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08~12/NOV/2014 in Kilimanjaro

キリマンジャロ登山3日目。

今日は僕たちの今いるホロンボハットから山頂アタックのベースキャンプであるキボハットまでの9.7km、標高差980mを約6時間かけて歩きます。

そしてキボハットで数時間仮眠を取ってから、最高到達点であるウフルピークまでさらに標高差1192mも登らなければいけないという長丁場かつハードな行程。

しかも出発地点であるホロンボハットの標高が既に富士山と同じぐらい。

だから日本以外で登山をした事のない僕にとって、ここからは先は全てが未知の領域です。

そしてきっこは富士山にすら登った事がないのでここからは高山病との戦いになりそうです。
 

午前8時30分:ホロンボハット出発

今日も昨日と同じく午前7時に起床し、朝食を食べてからホロンボハットを出発。
PB101865

時刻は8時30分。
ガイドが荷物の計量に手間取って予定より30分遅れてしまいました。
キボハットに早く到着すればそれだけ山頂アタックへ向けての仮眠が取れるので、この30分のミスは痛い。

でも焦りは禁物。
呼吸が乱れて高山病になってしまったらそこで全てが終わってしまいます。

細かい事は気にせずに、これまでと同じようにポレポレ歩く事だけを考えました。
 


 

空気はかなり薄く、歩くスピードはゆっくりなのに呼吸はすごく速くなる。

道に立っている標識をふと見ると、標高はすでに4000mを超えていました。
 

こんな標高の高い所にも咲いていた綺麗な花。
PB111966
 

そしてホロンボハットから数時間歩くと視界が開け、キリマンジャロの峰が目の前に現れました!!

手前にたくさん生えている謎の植物とのコントラストが激しすぎて、まるで異世界に迷い込んだ気分です。
PB101870

まだあんなに遠く見えるけど、今日の深夜にはあの頂上を目指して山頂アタックを開始します。

今から登る自分が言うのもなんだけど、にわかには信じ難い。笑
 


ここが最後の水場。
これより上で使う水は全て持って登らなければなりません。
といっても運ぶのはポーターですが。
PB101874

最後の水場をすぎると、砂漠のような乾燥した地形の上を進みます。
遠くに見えているのはキリマンジャロ。
PB101879

これはエバーラスティングという花。
その名の通りこんな高度の高く乾燥した環境でも負ける事なく咲き続けています。
PB111955

これは負傷したり高山病で動けなくなった人を下のホロンボハットまで降ろすためのタンカ。
これのお世話にならずに済む事を祈ります。
PB111960

4時間ほど歩いた所で昼ご飯。
このお弁当を作るための食材は全てポーターさんが登山口から持って来てくれたんですねぇ。
ありがとう。
PB101881

昼ご飯の後はすぐに再出発。

歩いても歩いてもキリマンジャロはなかなか近くに来てくれません。

それに高度は既に4500メートルを超え、心拍数がびっくりするほど速くて怖くなります。

でも焦ってはダメ。

意識的に肺を動かして酸素をたくさん取り込みながら、ポレポレ歩いて確実に前へ進みました。
PB101886
 

午後4時30分:キボハット到着

ホロンボハットから歩く事7時間ちょっと。

ようやくキボハットに到着しました。
PB101892

ここの標高は4703メートル。

今日の行程は全て4000メートル以上の環境を歩いたので、昨日までとは比べ物にならないほどの疲労感です。
PB101896

でもあと数時間後には山頂に向けてアタックが始まります。

コックが作ってくれた夕食を食べて、すぐに仮眠を取らないと。
PB101899

キボハットについてから二人とも心拍数が異常に速かったのでガイドに脈拍を測ってもらうと、ただ椅子に座ってご飯を食べていただけなのになんと120もありました!

平常時は二人とも70ぐらいなのでこの数字は尋常じゃない!!

普通にしているのに心臓が全力でバクバクバクバクしていて、体がおかしくなるんじゃないかと思うほどです。

ガイドがついでに血中酸素濃度も測ってくれましたが、二人とも芳しくない数値だったらしく、「悪くない」とだけ言われました。

いつまで経っても納まらない心拍数の高さに不安ばかりが募ってきます。。
PB111903
 

その後、仮眠を取ろうとベッドに戻ると既に日が暮れていて気温はかなり低い。

持っているすべての防寒着を来て、自前の寝袋とレンタルした寝袋を2枚重ねにして、さらにその上から山で遭難したとき用のエマージェンシーブランケットを巻いて寝ます。
PB101898

キリマンジャロ登山で高山病の次に怖いのが寒さ。

僕もきっこも痩せ形なので、もし体が冷えてしまったら登山どころではなくなってしまいます。

今回は入念に防寒対策をしていたおかげで、二人とも寒さにやられる事はありませんでした。
 


ベッドに横になると、耳栓を付けているからか頭部の血管がものすごいスピードで脈打っているいるのが聞こます。

バクバクバク!

あまりに激しいので視界が揺れるようにさえ感じます。

もう眠る直前なのにこんなに激しく心臓が動いてて大丈夫なんだろうか?

ベッドに寝転がってからもそれが全然おさまらない。

自分の体は一体どうなってしまうのだろう。すごく恐い。
 

 

 

午後11時半:運命の山頂アタックへ。

”コンコン”

ノックの音で起こされる。

「食事の準備ができたよ。」
コックが呼びに来てくれたらしい。

でもテーブルに座ると2人とも吐き気と頭痛があって食べ物が全くと言っていいほど喉を通らない。

心臓は寝る前と同じくものすごい速さでバクバクしている。
 

二人ともこんな状態でウフルピークまで登れるのかな?

眠気と高山病で頭はぼーっとして若干冷静さを失いつつある二人。

でも30分後には山頂へ向けてアタックが始まる。

気合だけで食べられるだけ詰め込んで、急いで出発の準備をしました。
 

 

午前0時30分:キボハット出発

準備を終えて山小屋から出ると外は真っ暗。

気温は氷点下で、窓際に置いていたペットボトルの水は凍っていました。
 

キボハットを出て登り始めると細かい石と砂の急な上り坂。

足が取られるのでなかなか前へ進めません。

それに持っていたすべての防寒着を着込んだので、モコモコして動きづらい。

ピークへ向かってまっすぐ登りたいけど斜面が急すぎて不可能なので、右へ左へと迂回しながら少しずつ高度を稼いで行きます。
 

(だいごろの登山メモ)
ヘッドライトの電池が寒さからか1時間でなくなった。
新品だったのに。。
その事をガイドに伝えるが、次の休憩で対応すると言われる。
でも月明かりで十分歩けるから大丈夫。

月が出ているのに星が近く大きく見える。雲一つない星空。
きれいだ。

心拍数は小屋で寝ていたときと同じでばくばくばくばく。
普段の2倍位以上の速さで動いている。
それに合わせて意識的に呼吸をする。
肺を動かすのを少しでもさぼると頭に痛みが走る。恐い。

しばらくすると雲が出て来た。
星が雲に隠れて行く。

2本目の電池も1時間半でなくなった。
エチオピアで買った電池はやっぱりダメだ。
でもまた雲が晴れて来たから今度も月明かりを頼りに歩こう。

3本目、最後の電池に交換した。

しばらくするとヘッドライトの光に空から降り注ぐ水滴が見えた。
きっこがすかさずガイドに ”もしかして雨が降って来た?”と聞くと、
「これは雲だよ」という答えが返って来た。

雲で視界はぼんやり。
ジャリジャリと砂利を踏みしめる音とバクバクする心臓の音だけが聞こえる不思議な世界。

上は見ないようにした。
異世界に足を踏み入れた緊張感でかなり疲労しているのを感じていたから。
登山は自分との闘い。心が折れたらそこで終わりだ。
呼吸を止めない事以外は何も考えず、ただひたすら足を動かした。
 

(きっこの登山メモ)
体力的には全く自身はなかったけど、キボハットまで歩いてきて分かった。

自分のペースで ”ポレポレ” すればいつかは辿り着く。

だから焦る事なく、一歩一歩上を目指してひたすら歩いた。
 

 

午前6時08分:ギルマンズポイント到着

キボハットを出発してからおよそ5時間半。

標高5682メートル地点のギルマンズポイントに到着しました。

ギルマンズポイントは、この地点まで辿り着けばキリマンジャロ登頂として認められるポイントでもあります。

やった!!

ウフルピークはまだ先だけどひとまず最初の目的地であるギルマンズポイントまで来れて安堵する私たち。

ちなみにマラングゲートからここに到達する人は全体の半分程度。

きっこは早くも泣いていました。
PB110082
 

でもここはまだ中継地点。

目指すはアフリカ大陸の最高到達点ウフルピークです。

でも、僕とガイド二人はきっこの体力がかなり限界に近づいている事を感じていました。
 

ギルマンズポイントに到着してしばらくすると、メインガイドのトゥマが口を開いた。

「今回はここまでにしよう。」

「彼女の体力ではウフルピークまでの登頂は難しい。」

その言葉を聞いて、僕はすぐに返事ができませんでした。

きっこがギルマンズポイントまでの終盤の登りでフラフラになっているところをずっと見てきたから。

ここまでで終わりになっても仕方ない。

そう思っていた。
 

だけどきっこから思いがけない言葉が。

”行く!絶対ウフルピークまで行く!!”

え?!

一瞬場の空気が止まった。

”ほんまに大丈夫なん?”

きっこに確認する。
 

”うん!行ける!”

きっこからすぐに返ってきた迷いのない返事。

よし!行けるとこまで頑張ろう!

ガイドは少し心配そうだったけど、アタック続行が決まりました。
 


 

ゆっくりと登って来るご来光を背に、最高到達点へ向けて再び歩みを進めます。
PB110085
 

でもそこからがキツかった。

吐き気であまり栄養が取れていなかったのと、ここまでの登りの疲れでだんだん足が動かなくなってきた。

ふたりともフラフラでなかなか前へ進みません。
 

途中で見えた青く輝く氷河とマウントメローに元気をもらうも、ひたすら続く登りに体力はもう限界。
PB110159

重たい足を引きずりながら進む。
PB110203

 

前を歩くフラフラのきっこ。

そしてそんなきっこを気遣う余裕もなくなってくる自分。
 

もうちょっと、もうちょっと。

少しずつ、少しずつ。
 

足を止めさえしなければいつかは辿り着く。

それだけを信じて歩き続けた。
 

 

 

7時41分:ウフルピーク到着!

ギルマンズポイントから歩く事およそ1時間半。

ついにウフルピークが視界に入って来ました!!
PB111909

あとちょっと。

あとちょっと。
 

一歩ずつ。

一歩ずつ。
 

 

そして、ふらふらの二人で辿り着いたアフリカ大陸のてっぺん。

標高5895メートルの最高到達点、ウフルピーク。
PB110154
 

嬉しさのあまりぼろぼろ泣くきっこ。

それより先にぼろぼろ泣いていた僕。笑

二人とも顔面がぐじゅぐじゅになりながら喜びのハグ。

そのまま二人して地面にへたり込みました。
 


 

(だいごろの登山メモ)
キボハットからギルマンズポイントへの登りでふらふら歩くきっこを見て、ウフルピーク登頂は無理かもしれないと思っていた。

自分自身の体力も限界が近づいてたからきっこを十分にサポートできる自信もなかった。

だからきっこが ”登りたい!” と言ったときはびっくりした。

だけど、きっこが行きたいなら行く。

その判断に迷いはなかった。
 

(きっこの登山メモ)
ギルマンズポイントに着いた時、足は全く動かなかった。

けど、気持ちは全く疲れてなかった。

どんなに小さな一歩でもポレポレすればいつか必ず辿り着く。

だから絶対に行く。

絶対にだいごろと一緒にウフルピークに立つ。

それしか考えてなかった。
 


 

鼻水をたらしながら泣きまくる僕らのあまりの見苦しさを見かねてか、ガイドのトゥマが言いました。

「さっさと写真でも撮ったら?」笑
 

 

と言う事で、2014年11月11日午前7時41分。

キリマンジャロ最高到達点、ウフルピークへのアタックに成功しました!!!

やったー!!!
PB110130

おわり



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