【撮影1日目】だいごろ、全身私服でハリウッド映画に出演する。笑
25/JUN/2015 in Serbia
たつやとの散歩から帰ってきた夜。
午後5時前にピックアップされて、ロケの行われている山奥へ。
きっこは撮影がないから宿で待ってろとネマニャに言われたけど、現場見たさにこっそり着いてきました。
ロケ地に着いたら、先に現場入りしていたちえみがメイク室から出てきた。
幽霊のマスクをしていて前が見えないのか、水たまりにはまりながらこっちに走ってきた!
こわっ!!思わず後ずさりしてしまいました。笑
そして、いつものようにネマニャがやってきました。
「やあ、みんな元気?」
と言いながらエキストラの顔を見渡すネマニャ。
きっこがいる事に気付いて一瞬困った顔をしたけど、何も言わずにスルーしてくれました。
「じゃあ、みんな衣装に着替えて!着替えが終わったら食事が用意してあるから、たくさん食べて撮影に備えるように。」
そう言って、忙しいネマニャはロケ現場の中へと消えて行きました。
その後、僕の衣装チェンジの順番がやってくるのをしばらく待っていると、どこからともなく香水の良い香りが。
そしたら、なんと向かい合って話していたきっこの真横にいたのは…
主演女優のナタリー・ドーマーでした!!!
出典:http://matome.naver.jp/odai/2142052182569683701/2142055776928083903
メイクが終わってメイク室から控え室に向かう所だったみたいだけど、自分とこんな距離感の所にハリウッド女優がいるなんて信じられない!
ナタリーは小柄な女性だけど、ものすごいオーラが漂っているように見えました。笑
だいごろ、まさかの私服でハリウッド映画に出演!笑
昨日メインのメイクさんの提案で、ポリスマンからサーチボランティアへと役が変わった僕。
衣装室に行くと、いつもの衣装のお姉さんが「あら、あなたサーチボランティアよね?ちょっと待って。」と言って、衣装室のボスを呼びに行きました。
そしてやってきたボスは僕の頭から足の先までじーっと見て、こう言いました。
「完璧だわ!」
”え?完璧って何が…?”
「その衣装よ!」
”これ自分の服ですけど…。”
「そうね。でもサーチボランティアにぴったり!完璧よ!」
”そういうものなんでしょうか…?”
「そう。あなたの衣装は今日からその服よ!毎日着て来てちょうだい。もちろん靴も!」
なんと、僕が一年間で穴だらけのぼろぼろにしてきた私服がハリウッド映画の衣装になりました。笑
でもこのままだとアウターが黒いウインドブレーカーだし、もしカメラに写っても全然分からないんじゃあ…。
そこでとっさに、”寒いからせめてジャケットを貸して!”と言ってみると、衣装のボスから黄色いジャケットをもらう事に成功しました。
これでもし撮影したシーンが使われた時にも見つけやすいぞ!
そして99%私服の上に、衣装のジャケットを羽織ってみるとこんな感じ。
完全に普段の自分、そのまんまだ!笑
この『衣装』はジャケット以外は靴もズボンも全部私服。
しかも、ズボンは穴だらけなのをきっこが修理して縫い目だらけだし、靴には大きな穴が空いています。
”ホントのホントにこのままでいいんだよね?!!”
何度もメインの衣装さんに確認したけど、「あなたは服装もヒゲも完璧よ!!」と言われました。笑
小澤征悦さんとの出会い。
衣装を着て夕食を食べに仮設のカフェスペースに行くと、エキストラで幽霊役のまりちゃんが座っていました。
しかも、この映画で3番目に重要な役を演じる日本人俳優の小澤征悦さんと一緒だ!
出典:http://mayb.xyz/?p=1749
なんとこの現場では、小澤さんを初めとする役者さん、監督も同じ場所で食事をするそう。
「まさかセルビアのロケでこんなに日本人と会うとは思いませんでした。」と笑いながら話す小澤さん。
厳しいオーディションで選ばれ、本作でのハリウッドデビューを勝ち取ったそう。
日本のニュースサイトでも取り上げられていました。
小澤征悦、大感激ハリウッドデビュー!オーディションで大役獲得
俳優、小澤征悦(ゆきよし、41)が米映画「ザ・フォレスト」(来年1月8日全米公開)でハリウッドデビューを果たすことが27日、分かった。
映画「ダークナイト」シリーズの原案で知られるデヴィッド・S・ゴイヤー氏の作品。自殺が多い富士の青木ヶ原樹海で行方不明になった双子の姉を探す米国人女性が、死者の魂に翻弄されながら真相を探るミステリーだ。小澤は主演の英女優、ナタリー・ドーマー(33)、米歌手、レディー・ガガ(29)の婚約者で米俳優のテイラー・キニー(33)に続く大役をオーディションで獲得。全編英語で森のガイドを演じる。
父は世界的指揮者、小澤征爾氏(79)だけに俳優デビュー当時から国外での活躍も視野に入れ、ここ数年は米ロサンゼルスに通い英語や映画を勉強してきた。東欧のセルビアで撮影中の小澤は「日本での経歴など関係なく、自分の芝居だけで選んでもらえたことは大きな励み」と感激。「ハリウッドは夢だった。これをきっかけにもっと(海外作品に)出演できるようがんばっていきたい。もちろん日本でも!」と飛躍を誓った。
http://www.sanspo.com/geino/news/20150628/geo15062805040005-n1.html
そしてエキストラのメンバーと小澤さんとでディナーを食べたら、いよいよ僕たちの撮影の時間がやってきました!
いよいよ撮影開始!!
撮影が始まったのは日付が変わった深夜1時頃。
エキストラが森の中に集められ、ADからシーンの説明を受けます。
エキストラのメンバーは英語よりもセルビア語の方が得意な人がほとんど。
英語で指示をもらうのは僕と、”テイコ”という名前のモンゴル人だけです。
でも現場の上層部はもちろんイングリッシュスピーカーなので安心。指示は英語とセルビア語の二カ国語で行われます。
時折ADからの指示が英語だけの時があって、セルビア在住の中国人たちは全く理解出来ずに困っていました。
でも、そこで登場するのがネマニャを初めとするスタッフたち。
ADの指示を逐一セルビア語に翻訳してエキストラに伝えていました。
何から何まで大変だなぁ。
そしてカメラマンが位置につき、いよいよ始まる撮影。
僕はこれまでの人生で映画の撮影に参加するなんて初めて。
しかもカメラに映る側で参加するなんて夢にも思わなかった。
これから何が始まるのか想像も出来ないからドキドキしながらその時を待ちます。
ここから先は映画の撮影中の事なので詳しくは書けませんが、撮影はそれから数時間かけてスモークの立ちこめる森の中で行われました。小澤さんと一緒のシーンです。
深夜の森の空気は冷たく、撮影が止まる度に衣装さんたちがエキストラにコートをかけてくれました。
そうそう、撮影中にちょっと面白かったエピソードが一つ。
森の中をみんなでフォーメーションを組んで歩くシーンの撮影では、カットがかかると最初のスタート位置に戻らないといけません。
でも歩いているのは夜の暗い森の中。しかも数十メートルは歩くのでみんなすぐに元の場所がわからなくなります。
そして、そのシーンの撮影時はスタッフもスタート位置を確認し忘れていて、誰も分からないという事態に。
そしたらモンゴル人のテイコが向こうの方に走って行って、「ここだ!俺のスタート位置はこの木の所だよ。」と言いました。
「本当か?」スタッフがテイコに確認すると、「間違いない。」と自信満々のテイコ。
「ここがスタート位置で合ってるか?!」スタッフが無線でカメラマンに確認すると、
「YES!そこでOKだ!」という返事が帰ってきた!
周りで見ていたスタッフですら分からなかったのに、なんで分かったの?!
すごい!!
後でテイコに聞いてみると、「この木は俺のマクラだから」と言っていました。
撮影が止まっている時に、その木にもたれて寝ていたから覚えていたんだって。
僕からしたらどの木も同じに見えるけど、さすがモンゴル育ちは違う!
それからこんな事件もありました。
ある役を演じている人が森の中を走り抜けるシーンを撮影中に、それを追いかけるように走っていたカメラマンが足を滑らせてこけました。
そして起き上がると…
なんとカメラが壊れてました…!
高級な機材が破損して現場は一時騒然。
でも数分後、何とか補修して使えるようになりました。
遠くからだったからよく見えませんでしたが、どうやら壊れたのは光学系ではなくて、レンズの外回りの多分グリップ部分だったようです。
軽傷でよかった…。
初日の撮影が終了!!
そして深夜3時すぎに今日のシーンの撮影が全て終了。
きっこの姿が見当たらなかったので探していると、控え室から出てきました。
外は寒いのでネマニャが控え室を開放してくれたそうです。
ちなみにロケは山奥で行われているので、控え室やメイク室、食堂やトイレまで、全部こんな感じのトレーラーの荷台を改造して作られています。
しかも、どれもかなり設備が整っててびっくり。
例えばトイレは自動で水が流れるだけじゃなくエアコンまで完備。しかもオーディオまでついていて常にノリノリの音楽が流れていました。
その後は衣装室に向かい、エキストラ全員が着替え終わったらバンに乗り込みます。
”あれ、そういえばちえみがいない。”
と思ったら、トイレで寝てました!!笑
(きっこ撮影。ちえみ、モザイクかけといたよ!笑)
実はちえみは、昨日の昼の3時から現場入りしてメイクもしてたのに、深夜3時になっても出番なし。
極寒の森の中で暖を取る場所がなくて、エアコン付きのトイレで寝てたそう。
しかも、マスクをかぶる為に頭を縛ってるやつがきつくて、ずっと頭がぼーっとしてキツいって言ってました。
結局今日は撮影はなかったけど、これでやっとホテルに帰れる。お疲れ様。
という事で、撮影の初日が無事終了。
撮影中外は寒かったし、久々に英語漬けだったし、何から何まで初めての事ばっかりでかなり疲れた。
そしてホテルの部屋に帰るなりベッドに倒れ込むと、次の日の昼まで起きる事なく眠り続けたのでした。
つづく
daigoro
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