なんだかちぐはぐなサグラダファミリア。
30/APR/2015 in Barcelona
サグラダファミリア。
その名前を知ったのは確か小学生の頃。
とにかくめちゃくちゃすごい教会があるらしい。
すごく有名な建築家が設計したんだって。
何よりも驚いたのは、完成するのはまだ百年以上も先だったこと。
「お母さんが生きてるうちには絶対完成しないし、きっこもたぶん無理だろうね。」
そう言われたとき、その途方もなさに愕然としたのを今でも覚えてる。
そのサグラダファミリアが今、目の前に現れた。
まずは外側をじっくり観察。
これは日本でも本やテレビでよく目にする生誕のファサード。
ガウディが生きているうちに完成したファサードです。
遠くから見たらごつごつして近寄り難いようなイメージだったけど、細部を見てみるとかわいい!
丁寧な彫刻の数々。
何人もの彫刻家が手がけているので、それぞれに個性があります。
楽器を奏でる天使の彫刻は、日本人の彫刻家、外尾悦郎氏によるものです。
他の彫刻にはない柔らかな表現が印象的でした。
これは緑がいっぱいの入口の門。
よく見ると虫や花がたくさん隠れていました。
そして大聖堂の中に入ってみると、天井が高くて背の高い木々の中にいるみたい。
美しいステンドグラスの数々に目を奪われます。
天井も本当にきれい。
内部には宗教画がないので教会である事を忘れてしまいそうですが、祭壇にはイエス・キリストの姿が。
サグラダファミリアの生誕のファサードと受難のファサードにはエレベーターがついていて上に登る事ができます。
私たちは生誕のファサードに登ってみる事に。
エレベーターで一気にファサードの上部へ向かいます。
エレベータを降りて外を見てみると…
足がすくむほど高い。
バルコニーの足元は隙間だらけで、下にいる人たちが小さく見えています。
さっきは遥か頭上に見えていた生誕のファサードの中央にあるクリスマスツリーが目の前に。
ファサードにある塔の一部が見下ろせるほどの高さです。
こんな高いところでも着々と進められる工事。
ズルッと滑っていたおじさん。危ない…。
下りはらせん階段を歩いて下ります。
階段の形がなんか生き物みたい。
と思っていたら、地上階にある特別展示でその秘密が説明されていて、ガウディは自然や生き物の構造や成り立ちを研究してこの教会をデザインしたそう。
例えば、木の根っこの形が教会の柱の根元の形に使われていたり、木のウロの形が柱の継ぎ目の部分のデザインに使われていたり、草の形状を真似たデザインがあったり。
ただ自然を真似ただけでなく、どれも数学的、工学的根拠にも基づいた設計です。
このサグラダファミリアを見ていて心が安らぐのは、自然の中にいる気分になるからなのかもしれない。
でもそんなサグラダファミリアを見ていて、私もだいごろもすごくしっくりこない所がありました。
例えばこれは生誕のファサードの反対側にある受難のファサードの一部。
奥の塔の部分は茶色っぽい石で凹凸があって美しいですが、手前の部分は真っ白で平らなコンクリートで作られていて、なんだか調和がとれていません。
これは受難のファサードの彫刻。
生誕のファサードと比べるとカクカクしているし、何か世界観が違うというか…。
二人ともガウディが生きていた頃に作られた部分と、現在建設中の部分のあまりの違いに、ずっと心の中がモヤモヤしていました。
そこで宿に帰った後で調べてみると、受難のファサードはガウディのオリジナルデザインが残っていたのにも関わらず、他の建築家が自分の名声のために自分のデザインで埋めてしまったそうです。
それがいいという人もいるし、悪いという人もいるみたいですが、個人的にはしっくりこない感じですごく残念でした。
建設が進むサグラダファミリア。
数十年前は完成までまだあと数百年かかると言われていたのに、今の完成予定は2026年だそうです。
あとたった10年ほど。
技術が向上したからとか、寄付や観光収入で工事が進んでいるからとか言われていますが、私はそれ以外にも理由があるように見えました。
というのも、今建設中の部分はどうも手抜きに見えるのです。
のっぺりしたコンクリートでできている部分がたくさんあったりして、新しくできた部分は決まって趣がない。建築家が変わった事や、金銭的な理由などにより使う材料を変えてしまったみたいです…。
最初にガウディと一緒に作った生誕のファサードは丁寧に作られているのに、新しく作られたファサードの作り込み方が全然ちがう。これから装飾を追加するのならいいけど…。
ガウディが何百年も生きていたらこんな事態にはならなかったはず。
彼の意図が継承されず、今の人たちの自我のままに作ってしまっている現在。
「想像もできないほど偉大な教会」というイメージだったサグラダファミリアは、完成が近づいた今なんだかちぐはぐな建築物に成り下がってしまっていて、失望を隠せませんでした。
もっと時間がかかってもいいから、私が生きている間に完成しなくていいから、ガウディの意図した教会に近づいてくれるように祈るばかりです。
そして再び教会の中へ。
だいごろはこのサグラダファミリアがいたく気に入ったらしく、「最初に生誕のファサードから中に入った時に泣きそうになった。」と言っていました。
聖堂の中を見て回っていると気づいたら3時間もたっていました。
夕陽が差し込む聖堂内。
だんだんとステンドグラスに差し込む光が水平に近づいて来て、ステンドグラスから色が溶け出します。
全部で5時間ぐらいの滞在でしたが、現在進行形で作られ続けている芸術作品の今を知る事ができました。
未完の大聖堂を後にする私たち。
横を歩くだいごろは「もしガウディがまだ生きてたら、もっと心動かされてたやろうなぁ。」と、残念そうにつぶやいていました。
kicco
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