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17-18/AUG/2014 from Aswan to Wadi Halfa

15時。アスワン港。

出国税らしきものを一人50ポンド支払い、エジプトのイミグレへ。

イミグレに行くと、印紙に一人2ポンド支払えと言われる。でもエジプトポンドの小銭は駅前で全部両替したから。むり。
駅前にいた自称ガイドも要らないって言ってたのに、嘘ばっかり。
200ポンド札なら持ってるけど、どうせお釣りないって言われるし。。

仕方なくスーダンポンドで持っていた10ポンドを支払う。100エジプトポンド=110スーダンポンドだったので、二人で4ポンドでいいところを9ポンドほど支払ったことに。あーあ、損した。
 

そこからフェリーに向かって歩き始めると、明らかに媚を売るチップ狙いの男に捕まる。
何度も断るがしつこくフェリーまでついてくる。
さすがエジプト。最後までウザい。笑

その男は要らないと言っているのにチケットの確認や、船の中の案内を勝手にしきて、案の定マネーマネーと言う。
自分たちで好きな場所を見つけたいのに、全然落ち着いて探せない。
親切の押し売り。
こういう人には絶対払わないと決めている。
無視し続けて諦めるのを待つ。
 


チップ男が去ってからいよいよフェリーに乗船!

見えて来たのはこんな小さな船。
この定員300人乗りのフェリーに700人もの人が乗るなんて考えられない。奴隷船と呼ばれている所以です。
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船体にはエジプトとスーダンの国旗が。
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トイレ&シャワー。バケツ式です。
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船に入るとまずは今晩寝るためスペース探し!

だけど、もう既に乗船開始から6時間近く経過しているので座る場所すら全く見つからない。

そして乗船率200パーセント越えでごった返す船内をくまなく歩き回って、やっと見つかったのがこの一人分のスペース。
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だいごろが寝転がるのもままならないぐらい狭いけど、何とかしてここに二人で寝るしかない。。
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16時頃。
ようやく腰を落ち着けると、スーダン人のおじさん2人に絡まれた。
英語が上手とは言えないけど、何度かやりとりしていると言いたいことは伝わってくる。
「女性と外国人は、クーラーの効いた下の階に行っていいんだよ」
「ハルツームに行くなら僕の家にぜひ遊びにおいで。奥さんと子供を紹介するよ」
「僕の家に来たら、ムスリムの服を着せて、ヘナ(天然の染料)でペイントしてあげるよ」
二人ともフレンドリーないい人だった。
スーダンは人が良いと聞きますが、これはこの先期待できそう。
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16時半。
夕食にありつこうと食堂へ行くと、係りの人から”one minute”と言われる。

食堂で待っていると、たくさんの地元の人に絡まれ、一緒に写真撮ろう!と友好的な感じ。
食事がなかなか出てこないのもいろいろフォローしてくれた。
今までのエジプト人と全然違う。
と思ったら、彼らもエジプト人らしい。
スーダンに近づくと人は優しくなるのかな?
 

17時半。
頼んでから1時間待ってようやく夕食が出てくる。

なんて長い”one minute”!
“one minute”の意味絶対分かってない。「待て」ぐらいの意味だと思ってるんだろうな。
“one minute”と言うからには数分で出てきて欲しい。

ところで、チケットオフィスでもらった食事券には、チキン、豆、パンなどが貰えると書いてあったけど、出てきた食事はこれ。

卵とパン、豆、フール、黒糖のペースト。
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チキン…どこ?!!
チキンになる前のもので誤魔化されてる!!

ともあれお腹も減っていたので、あまり美味しいとは言えない食事を貪る。
 

そして、ちょうどその頃。
ようやく船が出港しました。
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ナセル湖の水はこれまで見て来たナイル川と違い透明できれい。
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乗船開始の朝の10時頃から出航の17時半まで。
7時間半もの間、ずっと冷房とか人件費とか使いながら港で待機しているなんて、なんとも無駄な感じがするけど、これだけの荷物を乗せるにはそうするしかないのかな。

私たちも朝の6時に起きて、炎天下の中ここまで11時間半。
よく頑張ったなぁ。。
 


食事の後、さっき話していたエジプト人たちが「そこの部屋でスーダンの入国手続きができるよ」と声を掛けて連れて行ってくれた。

行列ができてたけど、三十分ぐらいで完了。この手続きも女性が優先だった。
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食後は確保した一人分のスペースにアルミシートを敷いたりして寝る準備。

しばらくしてなんか周りに人が増えてきたな、と思ったら屋上でお祈りが始まった。
スーダン人は熱心なムスリムが多いらしく、船の至る所でお祈りする人たち。
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程なくして夕焼けの時間に。

美しい夕陽。今日がんばったご褒美だなぁ。
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沈んだ後の空。
だいごろは私が寝床に帰った後も、「水面が油彩画のキャンバスみたい。そこに映る空の色がめっちゃきれい。」と言ってずっと眺めていました。
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これを見られただけでもこの船に乗った甲斐があったなぁ。
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そして夜。

またしても問題発生。

私たちが確保していた場所が、気づいたら通路と化していた!
私たちの荷物と敷いていたアルミシートを押しのけながら次から次に人が行き来をしています。

これじゃあ寝るどころじゃない。なんとかしないと!

私たちが確保していた場所は、屋上の中央付近。
本来は、屋上の右エリアに寝ている人は右の階段、左エリアの人は左側の階段を使うべきだけど、どういう訳か右側の階段の前には荷物がうず高く積まれていて、完全に通れなくなっている。
だから右から左側に移動する人は、全員私たちが確保していた場所をシートと荷物を押しのけながら通っていたのです。

私たちがその場所に座って落ち着いてからも、十分おきぐらいに人が通りたいと言ってきて、座っては立ち座っては立ちを繰り返す。

みんなみたいに他の人の荷物を使って高い壁を作って通れないようにするしかないかな。
でもそしたら右エリアの人が困ってしまう。どうしよう。
みんながある程度寝てから壁を作ろうか。

だいごろと作戦を練っていたちょうどそのとき、あるおじさんが荷物をバタバタっと動かし、あっという間に私たちのスペースに荷物の壁を作ってくれた。やっぱりやさしい。
それからは、人が通ることもなくなった。
右エリアの人たちは、荷物の上に乗ったりして移動していた。
荷物の壁が崩れて生き埋めになるんじゃないかと何度もヒヤヒヤ。
 

 

気づくと二人とも寝てしまっていました。

外はもう真っ暗。

ふと空を見上げると荷物の合間から満天の星空が見えていました。
普段見えない小さな星々や天の川もくっきり見えている。
なんかプラネタリウムみたい。
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時折、視界の端から端まで星が駆けて行ったり。あんなの初めて見たなぁ。
 

夜の風は熱くもなく冷たくもなくそこそこ快適。
ただ、一人分のスペースに無理矢理二人並んで寝ているので寝返りが全く打てず、床もただの鉄板だから一時間おきぐらいに体が痛くて目が覚めてしまう。ついでに二人で一人分のスペースに寝ているのでただでさえ蒸し暑い。しかも荷物で周りを囲まれているし、床の鉄板は昼に温められた余熱でまだ熱い。
深夜になるまでは汗だくだった。

だいごろは特に辛そうで、頭と足の向きを逆にしたり、ザックから服を出して敷いたり、終始ごそごそ。

地元の人たちは運転室の屋根に登ったり、救命ボートの中に入ったりして器用に寝ていた。
みんな床で寝るのにかなり慣れてるみたい。モスクでもいつも寝てる人いるしな。

でも私たちも寝るのはかなり得意な方。これまでどんな状況でも眠れなかった事はない。
朝までなら何とかなるだろうと、無理矢理眠りについた。
 

しかし夜中2時頃。
ついにだいごろが痺れを切らす。

「あかん!全然寝れへん!」

私はサブバッグを枕に寝てたけど、だいごろのサブバッグはカメラやパソコンが入っているので枕にできず、その分スペースがなくて寝れなかったみたい。
私は座って寝て、だいごろだけ寝転がることにした。
それからはだいごろも寝れたみたい。

しかしそれからしばらくして、突然大音量のアザーン(お祈りの時間を告げる歌みたいなもの)に起こされる。
ええー、、今は朝の4時ごろだと思うけど…。

スピーカーの音割れとハウリングが激しい。
みんなお祈りしてるんかな。
もう眠くて見に行く気にもならない。
 


明け方、寝てるだいごろ。
こりゃどう見ても一人分のスペースだな。
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そして空が白んできた。

ナイル川から登る朝焼け。
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7時半。
アブシンベル神殿が見えてきた。
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数日前に車で4時間で行った距離が、船では14時間もかかるんだ。
ここからフェリー乗せてくれたら楽なのになぁー!!

でも、もう夜は乗り切った。
あと数時間我慢すればワディハルファだ。

暑くなってきたので、食堂に移動してゆっくりする。
 


そして11時半。

18時間の長い長い船旅を経てついにワディハルファ到着。

しかしザックを背負って船から降りようとすると、書類が足りていないと引き返させられる。
我先にと出口へ向かう人の波をかき分けながら逆流し二階の食堂へ行くと、外国人用の入国書類2枚に記入をさせられた。

その後もう一度出口まで行き、書いた書類を係りの人に見せると今度はすんなり通してくれた。
 

そして今度こそワディハルファの港に上陸!!
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こうして私たちの長い長い船旅が終わったのでした。
 


ちなみに私たちがフェリーに乗った数日後にアスワンからスーダンへのバスが開通し、この過酷な奴隷船に乗らずとも綺麗なバスで快適にスーダン各地へ行けるようになったそうです。(アスワンからハルツームへの直通バスまであるらしい!)

なんだか悲しいような嬉しいような複雑な気分ですが、次エジプトからスーダンへ行く事がもしあれば‥
 

間違いなくバスで行きます!笑
 



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