悪名高いリオのスラム街”ファベーラ”を散歩してみる。
27/MAR/2015 in Rio de Janeiro
ファベーラ。
リオデジャネイロの丘陵地帯にあるスラム街。
数年前の映画「シティ・オブ・ゴッド(City of God)」の世界的大ヒットでその名を知っている人も多いのではないでしょうか。
ブラジルを始め南米各地からやってきた貧民層が住み着き、裏では麻薬や銃器の売買が行われ、街中での銃撃戦なんて日常茶飯事、リオに住む地元の人も絶対に近づかない超危険地帯。
というのは本当の話ですが、近年ファベーラの治安は急速に良くなってきているそうです。
昨年のブラジルワールドカップや来年のリオ五輪の影響でファベーラの掃討作戦が押し進められ、一部のファベーラは最低限の防犯対策をして歩けばそれほど危険がない程度まで回復しています。
という事で今日はそんなファベーラに歩いて出かけてみました。
いつもの陽気なコパカバーナのビーチ沿いを歩き、
閑静な高級住宅街。この住宅街のすぐ裏側がファベーラです。
だんだんと雰囲気が変わってきました。
この辺りはかなり治安がよくなったと聞いているのですが、「シティ・オブ・ゴッド」の衝撃的なイメージがあるからちょっと恐い…。
そして急な階段を上っていくと見えてきました。
丘に沿って木やトタンで作られた家々が並んでいる様子は、まさに僕たちがこれまでに色んな国で見てきたスラムのイメージそのもの。
道が入り組んでいて、スリや強盗に会っても誰も気付かなさそう。
でも他のスラムと決定的に違う所がありました。
それは目に飛び込んでくる色鮮やかな壁のペインティング。
真っ白な壁なんてひとつもなくて、楽しい絵が次々と現れます。
次はどんな絵が出てくるんだろうと、路地を曲がる度にわくわくするほど。
それに、ナイロビやヨハネスブルクのスラムにあったような異臭もしないし、ゴミもそれほど散らかっていない。水道も整っているみたいです。
スラム街と言うと思い出すのはナイロビのキベラ。
キベラはどこに行っても臭いし、住んでいるだけで病気になりそうなほどだったけど、ここはインフラが整っている分圧倒的に環境が良くて、僕たちでも十分に住めそうなぐらい。
ファベーラと知っていなかったら何の警戒心もなく歩いてしまいそうな場所でした。
住民の人たちも優しくて普通の生活を送っていました。
想像していたのとは違ってかなり平和なファベーラでしたが、散歩している最中にマシンガンやショットガンを持った警察部隊と何度もすれ違いました。警察は必ず3人組で行動しているみたいだったし、街にいる普通の警官が持っているハンドガンではなく、強力なマシンガンやショットガンを持って、歩く時は常に引き金に指を掛けていました。それだけファベーラが危険な場所だという証拠。
「シティ・オブ・ゴッド」のあの世界観が頭をよぎって恐くなります。
そんなファベーラを小一時間ほど散歩して、昼下がりの穏やかなコパカバーナへと戻りました。
本場ブラジルでサッカー観戦!!
コパカバーナに戻った僕たちは、ファベーラを歩いていた緊張感を海で泳いでほぐしてから、ワールドカップのファイナルが行われた場所、サッカーの聖地マラカナンへ向かいました。
そう、今日はリオデジャネイロの人気チーム”フラメンゴ”の試合があるんです!
ブラジルはサッカー大国だけあって、リオだけでもサッカーチームが4つぐらいあるそうですが、その中でもフラメンゴは一番人気。
街中にはフラメンゴのグッズを扱ったショップもあるし、
街を歩いている人もフラメンゴのユニフォームを着ている人がたくさん!
元日本代表監督のジーコもフラメンゴ出身です。
という事で、コパカバーナからメトロを乗り継いでやってきたマラカナンスタジアム!
ついに来たー!!
ワールドカップ開催中は物価高が恐すぎて近づく事すら出来なかった場所。感無量です。
そして試合は2−1でフラメンゴの勝利!
熱狂的なサポーターが詰めかけた会場も大盛り上がりでした!!
サッカーの本場ブラジルにあるサッカーの聖地でブラジルリーグを観戦。
念願のマラカナンスタジアムで試合が見れた僕たちは大満足でスタジアムを後にしたのでした。
多忙なジェルマーノ。驚きの職場。
次の日。
今日もジェルマーノは朝から仕事でしたが、
「6時に仕事が終わるから、職場の前で待ち合わせしよう」
という約束をしていました。
街歩きをしたりビーチを泳いだりしてたら疲れたので、ちょっと早いけど5時ごろからジェルマーノを待つことにしました。
地図を頼りに教えてもらったジェルマーノの職場に行くと…、
神殿みたい!!こんな所で働いているなんてすごい!
名前を見てみたら、何とかパレスって書いていました。
前にも書いたけどジェルマーノは法律を作る仕事をしているそう。
元々は物理学者だったのに友達に誘われて法律家に。法律家ってそんなに簡単になれるんだっけ??笑
それにしてもジェルマーノがなかなかやってこない。
時刻はもう6時半。
こっちから電話してみる。
「まだ仕事してるからもうちょっと待ってて」
7時半。
「まだしばらく時間がかかるから、その辺でお茶でもしといて」
外はもう暗くなりました。
ジェルマーノの働いている建物はライトアップまでされていました。
そして、9時。
ようやくジェルマーノが建物から出てきました。
「ごめんごめん。上司がなかなか帰してくれなくて…。」
ジェルマーノはリオデジャネイロ州の法律を作っていて、今は「緊急の場合は救急車を無料で呼べるようにする法律」の作成中で大忙しなんだとか。
結局全部で4時間も待ったけど、大して長く感じなかったのは僕たちの「待つ力」がこの旅で鍛えられたからだろうな。
10時間、20時間待つ事に比べたら4時間なんてほんの少し。南米やアフリカでは待つ事無しに旅をする事は出来なかったのを思い出して懐かしくなりました。
そして次の日。
今日はリオを出発する日。
最後の夜なのでみんなで夕食を食べようと、ご飯を作って待ちます。
ジェルマーノは出張で隣町まで行っているけど、夕方には帰って来る予定。なんでも今日は政治家である父親の仕事の手伝いをするそうです。
物理学に法律に政治に、あと週末はカメラマンとしても働いてる。
それでいて朝晩のトレーニングを毎日欠かさないなんて。
すごすぎ…!
5年後に貯めたお金で自転車に乗って世界旅行に出る為に頑張っているそうです。
それにしても今日もジェルマーノはなかなか帰って来ない。
すると電話がかかってきました。
「ごめん。今日はどうしても帰れなくなった。今から友達の家の住所を送るから、家の鍵は彼に渡しておいて。ありがとう。また会おう。」
…。
という事で多忙なジェルマーノは今日も帰って来ず。
冷蔵庫に作ったお好み焼きと肉じゃがとフルーツジュースと置き手紙を入れてジェルマーノの家を去ったのでした。
今日の深夜のバスで目指すは南米最後の街サンパウロ。
今度はどんな出会いが待っているのか。楽しみです♪
daigoro
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