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05/OCT/2014 in Jinka

ムルシ族に出会えて大満足した翌日。

朝、だいごろが体調不良を訴える。

どうも熱っぽいみたい。

と言っても、微熱程度。

食料が底をついていたので、だいごろを残してひとりで朝ごはんの買出しをしにいく。
 

宿に戻ってご飯を食べようとするけどだいごろは全然食欲がない。

様子がおかしいので再び体温を測ると明らかに熱が上がっていた。
 


急いで近くのクリニックに向かう。

ドクターに症状を伝えると出てきたのは水銀式の体温計。

壊れているのか、お医者さんですら見るのに2〜3分かかって、37.8度と診断された。

見てる間に体温計の温度が下がるから、実際はもっと高かったはず。

40度近かったと思う。
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それから、血液検査。

なんか手際が悪いドクター。いつもならすぐに終わる血液検査に妙に時間がかかる。
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そしてようやく医師が注射針を抜いたと思ったそのとき、だいごろが「やばい。貧血になった…」と言ったと思ったら、上半身がふらーっとして椅子から落ちそうになる。

急いで体を支えた途端、今度はビクッと痙攣して口が半開きで白眼を剥いて、身体が一気に反って、壁に頭を打った。
 

 

だいごろの魂が抜けた。
 

 

ぎゅーっと抱きしめて背中さすって、”だいごろ!だいごろ!大丈夫?!!” と声をかける。

あまりにびっくりして、目にじわっと涙が浮かぶ。
 

それからもまだ何回か痙攣する。

医師がバタバタと何かを持ってきて飲ませる。

“なに、それ何!?”

「グルコースだ!」

だいごろは焦点の合わない目でグルコースのチューブをくわえたと思うと、一気に飲み干した。

その様子は、何日かぶりにおっぱいにありついた赤ん坊のようだった。

本能のままに飲んでいました。
 

“だいじょうぶ。だいじょうぶ。”

声を掛け続けていたけど、だいごろへ声をかけているのか、自分を落ち着かせるために自分に声をかけているのか、分からなかった。
 


ふらつくだいごろを、近くにあったベンチに移動して横になって休ませる。

まぶたがふるふると震えている。

膝枕に乗せた頭からは高熱が伝わってくるのに、手はびっくりするほど冷たく、腕全体がぐっしょりと汗をかいていた。

医師が新しい注射針を開け、グルコースを血管に直接注射する。
 

気分が優れず朝食を食べなかったので低血糖になったんだろうと医師が言う。

最近インジェラとシロばかり食べていたのも良くなかったんだろう。

それからしばらくして、徐々に目の焦点が合って意識が戻ってくる。

そしてしばらくするとだいごろが口を開いた。

“夢見てた。日本に帰ってた。”
 

 

—だいごろが見ていた夢—

真っ暗闇の中にちゃぶ台と古いテレビが見える。

ダイヤルで周波数を合わせるタイプのテレビだ。

画面には何が映し出されているのかぼんやりしていてよく見えない。

ちゃぶ台には何か料理が並んでいるけど周りには誰もいない。
 

遠くから誰かが呼んでいる声がした。

何を言っているのか分からないけどうるさい。

頭が痛い。

静かにして欲しい。

でも声はどんどん大きくなっていく。
 

静かにして!

声が出ないから心の中で言ってみるけど声は全然止まらない。

それにだんだん周りが明るくなってきた。

眩しい。

また声が聞こえる。

頭が痛い!眩しい!
 

 

あーうるさい!!!!
 

 

そう思った途端。突然景色が変わった。
 

真っ白な部屋。

目の前には知らない人。

なんだここは。誰だこの人は。

痛い頭をフル稼働させて必死に思い出そうとする。

すると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

身体がうまくうごかないから振り返る事は出来なかったけど、よく知っている声だった。
 

 

きっこ??
 

 

きっこだ。

でもそれ以外は何も思い出せない。

一体ここはどこなんだろう?

考えようとすると頭が痛い。

でも痛みと格闘して思い出そうとする。
 

そうだ病院。

ここは病院だ!
 

でもこんな病院は知らない。

あれ?ドクターが日本人じゃない?

あ、そうだ!

旅をしていたんだ!!

ここは……

エチオピア!!

———————–
 

 

意識の戻っただいごろをベンチからベッドに移動させ、休ませていると、血液検査を終えた医師から驚きの言葉が。

「彼は熱帯性マラリアと腸チフスに罹っている。」

熱帯性マラリアと腸チフスどっちも?!!
 

この二つの病気は症状が全く同じで、どちらかが潜伏中でどちらかが発症したみたい。
マラリアは弱い感染と言っていたので、おそらく発熱は腸チフスが原因。
だいごろは数年前にマラリアになった事があって、その時の症状とも違った。

だいごろが罹ったマラリアは、熱帯性マラリア。
数種類あるマラリアの中でも最も症状が重く危険。

腸チフスのおかげで潜伏中のマラリアの発見が早まって幸いだったのかもしれない。
 

ちなみにマラリアの治療薬として医師から勧められたのは、私たちがアフリカに入ってから常備しているコアルテムCoartem。

この病院には置いていなかったので、常備していたものをすぐに飲ませました。

他の人のブログにも書いてあったけど、これ今が一番いい薬みたい。

今回みたいに病院に置いていないこともあるので、マラリア流行地域に行く人は常備しておくことを強くおすすめします!!!
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思い返せばジンカの宿はとにかく蚊が多かった。
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だいごろがたった10分で部屋にいた蚊を41匹倒すほどだった。
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マラリアの予防薬は副作用が強いので、持っているけど飲んでなかった。

何回か飲んだけど、咳が酷くなったり、身体がだるくなったりしてやめてしまった。

だから刺されないようにDeetがたっぷり入った虫除けと蚊取り線香と自前の蚊帳を使いながらがんばって、あとは発症したらすぐに治療できるように治療薬を持ち歩くようにしていました。

でも気をつけててもやっぱりマラリアになるときはなってしまう。
 


病院で半日寝た後、歩けるようになっただいごろを宿で休ませます。

私は近くのレストランへ。
ジンカで唯一のまともな(というか、インジェラ以外が食べられる)レストラン。
ただし、観光客は別メニューできっちり二倍の値段を請求されるお店。

でも節約は禁物。
トマトパスタとか炒め野菜がたくさん入ったサンドイッチとかをテイクアウェイしてだいごろにたっぷり食べさせました。
 


次の日には腸チフスの薬が効いてきて熱も下がり、だいごろはびっくりするほど元気になりました。

それから1週間はコアルテムと腸チフスの薬を飲み続け問題なく全快。

こうして、アフリカ旅最大のピンチを乗り切ったのでした。



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