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4~6/JUN/2015 in Uzice

”レディ・ガガ?!”
”そんなに有名な映画なの?!!”

訳が分からずネットで調べてみると、なんと僕たちが出演する約束をしたのは、来年の1月に公開予定のハリウッド映画でした!
 

”ハ…ハリウッド?!”

なんでもその映画は日本の富士の樹海を舞台したホラー映画で、双子の姉妹の片割れがそこで迷子になり、もう一人が探しに行って幽霊と遭遇する話なんだとか。

その時リッキーが読んでいたセルビアの新聞にもその記事がありました!
レディガガの彼氏がその映画に出演していて、今レディガガもお忍びでここウジツェの近くに来ているそう。
地元ではビッグニュースです。
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でもこの話はただヒッチハイクをしてる時に道端で声をかけられただけ。本当なのかなぁ?
この街の人なら撮影のことは知ってるだろうから、やっぱり新手の詐欺の可能性が頭の中から拭いきれません。それに後でメールすると言っていたのにまだメールは来ていない。

ハリウッド映画に出演するという話があまりに自分たちの日常からかけ離れ過ぎていて、どうしても嬉しさよりも疑う心が先に出てしまう。

だってセルビアの山奥でヒッチハイクしてたら、エキストラといえどもいきなりハリウッド映画に出演することになったなんて。信じられますか?笑

喜んでいいのかすらよく分からない状況はすごくモヤモヤしますが、今はとりあえずスタッフからメールが送られて来るのを待つ事にしました。
 

ウジツェで過ごすのんびりした時間。

僕たちが数日間お世話になるリッキーの家はこんなところ。
一階から三階までバラがのびていて、前には広々とした芝生の庭。
1階が両親が住む家、2階がリッキーの家、3階がリッキーのお兄さんの家だそうです。
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バラはリッキーのご両親が毎日すごく時間をかけて手入れをしているそう。
ここまでバラを育てるのってすごく難しそう。
庭も綺麗に手入れされていました。

そして建物には猫がたくさん。
リッキーのお母さんが猫好きだそうで、10匹ぐらいいました。
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バラの香りが漂う中で猫と戯れる。
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猫好きには天国のような場所です。笑
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この子は最近ここに迷い込んだ新参者の子犬。
追いかけたら走り回る可愛いやつです。
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“この子犬も飼ってるの?” とリッキーに聞くと、「ううん、違う。たぶん近所の犬だと思う。」って言ってたけど、僕たちが滞在している間はずっとこの子犬が庭にいたので、きっと居心地良くてここに住むことに決めたんだと思います。笑
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リッキーの家でしばらくゆっくりした後は、タクシーでウジツェの街中へ。
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リッキーが街の事を色々と教えてくれました。

これはセルビア正教の教会。木造で可愛らしい。
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街に置かれているゴミ箱は日本から寄付されたもので、日本の国旗がプリントされていました。
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昔使われていた汽車。
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それから、ウジツェのスタジアム。
最初は閉まってたけど、中の人がリッキーの知り合いで何やら話すと開けてくれました。
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リッキーはウジツェでは顔が利くみたい!
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ここはリッキーが週末にDJをしているクラブ。
ちなみにリッキーは完全に夜型人間で、毎日朝方まで仕事をしたり映画を見たりして、昼過ぎにのそのそ起きてきます。
クラブで働いているし、ずっと夜型で行動する方が楽なんだろうな。
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リッキーの仕事。

リッキーは映像や写真の撮影・編集の仕事の他に、さっきのクラブで週末はDJをして働いています。
そして、今日は歌手を目指している女の子のレコーディングを助けるためにスタジオへ。

リッキーの知り合いの娘さんがプロモーションのためのレコーディングをするそうで、リッキーはレコーディングのスタッフと娘さんとの仲介役だそう。
レコーディングスタジオに来たのなんて初めてなのでテンションがあがります!
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しばらくスタジオで待っているとやってきたのは可愛らしい女の子。
まだ16歳で、今日は初めてのレコーディングだそう。

最初は緊張しているようでしたが、徐々に持ち前のきれいな声も出てきて楽しんでいました。
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僕のカメラを見て「撮って撮ってー」と言う彼女。
何枚かとってあげたら喜んでいたので、後で送ってあげました。
 


リッキーはウジツェで生まれて、ウジツェで育ち、ずっとウジツェに住んでいます。
それに、以前地元のラジオ局で働いていたこともあるからすごく顔が広い。
ただ道を歩いているだけで、何人にも話しかけられていました。
 

お昼ごはんはリッキーオススメの店でハンバーガー。作りたてで美味しかった!
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お店にはたまたまリッキーの友達がいて、僕たちにジュースをおごってくれました。
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それからカフェでセルビアの美味しいコーヒーを飲みながら、ジョコビッチの試合を見ました。

ジョコビッチはセルビア出身の世界No.1テニスプレーヤー。セルビア国内ではスーパーヒーローです。
リッキーが教えてくれたんだけど、ジョコビッチはただテニスが上手いだけじゃなくて、ユーモアたっぷりの人柄が人気なんだとか。
家で見せてくれた動画では、ライバルのマレーやナダル、シャラポワのマネをしてふざけたり、バラエティ番組で変なダンスを踊ったり歌ったり…
それを見て、この国でジョコビッチが愛されている理由がよく分かりました。
 

カフェでコーヒーを何杯も何杯も飲みながら(この国はコーヒーが美味しいのに一杯100円もしなくて安い!)テニスを見ていると、リッキーが店の人たちみんなに、「こいつらあのハリウッド映画に出るんだぜ!」って話していました。

そしたらみんなが、「一緒に写真撮ってー!」ってよってきた。
まだ出られるって決まった訳でもないのに、なんか複雑だなぁ。笑

ちなみにこれがセルビア流のピースだそうです。
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激ウマ セルビア料理に舌鼓!

ジョコビッチの試合が終わったら、夕食を食べにリッキーの家の近くのレストランへ。
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紹介してもらったのはすごく雰囲気のいいレストラン。
リッキーは安いって言ってるけど、ほんとに安いのかな…。
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中ではセルビア音楽の生演奏までやっています。なんだか高そうな予感が…。
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リッキーは店のオーナーとも友達。わざわざ店で一番良い席に案内してくれました。
それに、セルビアに来るのは初めてだと言うと、オーナーがラキヤと呼ばれるセルビアの地酒をごちそうしてくれました。アルコール度数が高めのプラムで作ったお酒です。
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そしてこれがウジツェの名物料理。
パンの中にチーズと牛乳の中間みたいなのを入れたやつ。名前は忘れた!笑
お値段たったの160ディナール(約180円)。
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この料理はカロリーが高いから朝ごはんによく食べられるそう。
パンをちぎって少しずつ食べるのが正しい食べ方です。
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ついに映画スタッフから連絡が!

そしてお腹いっぱいでリッキーの家に帰った後の深夜。
ついに映画スタッフからメールが来ました!

昨日ヒッチしてる時に会ったスタッフの名前はネマニャ。
メールには、「明後日からハイカーの役をお願いするかもしれない。」と書いてあります。

すぐに、”ぜひやりたい!”、とメールを返しましたが、その後に返事はなし。

やっぱり詐欺だったのかなぁ…。
その日はがっかりしてそのまま寝てしまいました。
 


次の日の朝。
昨日のメールにネマニャの電話番号が書いてあったので、セルビア語が話せるリッキーに電話してもらいます。

すると、「やっぱり明後日の役はなくなった。」と言われてしまいました。
がっかり…。

「その代わり、今月末にお化けの役があるから、それをお願いしたい。」

今月末っていったら今から3週間後。かなり先だなぁ…。
それにお化けの役?
もしかしてきっこが南京虫にフルボッコにされてこんな顔だから声をかけられたのかなぁ?笑
南京虫攻撃の記事はこちら。
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話をすればするほど日程が変わるし、メールと電話だけのやり取りだけだから信憑性が全くない。
だんだん不安になってきます…。

仮に映画の話を信じるとしても、元々ウジツェには数日だけ滞在してから南のコソボやアルバニアに移動して、そのままトルコに抜けてしまう予定。
このまま3週間もウジツェにいるような時間とお金の余裕はない。
3週間で東ヨーロッパの残りの国をぐるっとまわってもう一度戻ってくるのも考えたけど、もう一度戻ってきて映画の撮影をしていたらかなり日数を取られるので、この先の旅の計画を大幅に変更しないといけません。

どうしよう…。
地図を見ながら頭を悩ませます。
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東に向かっている僕たちが、東ヨーロッパの西寄りにあるウジツェに戻って来るのはものすごいロス。
僕たちは旅の期限を決めているので、ウジツェまで戻って来て撮影に参加するのと引き換えにこの先の予定をいくつか捨てる事になります。

それに、そもそも映画の話なんて本当かどうかすら分からない。
もし本当だったとしても、これだけ予定がコロコロ変わるんだったら、直前になってやっぱりなかったっていう話になるかもしれない。
 

心配そうにしている僕たちを見て、リッキーがネマニャにもう一度電話をしてくれました。
すると、ネマニャは月末の撮影は絶対に保証すると言っていて、交通費も支給してもらうように約束してもらいました。

ここ数日で知ったリッキーの性格。
交渉上手で人当たりがよく、いつも先を読んで行動する。
電話とメールだけの約束だから後で無かった事にされる可能性もあるけど、リッキーが大丈夫と言っているのを信じる事にしました。
 

「3週間で東ヨーロッパの残りの国々を巡って、撮影のためにもう一度ここに戻ってくる。」

僕たちは旅の終盤のこの局面で、リスクの高い賭けに出る事を決めたのでした。

つづく



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