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23/JUL/2015 from Sal Agha Seyed to Esfahan

サルアガセイエッドで泊めてもらった家のお父さんに嘘の情報を教えられ、一日一本のバスを逃してしまった。
そしてやってきたタクシードライバーもお父さんとグルになっているらしく、足元を見られてぼったくり価格。

こんな事されたら絶対タクシーには乗りたくないし、村にも戻りたくない。
だから意地になって村から出てしまった。
 

でもどうしよう。

目の前にはただひたすら山道が続いている。

地図を確認すると、次の街チェルガードまでは50kmぐらい。
来る途中でお世話になった遊牧民のアスカルの家がある村までは20kmの道のり。
あの村まで行けたら、観光客がたくさん来ていたからきっと何とかなるだろう。

20kmか…山路だから急いで歩いても1時間で4km。今から5時間もかかる。

なんでこんなことになったんだろう。

サルアガセイエッドは「観光地化されていない村」って旅丸のShoさんもボク旅キミ旅のけんくんとみさとちゃんも言ってたし、情報ノートにも書いてあった。

でも…

持ち物を欲しがられ、高額の宿代を請求され、バスの時間を偽られ、ぼったくりタクシーに乗せようとされてしまった。
「観光地化されてしまった。」って言うのも旅行者都合の勝手な言い分だけど。

やっぱり人って最初は好意で受け入れてもそのうちお金が欲しくなっちゃう。
というより、最初に来た人を受け入れるときは、お金なんてなくても旅行者と触れ合うだけで十分満足できる。珍しいし嬉しいから無料で食事や宿を提供してしまう。でも人が来るに連れてだんだんその珍しさや嬉しさ、新しい発見が減ってきて、バランスが取れなくなる。村の人たちが旅行者から得られるものが減ってくる。
そこでお金が登場する。

考えてみれば、それは自然な姿。
よっぽど良い人でない限りは、そっちの方向へ流れてしまうのは仕方ない。

サルアガセイエッドには日本人や中国人、スイス人なんかがこれまでに来た事があるそう。
実際に泊めてもらったお礼として、二人で一泊6000円ぐらいなら払った人もいたと思う。豊かな国の金銭感覚からすると、いても不思議じゃない。
そんな中で、私たちみたいに金額に納得できないって人が出てきて、価格も落ち着いてくる。

私たちが泊めてもらった家のお父さんは、村に来る人が少ないからまだ感覚が掴めてないんだと思う。
きっとこの村はこれから観光地化されていく。
今はその移行期。だからこんなことになっちゃったんだろうな。
 


何もない山道を歩きながら、自分たちの至らなかった所、お父さんの悪かった所。
どうすれば良かったのかを悶々と考える。
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それにしても…この荷物を持って山道を5時間か…
歩き切れるかな。
勢いで村を飛び出してきたものの、これから先の距離を思うと不安になる。

”車が通ったらヒッチハイクしてみよう。”
2人で話す。

でもサルアガセイエッドは山の一番奥にある村。バスの終点。
車がそうそう通りかかるような場所じゃない。
 


半ば絶望的な思いで歩くこと15分。

後方から車のエンジン音が聞こえて来ました。
やった!まさかこんな所を車が通るなんて。

ダメ元で親指を立ててみます。

すると、このヒッチがまさかの成功!!!

ここは車なんて全然走らないような地域なのに!
自家用車を持ってる人なんていなさそうだし、バスも一日たった一本しか来ないような場所なのに!
それに仮に車が通ったとしても、大抵は荷物と人がいっぱいで乗るスペースなんてないのに!

何たる幸運!!!
 

しかも中に乗っていた家族と話してみると、これからエスファハーンまで帰るところだそう!
エスファハーンは私たちの目的地。サルアガセイエッドからバス4本乗り継いで、最低でも6時間はかけて移動する予定だった場所!

おそるおそるエスファハーンまで乗せてくれませんか?とお願いすると、快諾してくれました。

奇跡!!!

信じられない出来事。
絶対に無理だと思っていたヒッチハイクができただけじゃなく、一気に目的地までの切符を手にする事ができた。
起死回生のヒッチハイク成功で上機嫌の私たち。

乗せてくれた人は家族で2台の車で来ていて、わざわざ子供を別の車に移動させて膝の上に乗せたりして私たちが乗れるスペースを作ってくれました。
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車に乗せてもらってしばらくすると、山あいの河原にやってきました。
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何やら家族みんなで車から荷物を降ろし始めたなと思っていたら、原っぱにペルシャ絨毯を広げてピクニックをするみたい!
みんなでケバブをするんだって!

手早くお肉をさばくお母さん。
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写真に写っている兄弟の家族とお父さんお母さんで家族旅行中。
子供が4人いるから全部で10人。私たちも合わせると12人が2台の車に乗っていた事になります。
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兄弟の2人は顔がよく似てる!
だいごろが手に持ってるのは、なんとビール!!
イランはイスラム教の戒律が厳しいので、アルコールを手に入れるのはすごく難しい。
このビールはトルコから密輸入したそうで、1本800円とかするみたいです。超高級品!
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お母さんは水タバコを一服。なんとも美味しそうに吸っていました。
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みんなで回して吸うのが水タバコ。
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奥さんたちもタバコを楽しんでします。
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4人の子供ちゃんの中に1人だけいる男の子。
恥ずかしがり屋なので遠巻きに私たちにちょっかいをかけてきます。
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女の子にはカエルの折り紙を折ってあげたら大喜び!
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なんてかわいらしい!
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家族の人と話をしていると、女性陣の手際がめちゃくちゃ良くて、あっという間に美味しそうなお肉が焼き上がりました。
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一切れ分けてもらったけど、柔らかくて香ばしくて、ただ塩をかけただけなのにすごく美味しい!
やっぱり新鮮な肉は美味しいんだ。
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ご飯を食べながら飲むのは近くを流れていた小川の水。
すごく綺麗な水で美味しい!
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景色の綺麗な山奥でピクニック。
今日は天気がいいから気持ちいい。
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それからは子供たちと遊んだり、
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血圧測定をしたりしました。
せかぽろの血圧測定サービスについてはこちら
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イランでは血圧計がなかなか手に入らないらしく、みんな喜んでくれました。
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だいごろは子供たちと遊ぶのが上手!
私は子供好きな割に子供と遊ぶのはなかなか上手くいかないからジェラシーだ。笑

追いかけっこをして走り回る子供たちとだいごろ。
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女の子はだいごろが折ってあげたカエルが大のお気に入りになりました。
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楽しいピクニックを終えて帰路に着きます。
天気も良くて気持ちよかったし楽しかったなぁ。
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ガソリンスタンドでは、車にぎゅうぎゅう詰めに積まれた羊たち。
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だいごろと男の子が車を降りて羊にちょかいを出していたと思ったら、突然大爆笑し始めました。
何が起こったのかと見てみると、羊たちが一斉におしっこをしていました。笑
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隣に停まっていたもう一台の車に乗っている女の子がこっちを見ていたので、だいごろがサングラスをつけて上げると大喜び。
良い笑顔です。
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そして、サルアガセイエッドからの長い長いドライブの末に辿り着いたのはエスファハーンの外れにある邸宅。
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「せっかくだから家に寄っていってよ。」と言われて、案内されたのは…

巨大なペルシャ絨毯があって、大きなテレビもある豪邸。
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それにしても、すごい絨毯。さすがペルシャ絨毯の本場だけのことはあります。きめが細かくて高そう。
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家に着いてゆっくりしていると、旦那さんが「俺の血圧も測ってくれないか?」と言い出しました。

”もちろん!”と言って測ってあげると、血圧計の動きを見て驚いた様子の旦那さんが一言。

「これ、いくらぐらいする?」

”うーん、50ドルぐらいかな。”

そして旦那さんが奥さんに目配せしたと思ったら、大量のイランリアルの札束が出てきました。

「売ってくれないか。両親にプレゼントしたいんだ。」

イランはアメリカからの経済制裁を受けていた影響で、手に入りにくい物がたくさんあります。
全自動の血圧計もその中の一つだったみたい。
でも、残念ながらこの血圧計は売り物じゃない。

”ごめんなさい、この血圧計は売る事が出来ないんです。”

一生懸命身振り手振りで説明したら、分かってもらえました。

お隣のアルメニアだったら薬局とかに普通に売ってたのにな。
イランはインターネットも規制されていてFacebookとかいろんなサイトが見れないし、何かと不便です。
 

いろいろお話しした最後には、つめたーいスイカも振る舞ってくれました。イランのスイカはちょうど甘くて美味しい季節!
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子供ちゃんたちもすっかり懐いてきました。
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でも残念だけどそろそろ別れの時間。

”そろそろ行きます。”
旦那さんにここからはバスに乗って帰ると伝えると、「バスは走ってないからタクシーを呼んであげるよ。」と言われました。
エスファハーンと言っても、ここはかなり外れにあるお家でバスが走っていないそう。

ここからさらにヒッチハイクをしようかとも思ったけど、旦那さんが「街中でヒッチハイクするのは危ない」と、心配そうにしていたのでここは呼んでくれたタクシーに乗る事に。

朝サルアガセイエッドの村から山道へ歩き出した時はどうなる事かと思ったけど、奇跡的な幸運に恵まれて無事にエスファハーンの宿へと帰ったのでした。

めでたしめでたし。



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