こんな所でヒッチハイクをしてはいけません!
16/JUN/2015 from Kalambaka to Tessaloniki
メテオラを歩き倒した次の日。
テントで爆睡してしまっていたので、キャンプサイトを出る頃にはもう12時すぎ。
この子供たちは宿のオーナーの息子。
僕たちがご飯を食べてる横でよくサッカーをしていて、たまにボールぶつけてきていた生意気ながきんちょたち。
最後まで生意気な彼らに見送られ、キャンプサイトを後にします。
サッカー上手くなるといいね。
宿からカランバカの街の大通りまで15分ぐらい歩いて行ってヒッチ開始。
今日向かうテッサロニキの街には、北のハイウェイを通って真っ直ぐいくか、一旦エーゲ海に出てから北上するかの2通りのルートが考えられます。
カランバカからテッサロニキへは、北側からまわって行くのが距離的には近い。
出来るだけ早く行きたかったので、まずは北のハイウェイに向かう車に向かってアピールします。
でもしばらくヒッチしていてもなかなか車に止まってもらえず、通りすがりのおじさんに「東側から行った方がいいよ」と教えてもらいました。
やっぱり急がば回れだったか。
地元の人のアドバイスは大抵正しいので、すぐに方針を変えて反対側の道路でヒッチハイクすると、数分で車が止まってくれました。
乗せてくれたのは建築会社に勤めるトーマス。
カランバカから隣町のトリカラまで向かうそうです。
トーマスは英語が話せるので、気になるギリシャの景気のことを聞いてみました。
トーマスは今、メテオラの麓の村カランバカで新しいホテルの建築中。
でも今はギリシャはデフォルト寸前の不況真っ只中で仕事が減って大変。
最盛期と比較するとなんと95%も仕事が減った状態だそうです。
今は細々とビジネスを続けて、なんとか持ちこたえるようにがんばっているそう。
トリカラの街には30分ぐらいで到着。
トーマスはヒッチがしやすい街の出入り口で降ろしてくれました。
さすが!よく分かってる。
トーマスにお礼を言って別れた後、降ろしてもらった場所でヒッチを始めたら…
なんと、またしても5分でトラックが止まってくれました!
乗せてくれたのはジョージ。
エーゲ海の街まで行くから途中まで乗せてってくれるって!
ジョージはトラックの運ちゃんなのに英語がペラペラ。そんな人始めてです。
びっくりして話を聞いてみると、彼はもともと航空整備士の大学を卒業したけど、ギリシャには航空整備の会社が一つしかないらしく入れなかったんだって。
それで自腹を切ってこのトラックを購入して、トラックの運転手になったそう。
トラックは中古で600万円ぐらい。
「ベッドもあって家の代わりになるから、もしもの時もこれがあれば安心なんだ。」と、冗談まじりに話すジョージ。
”このトラックは何を運んでるの?”
ジョージに聞いてみます。
「コカコーラの商品だよ。」
“え!!コカコーラ!飲みたい!!”
暑い日には炭酸飲料が無性に飲みたくなる僕は思わず叫びます。
「今は荷物を降ろした帰りだからトラックの中は空だよ。笑
コーラ好きなんだ。僕はコーラは大っ嫌いだよ。身体に良くないから。」と、トーマス。
毎日運んでる商品なのにね。
でもその通り。笑
トーマスは長距離ドライバーなので、家に帰るのは一週間おき。
トラックのドライバーって孤独だし地味だし大変な仕事だなぁっていつも思う。
それにトーマスは英語が本当に流暢で朗らか。
選ばなければ他の仕事だってたくさんありそうなのに、トラックの運転手を何十年も続けています。
「僕はトラックから見える景色が好きなんだよ。
視界が広くて気持ちいいし、ゆっくり走るからいろんなものを見れる。」
と、トーマスはあくまでポジティブ。僕もトラックから見える景色は大好きだ。
そして1時間ぐらいでトーマスとはお別れ。
「ここならヒッチハイクがしやすいと思うよ。」
そう言って、高速道路との合流点の近くで降ろしてくれました。
ありがとう、トーマス。
ギリシャの人々の優しさに触れて。
トーマスに降ろしてもらった所でザックを背負うと、なんと目の前にファーストフードの店が!
ラッキー!ちょうどお腹が減ってた。
店に入ると、陽気なギリシャ人たちの先客がいました。
彼らは「どこから来たの?何やってるの?」と僕たちに興味津々。
ご飯はしばらくお預けして、雑談タイムです。
店の人が注文を聞きに来たので、おじさんたちが食べているのを指差して注文してから席に座ります。
そしたらおじさんの中の一人が、突然机の上に水のペットボトルを二本ドンと置き、どのジュースが欲しいと聞いて来たので、ファンタレモンを指差すとそれも持って来ました。
”ん?これは、さっき頼んだ料理についてるやつかな?取ってきてくれたの?”
そしたらおじさんは「レガロ。」と言いました。
”レガロ??”
スペイン語でプレゼントという意味だけど。ギリシャ語だよね?
向こうのテーブルを見てみると、みんな笑顔で飲め飲めというジェスチャー。
とにかくみんなの奢りみたい。
ありがとう!
注文していたサンドイッチと一緒に食べます。
美味しい!
お腹が満たされたら、ここから目的地のテッサロニキまで一気に目指します。
でもここからのヒッチで大苦戦…。
ヒッチを始めたのは高速の入り口だったのですが、何故か数分に1台しか車が通らない。
数分に1台だったら乗せてもらえそうって思うかもしれないけど、この先に高速の分岐があるから自分たちの行き先の車はそのうちさらに3分の1かそれ以下…。
そこからさらに、2人分乗るスペースがあって、社用車じゃなくて、時間の余裕もあって、ヒッチハイカーを拾ってくれる人…そんなことを考えていたら気が遠くなりそうです…。
そしてこの場所はものすごく暑い。
さっき乗せてくれたトーマスの話では、ここはギリシャで一番暑い場所なんだとか。
そう言えばトラックについていた温度計は38度を示していた。まだ6月なのに…。
あー日差しが痛い。暑い…。
でも車は一台も止まらない…。
それから一時間。
やっと車が止まってくれました。
「ハイウェイまでだけど。」と言って乗せてくれたのは、なんと、さっきドリンクをおごってくれたおじさんでした!
苦労している私たちを見兼ねて乗せてくれたみたい。どうもありがとう。
おじさんは5キロぐらい先の、高速道路上で降ろしてくれました。
ここから先は分岐がないから、みんな僕たちと同じ目的地に行く車です。
でも、よく考えたら高速道路でヒッチハイクするのはかなり難しい。
以前にもポーランドでやった事があるけど、何時間も頑張って撃沈した苦い思い出がある。
僕たちの経験上、一番ヒッチハイクがしにくい場所です。
どの車もスピードを出してるから誰も止まれないし、こんな所に立ってたらひかれそうだ…。
かと言って出口まで5キロ以上もあるから、ここから歩いて脱出するのも大変。
半ば無理だと分かりつつも、他に選択肢がないから必死でヒッチハイクを続けます。
でもドライバーに僕たちの渾身の笑顔とアイコンタクトが伝わらない。早すぎて見えないんだ…。
それに、止まりたいと思ったとしても、ここは交通量があるから後ろから車が来ていたりしてなかなか止まれない。
それでも、車がほとんど通らないさっきの場所よりはまだましかもしれない…。
降ろされた以上ここで頑張るしかない。
暑さで朦朧とする意識の中で考えます。
なんで自分たちは高速道路のど真ん中でヒッチハイクなんかしてるんだろう?
普通に考えたら絶対やったらダメな場所なのに…。
暑さにやられて頭がおかしくなったんだ。きっとそうだ。
高速道路でヒッチハイクをしたらこうなりますので、みなさんはくれぐれもマネしないで下さいね。
言われなくてもやらないとは思いますが…。笑
窮地からの脱出!
一向に止まってくれる気配のない車。
意識を失いそうな炎天下の中、耐えしのぐ事2時間。
もうダメだ…。
ハイウェイの中央分離帯の上でふらふらになりながらヒッチを続けます。
そしたら後ろからクラクションの音が。
振り返ってみたら真っ赤な乗用車が止まってる!
まさか?!
大急ぎでザックを担いで走って行く。
でもスピードが出てたからかなり遠くに止まってる。
そしたら車がバックしてきた。
やった!やっぱり止まってくれたんだ!
こうしてハイウェイから救出された僕たち。
僕たちの窮地を救ってくれたのはアルバニア人のサイミール。
ありがとう。あぁー、たすかった…!!
サイミールは14年間ギリシャに住んでる。
彼女はロシア人の美人さん。自慢げに写真を見せてくれました。
でも彼女は英語がしゃべれないそう。
“ロシア人で英語がしゃべれないんだったら、サイミールと彼女は一体どうやってコミュニケーションをとってるの?”と聞いてみると、
「彼女はギリシャ生まれのロシア人だからギリシャ語が話せるんだ。で、俺もギリシャに長くいるからギリシャ語がペラペラ。だからギリシャ語で話してるんだ。」
なるほど。
サイミールは家族の写真も見せてくれました。
6人のお姉さんに、末っ子のサイミール。
お母さん、男の子が産まれるまでがんばったんだって。
その後も写真とか動画とかたくさん見せてくれたけど、脇見運転するからちょっとこわい。
車線の真ん中走ってるし…。汗
乗せてもらってから30分ぐらい走るとサイミールは途中で車を止めて、「ちょっと待ってて!」と言ってどこかへ行ったと思ったら、水を買ってきてくれました。優しい。
僕たちは死ぬほど喉が渇いていたので、一気に半分以上飲み干してしまいました。笑
それからしばらく車に乗っていると気付いたのが、料金所の多さ。
毎回2ユーロもする料金所を頻繁に通過します。高い。
サイミールも、「ギリシャは本当に高速料金が高い!アテネで友達に会ってた帰りなんだけど、アテネまで行くのに30ユーロもかかるんだよ。」って嘆いていました。
サイミールはアルバニア人だけどギリシャ正教徒。車にはお守りがついていました。
そう言えばアルバニアからギリシャにヒッチして乗せてもらった夫婦も、アルバニア人だけどギリシャ正教徒で同じお守りを車につけていました。
サイミールはギリシャに住んでいるアルバニア人。
自然と近隣諸国との友好関係の話にもなりました。
サイミール曰く、
アルバニアとマケドニアは仲良し
マケドニアとギリシャは仲悪い
アルバニアとギリシャはまあまあ
アルバニアとセルビアは最悪
だそう。
やっぱり複雑だ…。
この地域を旅していると、地元の人と話すときはいろいろ気を使います。
とある場所ではコソボのことを国と言うか言わないかとか、また別のある場所では宗教や民族のことを聞かないようにするとか。
さらに2時間ぐらい走ると、道路の先にエーゲ海が見えてきました。
ポーランドから始めたヒッチハイク旅も、ついにこんなところまでやってきたんだ!
そして、車は有名らしいお城の横を走り抜け、
テッサロニキの街に突入しました!
さすがギリシャ第二の街、でかい!!
テッサロニキは山があって海がある港町。
山の麓にぎっしり建物が並んでいるところがちょっと地元の神戸に似てるような気がします。
サイミールの家は街の郊外にあるけど、わざわざ街の真ん中まで行って降ろしてくれました。
サイミール、本当にありがとう!
半分諦めて、ぺこぺこのお腹を満たすべく安そうな食堂へ。
そしたら店のメニューに、ケバブサンドイッチやハンバーガーにならんで、グリークサラダがありました。
サラダとダイエットコーラのセット!斬新すぎる!!笑
そういえば、今日ヒッチハイクで乗せてくれたトーマスとジョージも、「ギリシャの食べ物で何がオススメ?」って聞いたら、二人ともグリークサラダって言ってた!
出てきたサラダはトマトがめっちゃくちゃ甘くて果物みたいで、オリーブもチーズも美味しかった!
レストランで食事を終えてから、バス会社を探し歩き、なんとか今夜のバスのチケットをゲット。
駅前の公園には、芝生の上にダンボールだけ敷いて寝転がって何もしていない人がたくさんいました。
どこかからの難民なのかな…。
夜行バスの出発まではまだ3時間もあったので、再びレストランに戻って食事をしながら待ちます。
次に目指すのはブルガリア。
今度はどんな出会いが待っているのか。
そして、間近に迫ってきたハリウッド映画の撮影は一体どうなるのか。
ワクワクと不安がほどよく入り混じった旅路はまだまだ続きます。
daigoro
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