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21/AUG/2015 in Karakol

電話を終えたバレンティンはこう言いました。

「飼主は犬がここにいるって分かってすごく喜んでるよ。心配してたみたい。それで、ちょっと相談なんだけど。この犬と一緒に車でカラコル(麓の街)まで行ってくれないかな?」

あら子の飼主はベースキャンプとカラコルのゲストハウスのふたつを経営しているらしく、連れてきてくれたらカラコルのゲストハウスには私たちを無料で泊めてくれると言っているそう。
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もともとカラコルまでは徒歩とマルシュルートカで帰る予定でした。
歩いたら4〜5時間、それからマルシュルートカで30分ほど。

カラコルまでの車は五人が乗って一人500ソム(約1000円)。
かなり高いけど、あら子を無事に飼主に送り届けられて、しかも無料で泊めてもらえるなら車に乗ったほうがいい。

「この犬も、君たちと一緒に行った方が安心すると思う。」バレンティンもそう言ってくれました。
 

あら子の生まれた家を目指せ!

ロープに繋がれて大人しくしていたあら子。

私たちを見ると目を輝かせて飛びついてきました。
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一緒に車に乗り込みます。
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助手席にだいごろが乗り、
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あら子はだいごろの足元に乗りました。
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それではいざ、あら子の家を目指して出発です!
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車が走り出すと、突然大きく揺れだしてびっくり!ものすごい悪路!!
大きな岩がゴロゴロ転がる中をロシア製の4WDで進んでいきます。

大きな池のような水たまりを超えたり、車がこんなに傾くぐらいの道を進んだり。
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世界一過酷なツアーと言われるエチオピアのダナキルに行った時の道をはるかに超える酷さ。
バーにしがみつかないとすぐに吹き飛ばされる。
腕が痛くなるほどしがみついた。
それでも何度も頭を車の天井にぶつけた。
 

そんな中あら子は…

車酔いしたり体調崩したり暴れたりしないかと心配だったけど、慣れた様子でだいごろの足元で眠っていました。お利口さんです。
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悪路が続くので、途中で休憩を挟みます。
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あら子は車を降りても私たちにぴったりと着いてきます。

私たちが川の水を汲んでいる横で美味しそうに飲んでいました。
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ついにあら子の飼い主の家にやってきた!

そして、無事に飼主の家に到着。

ドアを開けると、家の人が2人。
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でも…あら子は二人を見ても全然反応しない。
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「この犬は俺をみたらすぐに分かるから」と、飼主はバレンティンに言ってたみたいだけど。

本当にこの人たちが飼い主なのかな?

でも、ここがあら子の家だって分かる決定的なことがありました。

それは家の奥から出てきたとんがった二つの耳。
え?あら子が2匹になった!
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間違いない、この人たちがあら子の飼い主だ!

実はあら子にはsisterがいた。
姉か妹か分からないけど、妹ってことにしようかな。

妹はあら子と瓜二つ!
全然見分けがつかない。
あら子と全く同じ、真っ黒で毛がつやつやで元気いっぱいの子犬!!
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でも、しばらくすると分かるようになった。
耳がちょっと垂れてる方があら子です。
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あら子は妹と楽しく遊んだり、家の人にご飯をもらったり。

でもあら子はまだ家の人よりも断然私たちになついてる。笑
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あら子はずっとベースキャンプにいたから、家の人よりもベースキャンプのスタッフの方になついてるのかも。
 


ここがあら子の家。
あら子の飼い主の家、兼ゲストハウスになっていて、個室もあるし庭でテントも張れるようにもなっています。
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家の主人が英語を話せたのであら子のことを聞くと、なんとあら子はまだ生後6ヶ月!
ベースキャンプにいたあら子よりも大きい犬は、お母さんかと思ったらそうじゃないみたいで、あら子よりも先に産まれたお兄ちゃんなんだって。

そうそう!それと、あら子の本当の名前はジータっていうんだって!
そんなかっこいい名前だなんて知らなかったよ。笑
 

この日、あら子は一日中庭にある小屋に閉じ込められた。

この家の生活に慣れないといけないあら子をあまり刺激したくないけど、トイレに行くときにどうしてもその小屋のそばを通る。
私たちからはその姿は見えないけど、ちょっと近くを通るだけでキュンキュン鳴いた。
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今は閉じ込められてしまって可哀想だけど、無事に飼主の元に帰ってこれてほんとに良かったよ。
もし遊牧民のところでお別れしていたら、きっとずっとわだかまりが残っていた。
それにしても、まさかこんな形であら子の大冒険が終わるとは思ってもみなかったな。
 


夕方になると、ベースキャンプでお世話になったスタッフとシェフがやってきた。

「あの犬は悪い子だからシャシリク(串焼き)にしないと!」って冗談交じりに言うシェフ。
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実は、私たちがあら子を無理矢理手名付けて連れてきたと思われていないかとちょっと不安だったけど、そんな風には思ってなかったみたいで良かった。

「この犬は大事な犬だから、連れてきてもらえて助かったよ。本当にありがとう」と、二人のスタッフは言ってくれました。
 


宿はマットに寝袋を敷くだけのシンプルな宿で、トイレはぼっとん、シャワーは水シャワーだったけど、無料で寝れるのはありがたい。
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キッチンも使わせてもらえたので、買い出しをしてきて自炊。
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野菜たくさんのスープを作ってたっぷり食べました。
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そして本当のお別れ。

翌朝。
トイレに行く私の気配を感じて、小屋の中から悲壮な鳴き声で助けを求めるあら子。

見かねた家の人があら子を自由にしてあげた。

私の姿を見つけるなりダッシュで私たちのところにやってきた。
全身で飛びつくわ甘えるわ噛み付くわ鳴くわ騒ぐわ、自分ができる最大限の愛を振りまいてきました。
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朝ごはんの用意をしているのに、足に飛び乗ってきて大変です。笑
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可愛いなぁ。

昨日小屋に閉じ込められていたから、そのままお別れになるかと思ってたけど、またこうして会えて幸せな気持ちでいっぱいになります。
離れるのが淋しくなるよ。

別れるときにはすっかり落ち着いてきて、妹やベースキャンプのシェフやスタッフ、宿のお母さんとも遊ぶようになった。
 

そして別れのとき。

あら子は私たちに着いてきそうになったけど、家の人が気を引きつけてくれている間にサッと家を出た。
あの悲痛な鳴き声を聞くこともなく別れられた。

帰るべき場所に帰ることができたあら子。
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これにて、一件落着!
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元気でね、あら子。
一緒にトレッキングできて楽しかったよ。
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おわり



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