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31/AUG/2015 in Jiuzhaigou

さて、今日向かうのは中国一の観光名所とも言われる九寨溝。
ユネスコ世界遺産にも登録されている場所です。

でも、九寨溝に行くかどうかは、実は直前まで迷っていました。

気になっていたのがそのお値段。
入場料220元(約4,200円)、九寨溝内バス90元(約1,500円)、合わせて5,700円もの大出費です。

前日の天気予報では雨だったので、晴れていたら行く、天気が悪かったら行かない、と決めて当日を待つことにしました。
 


そして当日の早朝。
まだ暗い空はちょっと曇ってるけど、なんとか持ちこたえそうです。

せっかくここまで来たし、やっぱり行こう、と二人で決めて宿を出ました。

宿は九寨溝からかなり離れたところにあるので、入口まで宿のお父さんに送ってもらいます。(送迎は無料)
 

入口で高い高い入場料を払って入場。今日は比較的空いています。
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ちなみに、九寨溝の混雑状況はこちらで確認できます。
私たちが行った日の訪問者数は約1万5千人。
中国の連休中にはなんと4万人を超すこともあります。

思わず1日の売り上げを計算してしまう、現金な私たち。笑
 

繁忙期には並ばないとバスに乗れないこともあるみたいだけど、今日は待たずに乗り込めました。
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バスは九寨溝の標高が高い方に向けて登っていきます。
九寨溝の標高は高いところで3400mもあります。

バス停には民族衣装を着たバスガイドのお姉さんがたくさん。
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バスの中で案内をしてくれます。
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そして車窓から目に飛び込んできたのは、抜けるような青色をした湖の数々!
あまりの美しさに、乗客から何度も感嘆の声が漏れます。
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バスが止まると、バスを飛び降りて目の前の湖に近づきます。
鴨が泳いでいなかったら上下が分からなくなるほど静かな水面。
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水に沈んだ木々は腐ることもなく形を留めている。まるで時間が止まっているみたい。
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湖の中のものと、湖に映ったものが重なり合って、じっと見ていると何を見ているのか分からなくなる。頭が混乱してしまう。
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少し歩くと次々と景色が変わり、いろいろな表情を見せてくれる。
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滝から流れ出る水も、滝壺に入ると深い青緑色になってしまうからなんとも不思議。
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整備された遊歩道を歩きます。
九寨溝の広大な敷地の全てに遊歩道が張り巡らされています。
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綺麗な空気を吸いながら歩くのが楽しい。
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こんなに気持ちいい散歩なんて、なかなか出来るもんじゃありません。
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ゴミ箱もたくさん並んでいるし、トイレもちゃんと整備されている。
ゴミも枯葉も落ちていないし、隅々まで手入れが行き渡っています。

ガードレールもこの通り。
もともとのガードレールにわざわざ木の表面に似せたペイントが施されています。
何十キロにもわたって、ペイントされたガードレールが連なっている。すごい労力です。
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でも日本語の注意書きはちょっと心もとない。笑
「注意飞石観察されるということです」
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遊歩道の木々の間から見える青々として湖の数々。
思わず飛び込んで、この湖で泳いでしまいたくなる。
気持ちいいだろうなぁ。
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この青さを目の前にして、だいごろの写真を撮る手も止まりません。
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九寨溝は炭酸カルシウムを大量に含むため微生物が生息せず、また飽和した炭酸カルシウムが微細な浮遊物を核として沈殿するために透明度が高くなるそうです。
 

たくさんある湖の中には、”熊猫海”という湖があります。
熊猫はパンダのこと。昔はパンダも水を飲みに来ていたんだって。

でも、今となってはパンダなんて、いない。

…否、

いた!!しかもいっぱい!
パンダも写真に写ってるみたいな若い子なら許せるけど、50代ぐらいのおばちゃんパンダを見て違和感を覚えるのは、私が日本人だからでしょうか。
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滝もいろんな表情を見せる。
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ところで、私たちはクロアチアのプリトヴィツェ国立公園に行ったことがあります。(そのときの記事はこちら

九寨溝に行こうかどうか迷っている時に写真を見て、きっとプリトヴィツェみたいな感じだろうと思っていました。

でも、九寨溝の規模と表情の豊かさを見て、九寨溝の方がプリトヴィツェよりもすごいんじゃないかという思いがどんどん確信に変わっていきました。
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黄緑、緑、深緑、青緑…数え切れない色が層になって折り重なっている。
湖の底には不思議な形をした藻が生えていて、さらに幻想的な雰囲気を醸し出しています。
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写真撮影用にチベット民族衣装のレンタルをしていました。
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素敵な衣装に身を包んで、子供も嬉しそうです。
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今日は1万5千人も訪れているけれど、九寨溝の敷地がびっくりするぐらい広いので、それほど混雑している感じはしませんでした。押し合いへし合いになるという噂も聞いていたので、よかった。
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この透明度。
どれだけ見ていても飽きることはありません。
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視界一面に広がる大迫力の滝。
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今日はこの滝の見える気持ちいい場所で、お昼ごはん休憩をすることにしました。

事前に買ってきておいた1個15元(約300円)のお弁当です。水を投入するとすごい湯気!
これでホカホカ弁当の出来上がりです。
九寨溝でも同じお弁当を売ってるけど、中で買ったら倍ぐらいの値段がするので事前に買っておくのが吉です。
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そして昼ご飯の後にやってきたのは五彩池。
水の色は九寨溝でも最も美しいとされている湖です。

風が吹いていたので、湖面が波打っていて底まで見えないなぁ、と思いながらも、じっと眺めていました。

しばらくすると、この通り!!
風が止んで透き通った湖が姿を現しました。
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この底までくっきり見える透明度で、深さは6.6mもあるのだというから驚きです。
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九寨溝は”九つの村がある谷”という意味で、もともとチベット人が住んでいた場所。今でもここには小さな集落が残っています。

表通りにある民家は競い合うようにお土産を並べて客引きをしています。
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タルチョ(お経が書かれたカラフルな布)が色鮮やか。
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実は、彼らが信仰しているのはチベット仏教ではなくボン教。
このコロコロはチベット仏教ではマニ車と呼んでいるけど、ボン教ではマシモ車というそうです。

そして、回転方向がマニ車とマシモ車では逆!
回転方向が違っておかしいな、って思っていたけど、今になって謎が解けました。
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川の流れで回るようになっている車も、回転方向が反時計回り。
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器用に糸を紡ぐ女性。
簡単そうにやってのけてるけど、これ実はなかなか難しい。
私もイランの遊牧民の女性にやらせてもらったけど全然できませんでした。
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庭には、絵に描いたような美しい花が咲いていました。
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家の中も見学させてもらえました。
気分が明るくなる食卓。カラフルな装飾がとっても丁寧です。
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家の中では軽食も食べられるようになっていました。

これは鳥の足。
中国ではよく見かけるけど、まだ一度も挑戦したことがないです。。
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今は観光客であふれかえっているけれど、九寨溝がチベット人以外の人たちによって発見されたのは1970年代。
まだ半世紀も経っていない頃のことです。

ここに住むチベット人たちはスタッフとして雇われたり、お土産を売ろうと熱心に商売をしたり、バスの運転手をしたりしていて、大きな環境の変化を余儀なくされた人たち。
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でも、観光客が多いエリアを少し離れると、まだ穏やかだった頃の、私たちのような観光客に踏みにじられる前の面影がほんの少しだけ残っているように私は感じました。
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九寨溝は入り口から最奥部までなんと30km以上もある広大なエリアに広がっています。
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朝からずっと歩き通しで、疲れてきたしそろそろ帰りのバスに乗らないといけないけれど、バスに乗ってしまうのももったい。
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次のバス停まで歩こう。
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やっぱりもう一つ次のバス停まで歩こう。
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次から次へと新しい景色が現れて、歩かずにはいられなくなる。
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話は変わりますが、私が出張で中国に行っているときの一番と言っていいほど大きなストレスは、「青空が見えないこと」でした。

朝、工場に出勤するときも、お昼ごはんを食べに出かけるときも、夕方に仕事が終わっても、見えているのは黄色く霞んだ空。

青空のかけらも見えなくて、晴れているんだか、曇ってるんだか、星が出ているんだか、何も分からない。
晴れている日であっても太陽の日差しが心許なくて、「太陽がまぶしくて見えない」なんてことが起こらない。減光メガネを通したみたいに、黄色い太陽の輪郭がはっきり見えてしまう。

日本に住んでいたら当たり前に見える青空だけど、青空が見えないことでこんなに心が晴れなくて、気分が落ち込んでくるんだっていうことを初めて知りました。

黄色い空を眺めていると外へ出かけるのも億劫になってくるし、外に出て空気を吸ってもなんだか息苦しくて、喉の奥がいがいがしてくる。

私が思い描く中国は、黄色く霞んだ空と、靄の中に浮かぶ高層ビル群。
日本に住む人のほとんどが、同じようなイメージを持っているんじゃないかと思う。
 

でも、ここ九寨溝はそんな中国の中で大自然を感じられる場所。
九寨溝も黄龍も行かないというプランを考えていた時期もあったけど、私はどうしても行きたかった。
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中国に、美しい自然があることを、自分の目で確かめたかった。

そして、そこには私の想像をはるかに超える絶景がありました。
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あの黄色に霞んだ空も中国。
この青く澄んだ空と湖も中国。

どっちも真実なんだ。

今日は私の中の中国のイメージが大きく塗り替えられた1日でした。
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ここを訪れている人の99%は中国人。
青い空に恋い焦がれる思いは、他のどの国の人よりもきっと強い。
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ある人が言いました。
「PM2.5とか言って中国を悪者扱いしてるけど、悪いのは全部中国なのかな?」

私は、そうじゃないと思う。

願わくば、この青空が世界中のあらゆる人々を優しく包み込んでいるような、そんな世の中になりますように。

つづく



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