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21/AUG/2015 in Karakol

午前6時。
バレンティンのゲストハウスで迎えた朝。

私たちの宿から2kmほど離れた遊牧民の家族のところで繋がれているあら子。

だいごろは昨夜、あら子が死んじゃった妄想をして眠れなかったんだって。
寝不足で疲れた顔をしています。
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これが朝ごはん。
すごく質素な朝ごはんだけど、山だから仕方ない。急いで掻き込みます。
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朝ごはんを食べている間、オーナーのバレンティンにお願いして、遊牧民の人にキルギスの言葉でメッセージを書いてもらいました。言葉が通じないから、誤解があったらあら子を引き渡してもらえないかもしれない。
 

そしてあら子の運命は…

ごはんを食べた後、大急ぎであら子を迎えに出かけました。
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死んじゃってないかな。
逃げちゃってないかな。

いろいろ考えていると自然に早足になります。
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牛たちを掻き分けぐんぐん進みます。
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半分走るようにしてあら子の元へ向かいました。
 


そして遊牧民の家が見える少し前。
犬がキャンキャン鳴く声が聞こえました。

“だいごろ、今犬が犬の鳴き声が聞こえた!”

“えっ!どこ?!”

だいごろはそう言って、声のする方へと走り出しました。
 

そして私が追い着いたときには…、
 

こうなってました。笑
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あら子はよっぽど淋しかったみたいで私たちに会えて大興奮。

キュンキュン!キュン!

鳴きながら大興奮で飛びついてきます。
 

なんなんだろう、このなつきっぷり。
餌だって一度もあげてないのに。改めて不思議になります。
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あら子!その牛のうんち踏みまくった前足でアタックしないで!笑
可愛いから許すけど。
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昨日あら子とお別れした時は頼りないロープで繋がれていたけど、会ったときにはちゃんと鎖に繋がれていました。
遊牧民のお父さんが鎖を外してくれます。
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そして、さっきバレンティンに書いてもらったメッセージを渡し、ジェスチャーで「バレンティンが車でこの犬を連れていくから」と伝えます。バレンティンはこの辺りでは有名なので、すぐに話を分かってくれました。
 

こうして、鎖をほどいてもらったあら子は自由になりました。

あら子の足元には空になった缶詰と着古されたジャケット。
遊牧民の家族がちゃんと面倒を見てくれていました。よかったね、あら子。
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そして、足取りも軽くなって一緒にバレンティンの所へ帰ることになりました。
 

あら子との最後のトレッキング。

私たちに会えて、紐から自由になって、元気いっぱいのあら子。
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紐を繋がなくてもちゃんと着いてくる。
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♪首輪や紐じゃないんだよ〜、君に身を寄せるのは〜、すべて僕の意志だ〜
”BUMP OF CHICKEN”の”夢の飼い主”という曲を思わず口ずさみます。犬じゃなくて夢の歌だけど。
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こんな丸太の橋だって、あら子はへっちゃら。
昨日の夜の真っ暗な時に来てたら川に落ちて大怪我してただろうな。。
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私が遅れたら後ろを振り返って待ってくれる。
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だいごろが走ったらあら子もぴったり後をついてくる。
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やっぱりあら子と一緒は楽しいな!
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昨日の帰りはもう暗かったし、頭の中があら子のことでいっぱいだったからよく見えてなかったけど、すごく緑豊かな綺麗な景色。
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あら子と無事再会できた安心感と景色の美しさに心が晴れ渡っていきます。
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最後に川にかけられた橋を渡れば、バレンティンのゲストハウスはもうすぐです。
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あら子とバレンティンの子犬たち。

往復1時間半の道のりを歩き、無事バレンティンのゲストハウスまであら子を連れてくることができました。
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バレンティンにあら子を紹介すると、あまりの懐きっぷりを見て
「餌もあげてないのになんでこんなに懐いたんだろうね?」と不思議そう。
それはこっちが聞きたいぐらい。笑
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バレンティンが慣れた様子で残飯の肉あげると、大喜びでがっつくあら子。
よっぽどおなか減ってたんだろうな。私たちはロクな食べ物持ってなかったから。
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そして、バレンティンの宿には最近飼いはじめたというあら子よりも小さい子犬が二匹いました。
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二匹の子犬に興味津々のあら子。
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バレンティンがベースキャンプに行くのは週に一回。
それまではここにあら子を預かってもらわないといけません。

だいごろがあら子を呼んで抱っこ。
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そして首に紐を回すと
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バレンティンが首が閉まらないように結んでくれました。
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そして家の柵に繋いで、一安心。
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「ここでしばらく慣らしたらいい」と、バレンティン。

私たちが離れると昨日別れたときみたいな叫び声をあげていたけど、近くに友達の子犬もいるしもう大丈夫。
 

温泉の湧く村。

あら子もひとまず落ち着いたみたいだし、これでゆっくり温泉に行ける。

実は、ここアルティンアラシャンの村は温泉保養地として知られています。

あら子に気づかれないようにこっそり宿を離れて、無料の天然温泉めぐりに出かけました。
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アルティンアラシャンには有料の温泉があって、一人200ソム(約400円)で日本の銭湯みたいなほっかほかの温泉に入れるそう。でも私たちはケチなので、バレンティンが作ったという手作り露天風呂を探します。
 

しばらく川沿いを歩くと…

あった!
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こっちは洞窟みたいになってる!
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だいごろが入ります。気持ち良さそう。
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だいごろが気持ち良さそうだから私も足だけ入ってみたけど、温度がぬるくていまいち。しかも、なんか苔とかいっぱい生えてるし、もちろん誰も掃除してないしゴミ浮いてるし。
とてもじゃないけど全身浸かるような気分になれる温泉じゃなかった。

きっとだいごろはあら子が無事に帰ってきて嬉しいから、ぬるくてもなんでも気持ちいいんだろうな。笑
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実は今日はアルティンアラシャンから一気にビシュケクまで戻る予定でした。だけど、あら子を迎えに行くのに時間を使ったので無理になってしまった。

ただでさえ帰国が迫って焦っていたから迷ったけど、あら子の無事を確認できて本当に良かった。
 

 

温泉から帰ると、バレンティンが何やら電話をしています。

どうやらあら子の飼主と話してるみたい。

しばらくすると私たちの元にやってきました。

「あの子犬だけど…」

そして、バレンティンの口から出てきたのは、思いがけない提案だったのでした。

つづく



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