子と一緒に辿り着いたアラコル湖。
私とだいごろは昼ごはんに持ってきていたパンを食べます。
あら子はその横でお昼寝。あら子も疲れたみたい。
ここまでで5時間ぐらいのトレッキング。
あら子もおなか減ってるだろうなぁ。
あら子にあげる分の食料を持ちあわせていなかったので、パンをちょっとだけ千切って分けた。
あんまり美味しくなさそうに食べるあら子。
もうひとちぎりあげたけど、もういらないって。
肉食系だからなぁ。
4000m級の山を越えて。
しばらく休んだらそろそろ出発。
私たちが立ち上がるとあら子が起きました。
”じゃあね。あら子。”
そう言って、黒くて小さな子犬に別れを告げます。
でもどうやって別れられるだろう?
”あら子、あら子の家はあっちやで、着いてきたらあかんで。”
って言ってみるけど、あら子は着いて来る気まんまんのこの表情。
どうしよう、困ったな…。
アラコル湖を臨むこの場所の標高は3560m。
ここから湖沿いを歩いて、さらに300m以上登ります。
案の定、あら子も着いて来ちゃいました。
湖の横の斜面を登ったり下ったり。
もう出発してから6時間以上歩いている。
だんだん疲れが出てきました。
でもあら子はそんな私たちとは違って元気。虫を探し回って余裕の表情です。
一気に頂上まで登ろうと思ったけど、疲れたからちょっと休憩。
雲の影が湖に落ちて、これまた綺麗な色。うっとりです。
あら子と一緒に辿り着いた頂上。
だんだん急になる荒地。
砂っぽくて足が滑るからなかなか登れない。
一歩一歩進む。
あら子は元気です。
そしてようやく頂上へ到着!
山の稜線には雪が積もっています。
雪を見つけるなり、あら子は雪に飛び込んで雪をパクパク食べていた。
喉が渇いてたのかな。
そんなに雪におなかをつけたら、おなかが冷えるよー!犬は平気なのかな?
ゆきやこんこ、あられやこんこ、の歌でも、犬は雪が降ったら喜ぶみたいだからきっと平気なんだろう。
この標高は3900m。富士山よりもずっと高いところ。
だいごろは高山病気味で頭痛がしてきたと言っています。
そして、その横でまだまだ元気いっぱいのあら子。さすが野生児だ。
登ってきたアラコル湖をじっと見つめています。
まさか、こんなところまで一緒に来ちゃうなんて、ねぇ。
頂上にいたトレッカーたちも、「その犬かわいいね!どうしたの?」と不思議そう。
そりゃそうだろうなぁ。
明らかに地元の人じゃない私たちが犬を連れて、こんな山頂まで来ちゃったんだから。
山のてっぺんに座って、あら子と一緒にあたりの景色を眺めます。
エメラルドグリーンの湖と、雪解け水でできた川、遠くには雪を抱く山々。
反対側には短い草が生える山がどこまでも連なっています。
最高の景色だ。
あら子も一緒に休憩です。
2人と1匹で頂上に立って記念撮影。
あら子、真っ黒だから抱っこしてるのに分からない。
私が抱っこしておけばよかった。笑
あら子とのお別れ。
この先はアルティンアラシャンという村までずっと下り坂なので、あら子はここでベースキャンプへ引き返さないときっと帰れなくなってしまう。
あら子ともここでお別れです。
私たちにはひとつ作戦がありました。
それは、「ここであら子を誰かに引き取ってもらうこと。」
山頂で出会った人の中に、アルティンアラシャンから登ってきてベースキャンプに行く人がいるかもしれない。
その人たちと一緒に行けば、あら子はベースキャンプに帰れる。
運良く、山頂にたどり着いたカップルがこの後ベースキャンプに行くと言っていたので、事情を説明して一緒に帰ってほしいとお願いしてみた。
「いいよ。着いてきてくれるか分からないけど…。」
そのカップルにあら子を餌でおびき寄せてもらって、その隙に私たちは山頂から降りた。
私たちがいなくなったのに気づいてキュンキュン鳴き始めるあら子。
その声を聞かないようにしながら、急な下り坂を降ります。
砂地だし、すごく急だからお尻で滑りながら降ります。
キュンキュン!!
山頂からこっちに向かって鳴きじゃくるあら子と、捕まえようとする登山客たち。
可哀想だったけど、気づかないふりをして下り続けます。
すると、あら子は登山客たちの制止を振り切って坂を下り始めてしまいました。
”こっちにくるな!!”
それを見ただいごろは足元にあった小石を拾ってあら子の足元に向かって投げました。
あら子はびっくりして後ずさりしてへたり込みます。
でも、しばらくするとまた立ち上がるあら子。
“来るな!!”
心を鬼にし、小石を投げ続けて威嚇するだいごろ。
だいごろはこのとき半泣きでした。笑
坂を下り終わり、もう大丈夫だろうと山頂を振り返ってみる。
すると遠くからキュンキュンという鳴き声が聞こえてきました。
ん?あれは…
よく見ると…、あら子だ!黒いとんがり耳の影が見えてる!!
切ない。。
お互いに別れるのは淋しいけどこれもあら子のため。
あら子にはあら子の家があるから。
気持ちを入れ替えて、目の前に広がる草原へと歩き始めます。
”バイバイ、あら子。”
自分に言い聞かせるように呟きながら。
つづく
kicco
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