中国で拷問を覚悟した日。
27/AUG/2015 in Urumqi
今日は中国の西の端から中国の真ん中辺りまで。
今いるウルムチ(烏魯木斉)から蘭州(兰州)という街へ一気に移動します。
もともとは蘭州よりも手前のドンファンに行こうと思って昨日一日かけて移動手段を探したけど、ドンファン行きはバスも電車もなかった。
結局、周りいた地元の人に手伝ってもらいながら、なんとかその先の蘭州行きのチケットを買ったのでした。
という事で、蘭州のバスに乗るべくバスターミナルへと向かいます。
そういえば、その道中で衝撃の光景を目にしました。
街中の地下道を歩いていたら、突然3歳児ぐらいの女の子を連れていたお母さんが子供のズボンを脱がせ、その場でおしっこをさせていました…!!
周りには通行人がたくさんいて、スーツを着たビジネスマンも行き交っているような場所で。
でも、こういうことは中国ではよくあるそうです。衝撃。。
怖い怖い中国トイレ。そしてバスがなくなった…。
またしても軽いカルチャーショックを受けながら、出発時間の30分前にバスターミナルへ到着。
バスに乗り込む前に、トイレに行っておかないと。
二日前の中国入国直後に垣間見た、中国の怖い怖い公衆トイレ。
…行きたくないけと行くしかない!
意を決して入ったトイレは1つの長い溝があって、その上に人が一列に並ぶ方式のトイレ。
そして、いくら汚物が溜まっていても、一定の時間が経たないと溝に水が流れない例のシステム…!!
仕切りはあるけどドアはないから、トイレをしている人は丸見えです。
否が応でも視界に入ってしまう汚物をなんとか見ないようにしながら超高速で用を足し、必死の思いで記憶から抹消しようとします。
でも悲しいかな、抹消しようと思えば思うほど、記憶が呼び起こされてえづいてしまう…。
そうやって記憶と戦っていると、ふと、不思議だな、と思った。
道端の犬のフンや牛のフンを見ても何も思わないし、犬の散歩のときは平気でフンを拾ってたのに、それが人のフンになった途端ものすごく不潔で汚くて見てはいけないものになってしまう。
要はただの慣れの問題なんだな。きっと。
よし、牛のフンと思おう!と名案を思いついたけど、結局中国を出るまでに克服することはできませんでした。。
人のフンだからというより、トイレという閉鎖された空間にあることが問題なのかもしれない。
とにかくこれでバスに乗れる。
さあ行こう!
…と、バスを探すも、なぜか私たちの乗るバスが見当たらない。
チケットの日付と時間を確認するけど、絶対に間違ってない。
数日間ウルムチにいるから時差もないし、チケットに書かれているのが中国標準時かどうかも確認してある。
でもどこを見渡してもバスが見当たらない。
ないない。
おかしい。
近くにいた別のバスの運転手にチケットを見せて尋ねると、「バスはない!バスはない!」と連呼される。
“なんで?” って聞いても、答えはよく分からない。
とりあえず運転手のおじさんに促されるままに着いていった。
連れて行かれたのは、バスターミナルの受付。
そこで、受付のお姉さんに確認します。
「このバスは問題があるから今日は運行しないわ。」
その後も何かを言ってるけど、早口の中国語だから何度聞いても聞き取れない。
自分の中国語…しょぼくて悲しくなる。
そんな私たちを見かねて、受付のお姉さんが英語を話せる人を連れてきてくれました。
すると、やってきた女性の口から衝撃の言葉が…
「あなたたちが乗る予定だった今日のバスは無くなったわ。明日も明後日もない。ていうか1週間後までないわ。問題があるみたいだけど何の問題かは私にもよく分からない。」
なんじゃそりゃ!!!
帰国まであまり日がないし、中国で行きたいところもたくさんあるのでかなり焦ります。
“他のバス会社はないの?電話番号知らない?”
「他のバス会社も同じ問題で全部動いてない。」
“じゃあどうすれば…?”
「電車か飛行機で行くしかないわ。」
実は電車も飛行機もすでに調べてある。
飛行機は直前に格安チケットが取れる訳もなくて、飛行機で行ったらめちゃくちゃ高い。
電車は座席指定がない”無座”しか残っていない。
鈍行の列車だから蘭州までは24時間以上。
座席が余っていたら座れるけど、無座だったらほとんどの時間を座れないと考えた方がいい。
これまでにその列車に乗った人は「拷問列車」だと呼ぶほど、過酷な環境で丸一日以上絶えぬかないといけない。
24時間以上もかかる電車で無座…。
しかも、昨夜は今日の大バス移動(当初の予定では28時間)を寝て過ごせるようにと睡眠時間を削っていたので、数時間しか寝ていない。
そんな状態で24時間以上電車で立ちっぱなしなんて無理だ…。
今まで中国に入ってからもなんとか順調に移動してきたけど、今回ばっかりは一筋縄で行きそうにありません。
「お金は返金するから大丈夫。」
それは当然してもらうけども。
この状況…どうしよう。
どうするか考えながら、とりあえずバス代を返金してもらいます。
すると、なんとキャンセル料がかかるから全額は返せないと言ってきます!!
これには私もだいごろもカチンときて、二人で猛抗議。
受付のところで散々もめていると、何人もスタッフがやってきて「これはルールだからどうしようもない。」と言ってくるけど、そんなことはどうでもいいからとボスを呼んでもらいました。
「キャンセル料自体は安いからいいだろって?金額の問題じゃない!そっちのトラブルが原因でキャンセルするのに、客からキャンセル料を取るのはおかしいでしょう??」
はっきり説得すると、ちゃんと理解してくれて笑顔で返金してもらえました。
拷問か、祈りか、金か。
さて、お金を返してもらえたのはいいけど、この先どうすべきかは分からない。
「それか、もうひとつ方法があるわ。」
通訳をしてくれていたお姉さんがひらめきました。
「これから先の”哈密”という町までここからバスで行って、そこから蘭州までバスか列車で行くのはどう?」
哈密って…
地図で見てみたらウルムチよりもかなり小さそうな町。
ウルムチですらバスがないのに、そんなところに行ってしまったらどうなるのか。
もしそこでバスも電車もなかったらもうお手上げ。にっちもさっちも行かなくなってしまう。
無座の拷問列車に乗るか。
哈密行きのバスに乗って、何かしらの交通機関に乗り継げることを祈るか。
一人3万円以上する飛行機をとってしまうか。
究極の選択を迫られた。
決めきれない…。
「近くに飛行機とバスと列車の手配をしている代理店があるから、行ってみたらどうかな?」
お姉さんの提案でとりあえずそこに行ってみることにしました。
でも行ってみると代理店と言っても何のことはない、ホテルの受付で飛行機のチケットの手配をしていただけだった。
他にもバスや電車の情報を教えてもらえるかと思ったのに。
こんな所に頼むぐらいなら自分で直接取った方が早くて安い。
ロビーのソファーに座り込みしばらく悩みます。
「そういえば、バスターミナルにWifiがあったな!」、だいごろの提案でもう一度バスターミナルに戻って電車の運行状況を調べることにしました。
昨日、成都から上海までの電車を予約しようとして、結局中国の銀行口座がないから予約できずじまいだったけど、時刻表と空席の見方は分かるようになっていた。
中国語のサイトと格闘したあの時間は無駄じゃなかった。
【中国の列車の調べ方】
www.12306.cn 「购票」のボタンをクリックしてあとは適当に操作したら分かります!たぶん。
さて問題は、バスで哈密まで行った後、哈密から蘭州までの交通手段があるかどうか。
電車を調べてみると…
哈密からは蘭州は快速電車があって、7〜8時間で着く電車が無座だけど残っていた。
無座とは言え、7〜8時間なら耐えられる。一人385元。
もう一つ出てきたのは、14〜15時間かかる鈍行列車の無座。
さすがにきつそうなので、これは避けたい。一人168.5元。
元々、ウルムチから蘭州までのバスは350元だったのに、ウルムチから哈密までの110元+哈密から蘭州までの385元を合わせた金額になるので、当初に比べたら145元増し。
3000円近く高くついてしまうし、時間もかかる。だけど、ウルムチで一週間も足止めを食うよりははるかにマシだ。
これで哈密まで行けば何とかなりそうだという事が分かった。
とは言っても、哈密から蘭州の快速電車のチケットが取れる保証はまだないから不安は残るけど。
ようやく方針が決まったのでウルムチから哈密までのバスのチケットを買いました。
この前乗ったのと同じ寝台バスで、上段110元、下段120元。
下の段の方が快適に過ごせる分高いんだ。知らなかった。
今回はちょっとでも節約したかったので上段を予約しました。
あとは、このバスターミナルで4時間ちょっと待つだけ。
バスターミナルはお湯が無料でもらえます。お茶文化のおかげかな。
これはかなりありがたい。
なぜなら…
カップラーメンが食べられるから!
同じくカップラーメンを食べる地元の人たちに囲まれて、私たちもカップラーメンをすすりました。
悲劇は終わらない。恐怖の中国トイレ…!
そろそろバスの時間だしバスにはトイレがないからもう一回トイレに行っておかないと。
そう思って出発直前に行ったトイレには、世にもおぞましい光景が広がっていました。
トイレから出てくる人の表情が険しい。嫌な予感がする。
恐る恐る入ったトイレ。
この公衆トイレには長い溝が左右に2本あって、それぞれが仕切りで5つに区切られている。
一つの溝に5人が1列に並んで用を足せる仕様。
そして、2本の溝の真ん中にトイレ待ちの人たちが10人ぐらい。
よく見ると、みんなハンカチで口元を抑えて臭いに耐えて、誰かが終わるのを待っている。
誰かが終わるのを見ながら待って、空いた途端に我先にとトイレに入る。
順番なんてお構いなし。
そんな人たちの隙間から、お尻丸出しの人の間から用を足す溝がちらっと見えた。
ん?!あれは…
溝の中に黄い水が溢れんばかりに波打っていて、うんちもふよふよ漂っていた…。
こ、壊れてる…!
詰まってるんだ…!!!
無理!!!
こんなん無理!!!
無理無理無理無理無理ーーーーー!!!!!
むりっ!!
おえっ!!!
えづきが収まらない。地獄絵図。
たまらず外へ飛び出します。
これからトイレ無しの夜行バスに乗るけど、トイレは我慢することにしました…。涙
バスの出発時間は夜8時。
今度はバスがちゃんと来ていました。いよいよ乗り込みます。
今日はいろんな意味で中国旅の恐ろしさを思い知った1日でした。
でも、中国が本気を出すのはまだまだこれからだったのでした…!
つづく