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10〜11/JUL/2014 in Maracaibo

マラカイボは首都カラカスに次ぐ、ベネズエラ第2の都市。
マラカイボ湖の海底から出た石油で一躍産油国の仲間入りを果たした場所としても知られています。

タクシーに揺られながら宿を探していた我々ですが、無事に宿にたどり着けるのかどうかかなり不安に思っていました。
というのも、以前の記事でも書いたようにカラカスの治安は世界的に見てもかなり悪く、その次に大きな街であるマラカイボも言わずもがなと思われます。
なので、既に22時を回った時間帯に外を出歩く事自体避けたい状況で宿が決まっておらず、今乗っているタクシーもどこまで信用できるか分からなかったからです。

タクシーで20分ほど走って、やっと宿に到着しました。
どうやら、タクシードライバーはWi-Fiが使えそうな宿にしぼって探してくれていたみたい。
善良なドライバーで助かった。
 

ラファエルの宿

迎えてくれたのは、ラファエルという英語が流暢な男性。

宿泊料はダブルで1000ボリバル(1800円ぐらい)。
安いけど、ベネズエラの標準の宿と比べたら倍の値段。

宿は出来たばかりで、Posada Sinamaicaという名前。
リビングには、綺麗な絵が何枚も飾られ、ベネズエラ伝統のタイルが敷かれていて、家族が団欒していた。
部屋の家具や内装もきれいで、トイレ・シャワールームも清潔。
Wi-Fiはあいにく故障中だったけど、一目見て気に入った私たちは、この宿に泊まることを決めました。
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夜遅くについたので、夜ごはんを食べられる場所がなくて、おやつで凌ぐしかないと諦めていると、パンとたまごで夕食を作ってくれました。
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ただ、部屋はめちゃくちゃ寒かった。冷凍部屋。
寒すぎて眠るどころか命の危険さえ感じたので、風が出るところにティッシュを詰めて窓を開けたまま寝ました。
後日聞いた所によるとサーモスタットが壊れていたそうです。
 

次の日の朝は、朝食込みじゃないのにお手製のアレパ(トウモロコシの粉でできたパン)を作ってくれた。
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ラファエルは本当にホスピタリティに溢れる人です。
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写真の肉みたいなのは、ダブルハムというハムで、ベネズエラでメジャーな食べ物なんだとか。
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肉の甘みとしょっぱい味がアレパとよく合いました。
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マラカイボの街

マラカイボの街は人通りの少ない路地が多く、店も街の中に点々としています。
なので、安心して歩ける通りが少なく、昼間でもそれなりに気を使わないと危険な目にあいそうな雰囲気がプンプンしていました。

この街での主な移動手段はタクシーの他に、路線バスと乗り合いタクシーがあります。
乗り合いのタクシーは一定のルートをぐるぐる走っていて、車の上にはタクシーの様なランプが付いています。(色は黄色や赤など路線によって異なる)
初めはタクシーにしか見えませんが、タクシーには”TAXI”と書かれたシールが貼ってあるだけなので間違えないように注意が必要です。
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車体はやっぱりボロボロ。
天井も錆び切っています。
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こっちは路線バス。
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目当てのバスが来たら手を挙げるとバス停に限らずどこでも止まってくれるという、よくあるスタイル。
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乗り合いタクシーも路線バスも数十円と料金が安いので気軽に利用できます。
 

マラカイボに来た二日目。
数日後にはベネズエラを出るのですが、思ったよりボリバルを余らせてしまっていたので近くにあったショッピングモールに行きました。
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プリンタのインク屋さん。
お客さんか持ってきたカートリッジにインクを補充していました。
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それと、靴底が擦り減っていて滑って危険だったクロックスに代わって、Timberlandのサンダルを購入!
靴は旅の中では重要アイテムなので、高かったけど買っちゃいました。5000ボリバル。
ちなみに、ラファエルの弟が偶然にもTimberlandの店員さんをしていて、買い物中に兄から電話があったと言って話しかけてきました。
Timberlandに行くなんてラファエルには一言も言ってなかったのに。
我々の事を心配してくれていたようです。
ラファエルの弟も英語ペラペラでした。

あとは、余ったボリバルを消費すべく、日焼け止めとか虫除けとか、使うものを大量に買いました。
スーパーで買物するだけでも、身分証の掲示を求められたのが特徴的でした。
 

ラファエル

ラファエルはアメリカでコンピュータの勉強をした後、高校で英語とコンピュータを教える教師。
4ヶ月ほど前から宿を始め、教えることも好きだけどこっちの方が3倍ぐらい儲かるから、学校の先生は辞めようとしている。

「ベネズエラは産油国だし、美しい自然がたくさんあるから、もっと豊かになれるはずだ。僕は海外に行ったときに感じたホスピタリティの素晴らしさをベネズエラに広めて、ベネズエラをもっと観光してもらえる国にしたい。」と熱く語ってくれた。
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「日本は見本にしたい国だよ。天然資源もないし、戦争で完全に破壊されたのに、最先端の技術を持つ強い国になった。生徒たちにいつも言っているんだ、『政府のせいとか、アメリカのせいとか、誰かのせいにするんじゃなくて、日本みたいにひたむきにがんばれば豊かな国になれるはずだ。』と。」

その他にも、いろんなことを教えてくれた。
ベネズエラは野球が盛んだけど、最近はサッカー人気が高まっていること。
学校では昔は体罰を加えていたけど、最近は体罰が禁止されていること。
だから、生徒がなかなか言うことを聞かないこと。
高校までは学費無料、大学も一年間の学費が数万円程度と安く、外国からの学生がたくさん学位を取るためにきていること。
ベネズエラの安いガソリンや食料品をコロンビアに売って儲けている人がいること。
みんなが売りに行くので、国境近くのマラカイボでは牛乳や小麦粉などいろいろなものが品薄になること。

ベネズエラは政府の規制が厳しく、国を制御しようとしているけど、制御しきれなくて歪みが出てしまっている。
インフレが激しいし、必要なものが手に入らないし、外貨が異常なレートで売買される。
難しい国だ。
 

子猫の話

マラカイボの宿にはこんな宿泊客がいました。
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たった3日前に、宿のプールサイドで見つかった小さな猫。
まだ歩き方も分からない赤ちゃん。
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起きている間はみゃあみゃあと泣き続けてかわいいのとかわいそうなのとで、私もだいごろも心を鷲掴みにされました。

お腹が減っているのか、抱っこすると指とか服とかあらゆるところを吸って舐めてきます。

子猫のお母さんが見つからないからと、ラファエルが一日に三回ミルクをあげていました。
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ミルクをもらったあとは、淋しくてまた鳴き、それから疲れて寝ていました。
 

最終日の朝。
出発する準備を済ませて子猫を探していると、ラファエルが、バケツの中だよ、と教えてくれました。
夜は冷えるからと、バケツの中に防寒のために人間の赤ちゃん用のオムツを入れ、その中に子猫を入れてあげていたのでした。
子猫は安心してぐっすり寝ていました。
ラファエル家の新しい家族になる日も遠くなさそうです。

子猫を連れて行きたい衝動を抑えザックを背負った私たちは、思いがけず2泊してしまった居心地の良い宿を後にしたのでした。



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