音楽の都で野宿。だいごろホームレスと友達になる。
25〜26/MAY/2015 in Vienna
雨の中のヒッチハイクの末にやっとの事でウィーンにやってきた私たち。
これでようやく助かった!と思いきや、今日はまだ終わりませんでした…。
だいごろ、ホームレスと友達になる。
来る前に調べたら、ウィーンの宿は一泊一人13ユーロが最安。
2泊したら2人で50ユーロ超え。
さすがにそんな余裕はないので今日は野宿。
ポーランドでは友達の家でぬくぬく生活をしていたから、雨のヒッチの後に野宿はなかなか気が重い…。
まだ時間は21時ぐらいだけど、スーパーもバーも全然開いてない。
繁華街なのに、夜は眠るのがウィーンみたい。
ヒッチハイクで降ろしてもらった所からメトロに乗り、さらに宿の方向へと歩きます。
でも街並はやっぱりすごい。
全然観光地っぽくない普通の道路なのに馬車が走ってる!
バックパッカーの駆け込み寺、マクドナルドを見つけてしばらく情報収集したりブログを書いたり。
ウィーンのマクドナルドは他の国と違って内装がゴージャスだなぁ。
そして深夜になったら野宿する場所を物色しに出かけました。
繁華街のど真ん中にあるこのベンチが良さそうだったんだけど、深夜でも人通りが多くて目に付くので却下。
ちなみにここで荷物を詰め替えてるときに、だいごろ愛用のクロックスのサンダルを紛失。二人分の宿代より高い物を失ってしまいました…。何のための節約なんだか…。がっかり。
その後も、モーツァルトの見つめる深夜のウィーンの街を徘徊し、
ようやく見つけた寝床がこれ。
寒くはなかったけど、ベンチがカチコチで硬くて痛くて、誰かの足音や話し声が聞こえる度に目が覚めて、というかそもそもずっと起きているような感覚だった。街中の野宿も楽じゃないなぁ。
ちなみに寝込みを襲われたとき用に、貴重品は近くのしげみに隠しました。写真にがっつり写ってるけど分かるかな?
会社の同期から餞別でもらった迷彩柄のポンチョはこんなとこでも活躍してます!
次の日の朝。
寒くて目が覚めると雨が降ってきました。
よく見たら寝袋が濡れ始めてる。ヤバい!
急いで片付けて建物の影に逃げ込みました。
しばらく雨宿りをしていると、近くに公衆トイレが見えたのでだいごろに荷物を任せて行く事に。
そしてトイレから戻ってくると、だいごろにホームレスの友達ができていました。
話によると、雨宿りをしていた近くにうずくまって寝てる人がいて、だいごろと目が合うと、「ハロー!マイフレンド!」と話しかけられたそう。
だいごろと同い年ぐらいの男性で、「ノーホテル?」と聞かれたので、”ノーホテル。”と答えると。
「イエス!ノーホテル!ノーホテル!」と言って握手されたそうです。笑
確かに、私たちも宿無しのホームレスだからなぁ。
雨がやんだら、外のベンチに座ってスーパーで買ったサンドイッチを食べる。
このアップル味のノンアルコールビールまずかったな。
そして宿が開く時間になったら、朝のゴミ収集車が騒がしい通りを歩いてチェックイン。
ようやくベッドに転んで一眠りする事ができました。
そして、昼過ぎに起きたらウィーンの名物料理『シュニッツェル』を食べます。
と言っても、スーパーで買ったのをレンジでチンするだけ。笑
だいごろは昔ウィーンに来た事があって、その時はレストランで食べたみたいだけど、「レストランで食べたシュニッツェルの方がカリカリで、マスタードソースがかかってて、これよりも全然美味しかった。」と、まあ当然の感想を言っていました。笑
雨のウィーンの街をお散歩。
よく眠って、ご飯も食べたので、ウィーンの街を散歩してみる事に。
まだ雨の降る街を傘をさして歩きます。
これはウィーンの街角で見つけた信号機。
赤信号では肩を組んで待ち。
青になったら手を繋いで歩き出しました。笑。かわいい!
これは宮殿かな?
この巨大な建物はなんとウィーンの市庁舎だそうです。
そして街の中心部へと言ってみると、そこにあったのは大きな大きなシュテファン寺院。
その周りにはブランド店やお土産屋さんが軒を連ね、たくさんの観光客でにぎわっていました。
H&Mの建物もこんなにきらびやか。
売ってるのは安い服ばっかりなのに、まるで高級ブランド店みたい。
これはモーツァルトのチョコレートのお店。
オーストリアに行った友達とか会社の人から何度ももらった事があるウィーンの名物土産です。
そして街中で見つけたこのポスターは、ウィーンフィルの世界的指揮者サイモン・ラトル。
なんと私たち、これから彼のコンサートを見に行くんです!
感動!!これがプロ中のプロ、ウィーンフィルの音楽!
一旦宿に帰って服を着替えてからやってきたのはウィーンフィルのオフィス。
今日は念願のウィーンフィルのコンサートを聴きにやってきました。
オフィスの前には名だたる作曲家たちのレリーフが。
今日私たちが聞くのは、サイモン・ラトルとウィーンフィルによる演奏。写真の26日の公演です。
6時半ちょっと前。
チケットオフィスで予約していた立見席チケットを受け取ります。
チケットは立ち見なのでなんとたったの5ユーロです!
サイモン・ラトルが指揮するウィーンフィルの演奏がたったの5ユーロ。破格です!さすが音楽の都!!
今日コンサートを聴くのはウィーンフィルの本拠地である『学友協会コンサートホールの黄金の間』。
建物の前で待っていると6時半に劇場のドアがあきました。
中に入って左右の階段の前が立見席の人が並ぶ場所。
前から7番目ぐらいを確保。
7時前に、階段を登る。
心持ち早足で登って、前から5番目を確保。
そして7時ちょうど、ブザーがなると同時にみんながダッシュ。
私たちもダッシュ。
上手いこと柵の最前列を確保!!やった!
柵の前に並べてるのは20人ぐらい。
立見席は200席ぐらい売れてたっぽいから、10分の1ぐらいの人しか最前列は取れてない。
手すりにスカーフを巻き付けて場所取りするのがここのルールです。
これが立ち見席再現列からの眺め。
黄金の間の名前に相応しいきらびやかな内装です。
これで5ユーロなんて信じられないなぁ。
そして始まった演奏。
一曲目はヴィヴィールという現代作曲家の『Lonely Child』です。
現代音楽って苦手意識があったから正直ちょっと心配だったけど、始まってすぐにその不安は吹き飛んだ。
嫌いなはずの不協和音が不思議なぐらいあっさりと頭の中にしみ込んできた。
ソプラノ歌手の声が透き通るように綺麗に抜けてくる。
舞台の上で歌ってるのに、会場の天井から降ってくる声。
弦楽器もプルト毎に楽譜が違うみたいでかなり難易度が高い。
現代音楽の不思議な世界観にどっぷり浸れて気持ちよかった。
二曲目はハイドンのいくつかの交響曲から楽章を抜粋して「An Imaginary Symphony」、幻想交響曲としたもの。
音のうねりがすごく生き生きしていて、本当に飽きさせない。
一人一人がちゃんと音楽を感じていて楽しんでいるのが伝わってくる。
細かい音の揃いっぷりはさすが!
「どうやったらあんなに綺麗に音が揃うんだろう?」
って私が演奏後にだいごろに話したら、
「なんできっこの演奏会ではあんなに音が揃わないんかな?揃わないのが普通なんかな?って思ってたけど、やっぱり揃うのが正しいねんな。弓を弦に置く時の音の入り方もみんなめっちゃ上手やったなぁ。」
…し、失礼な!でも事実だから仕方ない。精進します。笑
現代音楽と古典。対照的な演奏を聴けて、どちらも本当に良い演奏でした。
夢見心地のまま劇場から出て、雨の降るウィーンの街を歩きます。
途中通った劇場の前では、中で行われているオペラのパブリックビューイングを無料でしていました。さすがウィーン!
雨なのにレインコートを着た常連の人たちが椅子に座って食い入るように画面を見つめていました。
野宿したりレンジでチンのシュニッツェルを食べたり5ユーロのチケットでコンサートを見たりと、かなり節約したウィーンの滞在。
でも5ユーロで聴いたサイモン・ラトルとウィーンフィルの演奏は本物だった!
想像を遥かに超える演奏に二人とも大満足でした!!