上海。世界旅行最後の夜に思うこと。
18/SEP/2015 in Shanghai
何年も前から世界旅行の最後は上海と決めていた。
上海の外灘から見る夜景が旅のフィナーレ。
その景色を見たら、フェリーに乗って日本へ帰る。
旅に出る5年以上前から、ずっとその光景を思い描いていた。
一度行くと決めた場所の写真や映像は見ないようにしているので、何となくしか見た事のない場所についにやって来た。
世界旅行最後の場所。
そうだ、昔テレビで見たのはこんな景色だった。
川の手前側には歴史的な建物が並び、仕事終わりの上海の人たちや観光客が夜の街歩きを楽しんでいる。
これを見たら終わり。
世界旅行がただの夢だった頃からずっと決めていた事。
なのに、実際に来てみると、驚くほど旅が終わる実感が湧いてこない。
達成感はすごくある。
今回の世界旅行では、自分の想像を遥かに超える出会いや経験ができた。
出発前には夢にも描けなかったような事が沢山あった。
だから、きっと最終日はさみしくなったり、感極まって泣いてしまったり、帰りたくなくなったり、逆に旅に疲れて早く日本に帰りたくなったりしているのかと思っていた。
でも今、世界旅行の終わりを迎えた心境はいたって平穏。
これから日本という国に移動して、そこでやりたいことをやる。
これまでの旅で次の国へ移動する時と全く変わらない。
遠くにはフェリー乗り場があって、明日僕たちが乗る船が見えている。
あれに乗れば数日後には日本。もうこれで旅は終わり。
そんな状況でも穏やかな、いつもと変わらない気持ちでいられるのは、きっとこの旅が心から満足出来るものだったからだと思う。
旅に出たことや、1年半の旅の途中でとった数々の選択に対する後悔は、意外なことに一つもない。
この場所が僕たちの旅の最後の場所。
この景色がずっと思い描いていた世界旅行というパズルの最後の1ピース。
今ここにいることが、夢が現実になったことの証明。
多くの観光客で賑わう雑踏の中で、自分だけがぽつんと立っているような不思議な感覚を覚えながらそんなことを考える。
自分たちは東回りでエクアドルからスタートだったからここが最終地だけど、日本から船でやってきて上海が旅の最初の目的地という人は多い。
この人ごみの中にも、これから旅をスタートさせる人がきっといるんだろうなぁ。
夢にまで見た景色を、旅の最終日の夜に満足するまでじっと眺め続けた。
もう思い残すことは何もない。
深夜の地下鉄に揺られて宿に戻る。
よく考えたら宿に泊まるのもこれが最後だ。
明日からはフェリーで二泊して、その後は日本の我が家。
そしたらもう、今夜はどこに泊まろうかなんて考える必要もなくなる。
世界各国からやってきた旅人が集まる夜の宿で、自分は今この文章を書いている。
顔を上げるとお酒のボトルを持って行き交う宿泊客たち。
この1年半はこれが日常だったはずなのに、なんだか妙に現実感のない光景。
賑やかに盛り上がる周りの空気と、自分たちの間にある見えない温度差。
夢だった世界旅行が、また夢になってしまうような、不思議な感覚。
僕たちの旅はあと少しで終わる。
つづく
daigoro
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